私の居場所 99

 日向隊員の説明が続いてます。

「教室の中で。みんなで昨日のストリートコンサートすごかったねっておだてられて、ギター弾いてよっとせがまれて、言われた通りギターを弾いて気持ちよく歌ったら・・・

 後ろからいきなり水をぶっかけられたんですよ。そしたらみんなで大爆笑ですよ・・・」

 隊長が応えます。

「ふ、また正夢か? けど、それを録画して公開したら、おもしろいことになるんじゃないか?」

「え?」

「明石悠恐喝事件でお前の中学校の信頼は地に着いてしまった。そんなときにそんな事件を起こしたら、どうなると思う?」

 隊長はほくそ笑むと、スマホを取り出しました。で、電話をかけました。

「あ、技術課か? 今すぐボディカメラを持ってきてくれないか。ああ、なるべく目立たないやつを・・・ あ、それに防水性のやつがいいな」


 そう、日向隊員の制服には今ボディカメラが仕込んであるのです。隊長たちが見てる影像は、このカメラが捉えてる影像でした。

 なお、日向隊員が水をぶっかけられることは、他の隊員には秘密にしてあります。隊長は日向隊員が超能力者であることは、まだまだみんなには秘密にしておきたいようです。


 通学路を歩く日向隊員。どこからともなくこんな声が聞こえてきました。

「お~い、金目ひなた~!」

「今度は誰をイジメて自殺に追い込むんだ~!?」

 けど、日向隊員はいっさい反応しません。もし自分の正体が金目ひなたとバレたら、テレストリアルガードのみんなに迷惑をかけてしまうからです。それだけはなんとしてもふせがないといけません。

 ああ、今日逢う人はどんな人なんだろう? その人が全部解決してくれるのかなあ?・・・


 学校の近くまで来るとマスコミの姿が目立ってきました。マスコミのインタビュアーは登校中の生徒たちに片っ端にマイクを向けてます。その中を日向隊員が歩いて行きます。日向隊員はマスコミには興味がないようです。

 女性インタビュアーの1人が日向隊員にマイクを向けました。

「あ、すみません。今回の事件ですが・・・」

 と、そのインタビュアーの肩を掴む手が。インタビュアーがはっとして振り返ると、そこにはカメラクルーの1人がいました。カメラクルーは首を横に振ります。

「あのはやめといた方がいい」

「え、なんで?」

 別のカメラクルー。

「日向愛だよ、あの

「ええ、あ、あの日向愛? じゃ、今回の事件のこと、よく知ってるんじゃ!?」

 先に声をかけたカメラクルー。

「あののバックには、テレストリアルガードがあるって噂だぞ」

 あとに声をかけたカメラクルー。

「テレストリアルガードはいろいろとうるさくってなあ。うかつに手を出したら潰されるぞ、オレたち」

 びっくりするインタビュアー。

「ええ~・・・」

 結局マスコミのクルーは日向隊員を見逃しました。


 日向隊員の眼が中学校の門を捉えました。そこには教師が数人いて、登校してくる生徒たちに声かけしてました。

「おはよう!」

「おはよう!」

 今この中学校の信頼は、明石悠恐喝レイプ事件で地に落ちてしまいました。少しでも信頼を回復しないといけません。声かけはその1つのようです。

 ある女性教師の1人も視野の端っこに現れた人影に反応し、その人影にあいさつする体勢に。

「おはよ・・・」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る