私の居場所 92
明石悠の話が続いてます。
「たしかにそうね。私も肌が黒いていうだけでめちゃくちゃ
みんな、イジメる側の味方。イジメられる側は誰も助けちゃくれない、学校でさえ・・・
ほんと、この国はひどいよ。正義なんてありゃしない・・・ なんで私、こんな星に来ちゃったんだろう?・・・」
日向隊員は考え込みました。
「真土さんはイジメられていた。今私の横にいる明石さんもひどい目にあってた。じゃ、私は?」
日向隊員の脳裏に山際怜子の姿が。
「私はイジメる側だった。人のこと言えないか。あはは・・・
これじゃダメ。絶対ダメ! 私だけでもイジメられる側の味方にならないと! そうしないと私が殺した
こんな社会、変えないと! で、でも、私1人で何ができるというの? いや、私1人でもできるはず!」
日向隊員は2人の間に立てかけてあるギターのケースを見て、
「私にはこれがある! これですべて変えてやる!」
それから数日が経った日曜日の昼下がり、ここは駅の側の街角。衛星都市の駅らしく、にぎやかな街角です。
ここを5人の若い男性が談笑しながら歩いてます。その中には以前日向隊員と明石悠のストリートライヴを邪魔したAとBの姿もあります。
と、5人の耳が何かを捉えました。はっとするA。
「ん、なんだ、この音?」
5人は小走りになりました。そして角を曲がると、そこにはたくさんの人が群がってました。人々はみな同じ方向を見てます。その方向から音楽が聴こえてきます。
「なんだよ、これ?」
1人がピョンピョンと飛び跳ね、奥を見ようとします。
「何かやってんのかなあ?・・・」
けど、あまりの人だかりに何も見えないようです。
「ちぇ、何も見えねーや・・・」
別の1人が反対側の歩道を見ました。
「あっちに行ったら見えるんじゃねーか?」
と言っても、その通りには自動車が行き交ってます。Bがそれを見て、
「おいおい、ここ渡んのかよ?」
と言いつつ、5人は道路を横切りました。
反対側の歩道につくと、5人は音が聞こえてくる方向に移動。そこには3人組がいます。Aがこの3人を見て驚きました。
「お、おい、ありゃ盗作じゃないのか!?」
そう、その3人組は日向隊員、真土灯里、明石悠だったのです。真土灯里はエレキギターを、日向隊員は電子ピアノを弾いてます。明石悠はマイクを握って熱唱してました。
ちなみに、3人の両側には複数の警官がいました。今回も隊長の配慮で地元の警察に警備を依頼したようです。
Aが怒鳴ります。
「ケッ! 盗作のクセして、こんなところでストリートライヴかよ!?」
その言葉を聞いて近くにいた20歳くらいの女性がはっとします。そして横目でこの5人組をにらみました。Aはそれに気づき、女性に、
「はぁ、なんだお前? オレにガン飛ばしたろ、今!?」
すると女性は振り向き、5人をにらんで、
「彼女の父親は盗作なんかしてないよ!」
するとAは「はぁ?」という表情を見せ、
「なんだこいつ?」
女性は話しを続けます。
「著作権協会も作曲家協会も彼女の父親は盗作してないて公式見解発表してるじゃん!」
Aはわざとらしく爆笑。
「あは、こいつはお笑いだ!」
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