私の居場所 113

 胡桃なるはニヤッとして、

「あは、そうだったんだ! けど、それが今になって役に立ちましたねぇ!」

 胡桃なるは助手Aが持つスマホを見て、

「2人の首の長さはあまりにも違い過ぎます。もう2人は完全に別人とみていいでしょう!」

 さすがのネット民も、これだけ証拠をそろえられるとぐうの音も出ません。みんな、黙ってしまいました。

 けど、まだ反論するものがいました。生徒会長です。生徒会長は書き込みました。

「そのフダ女、メガヒューマノイドなんだろ!? メガヒューマノイドに改造されたとき、身体をスケールダウンさせただけだろってw」

 この書き込みを読んで、徳延とくのぶさんが反応。

「メガヒューマノイドは我々科捜研でも話題になってる案件です。将来この世界はメガヒューマノイドだらけになるかもしれません。そのときどうすれば生身の人間と区別することができるのか?」

 徳延とくのぶさんは自分の眼を指差し、

「そこで我々は眼に注目しました。外見上どんなに精密に造られてたとしても、眼の底だけはごまかしようがありません。人間かメガヒューマノイドか一目で区別するには、眼の底を見るのが一番手っ取り早いと判断したのです!」

 徳延とくのぶさんは瞳孔検査用のペンライトを取り出し、日向隊員に、

「悪いが、君の眼の底を見せてもらうよ」

 日向隊員はちょっと不快な顔を見せました。

「ええ~?・・・」

「大丈夫、ちょっとまぶしいけど、痛くはないから」

「あ、はい・・・」

 徳延とくのぶさんは日向隊員の瞳の中にペンライトの光を当てました。

「うん、これはまごうことなき人間の眼だ!」

 日向隊員はメガヒューマノイドですが、首から上はオリジナルの肉体のまま。眼も当然人間の眼でした。

 これでうまくごまかせた? いや、生徒会長はまだまだ納得してません。逆に怒りを覚えたようです。

「そんなの信用できるか! ちゃんと証拠の画像見せてよ、私たちにも!」

 徳延とくのぶさんは困ったというジェスチャーをし、

「う~ん、明日科捜研うちのラボで検査しますか? もちろんライヴで」

 生徒会長は話を変えることに。

「ふ~ん、わかった! メガヒューマノイドと言っても、身体の隅々まで改造されてるていうわけじゃないんだ! そのメスブタ、身体の半分しか改造されてないんだ!」

 徳延とくのぶさんも余裕で反論します。

「だとすると、身体をスケールダウンする意味がありませんねぇ。身体の半分が元の肉体のままてことは、身体のサイズを変えることはできませんよ」

「くっ・・・」

 生徒会長は反論できません。心の中で歯ぎしりするだけ。このままじゃ、このままじゃ、日向あいつ、逃げ切っちゃう・・・


 再び胡桃なるの部屋|(スタジオ)。胡桃なるは三脚に固定されたスマホ(ムービーカメラ)を見て、

「では、今日はこのへんで」

 配信終了。日向隊員はほっとした顔を見せ、胡桃なるに、

「胡桃なるさん、ありがとうございました」

「いやいや~ どうってことないよ。

 しかし、君も大変だねぇ。たまたま顔が似てるからって、あの金目ひなたに間違えられるなんて」

 日向隊員は貌を赤らめ、

「あは・・・」

 日向隊員は思いました。

「ほんとうは私、金目ひなたなんだけどね・・・」

 徳延とくのぶさん。

「じゃ、私はこれで」

 胡桃なるは徳延とくのぶさんを見て、

「ああ、徳延とくのぶさん、いろいろとありがとうございました!」

「いやいや、こちらこそ!」

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