私の居場所 114

「胡桃なるさんの番組は出るたびにいろんな発見があって、とっても勉強になりますよ」

 そう言うと、徳延とくのぶさんはドアを開け、

「じゃ!」

 と言い残すと、部屋を出て行きました。バタン! 閉まるドア。が、すぐにそのドアが開き、隊長が顔を出しました。

「配信が終わったようだな!」

 日向隊員が応えます。

「はい!」

「じゃ、帰るか!」

 隊長は胡桃なると彼の背後にいる2人の助手を見て、あいさつ。

「胡桃なるさん、いろいろとありがとうございました!」

「いえいえ、どういたしまして!」

「では!」

 バタン! 再びドアが閉まりました。胡桃なるはぽつり。

「ふふ、行ったか、

 あの、金目ひなただな」

 突然のこの発言に2人の助手はびっくり。

「ええ~?・・・」

「あれだけ顔が似てるって、ありえないだろ?」

 助手Aが反論。

「け、けど、たった今違うって証明したじゃないですか!?」

 助手Bも、

「首の長さや身長に矛盾があるって言ってたじゃないですか!?」

 胡桃なるは自分の首筋を指差して、

「あの、首にチョーカー巻いてたろ?」

「ええ」

 胡桃なるの記憶、日向隊員の背後から日向隊員の首筋を凝視してる胡桃なる。

「あのチョーカーの下に黒い筋があった。あれ、きっと繋ぎ目だと思う」

 助手B。

「首と胴体を繋いだっていうんですか?」

「ああ」

 助手Aはバインダーに挟まれた資料を読みます。

「資料によると、彼女、首が長すぎて常に首が不安定で、それを補強するために首の付け根にリング状のプレートを入れてたってなってますよ? チョーカーはその手術あとを隠すためとも書いてあります」

「ふ、そんな話、聞いたことあるか?

 まあ、これは自分の勘繰りだが、金目ひなたが乗ってた飛行機が墜落した。それで彼女は瀕死の重傷を負った。ちょうどその頃テレストリアルガードでは、新しい兵器を開発してた」

「どんな兵器ですか?」

「う~ん・・・ 完全機械化された身体を造ってた。そう、今世間で話題になってるメガヒューマノイドていうやつだ。

 けど、それを動かす電子頭脳の開発は遅れてた・・・ いや、今の技術では開発不可能だった。そこで人の脳を使うことになった。そこに瀕死の金目ひなたの身体が運ばれてきた・・・

 思い出してみろよ。あの徳延とくのぶが指から血を採取しようとしたら拒否したろ。けど、耳からの採血はOKだった。あの身体の首から上は元の金目ひなたのまんまなんだよ、きっと!

 首が異様に長くなったのは、その副作用じゃないかな? そう考えればすべて合点が行く! 眼が人の眼だったことも!」

 助手A。

「けど、それなら大人の身体を造るんじゃないですか? 子どもの身体じゃ自然とキャパが小さくなりますよ。もし仮にメガヒューマノイドを造るとしたら、キャパは出来る限り大きくした方がいいと思うんですけど?・・・」

 胡桃なるは考え込みます。

「う~ん、いろんな可能性を考えて子どもの身体も造っておいた・・・

 あは、ここまでくると、もう言いがかりだな。ちょっと浅はかだったかもしれないな、オレの考えは。その辺のネット民と同じだ。あはは・・・」

 さすがテレストリアルガードのエージェントにしてトップクラスのユーチューバーです。あるところまでは正しく推理しました。が、詰めが甘い。

 正確な応えは、メガヒューマノイドだった故海老名隊員の身体に日向隊員の頭をつないだ。

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