私の居場所 87

 トラックが走り出しました。と同時に、軽自動車も動き出しました。軽自動車のドライバーをみると、なぜかトラックに乗ってたサングラスの女性でした。a・b・cとも見当たりません。

 2台が街道に出ました。別々の方向です。


 それから数十分後。ここは地元の警察署。今ここの駐車場に軽自動車が駐まり、中からa・b・c3人が降りました。

 3人は何か雰囲気が変。眼の下にクマがあり、眼にも輝きがありません。まるでゾンビのよう。どうやら催眠術にかかってるようです。


「すみません、家を破壊ししてきました」

 いきなりのaの発言に、受付にいた男性警官はびっくり。

「ええ?・・・」

 ここは警察署内、入ってすぐのところにある受付。aの後ろにはbとcもいます。受付の警官は、

「と、とりあえず中へ」

 と言って、署内に招き入れました。こうして3人は逮捕となりました。

 さらに3人は真土勝之邸を破壊したグループの一部だったとも自白し、そこから他の真土勝之邸を破壊した犯人も判明しました。

 警察は真土勝之邸毀損事件の捜査はやる気がまったくなかったのですが、ここまで判明するとやらざるを得ません。ずーっと未解決、正確に言えば、放置されていた事件は、あっという間に解決してしまいました。


 時間を巻き戻しましょう。街道を順調に走る隊長のクルマ。その脇の歩道に渦を巻く不気味な雲が現れ、そこから女神隊員が現れました。

 走り去る隊長のクルマ。それを見送る女神隊員。と、女神隊員の姿がこつ然と消えました。


 別の個所。街道を走る隊長のクルマ。その路側帯を自転車に乗って走る1人の若い男性。と、いきなり急ブレーキ。

「ええ~!?」

 男性の前に不気味な雲が発生してます。その中心から女神隊員が現れました。女神隊員は自転車の男性に気づき、

「あら、ごめんなさい」

 と言うと、すぐに姿を消しました。女神隊員が姿を現していた時間は、ほんの数秒。男性は唖然として、

「な、なんだったんだ、今の?・・・」


 隊長のクルマはT字路のガードレール脇でハザードランプをつけ駐車中。隊長は車外で日向隊員をお姫様抱っこしてます。日向隊員は恥ずかしいのか、顔が真っ赤。

「あは・・・」

 と、日向隊員は視界の端に人影をみつけ、はっとしました。

「え?」

 日向隊員がそちらに視線を送ると、白ずくめの女性の姿がありました。かなり離れた位置ですが、こちらに注目してるようです。高身長の女性。日向隊員は、

「あれ? あの人、女神さん?」

 と思いました。が、

「あは、あんなところに女神さんがいるはずがないかあ!」

 と、みずから否定しました。しかしです。実はその白づくめの女性は、女神隊員でした。

 隊長は助手席のドアを開け、日向隊員の身体を滑り込ませました。そしてドアを閉め、今度は運転席のドアを開け、乗車。クルマが走り出しました。と同時に日向隊員の身体もふっと消滅しました。


 真土邸の前、真土灯里と明石悠が門の前に立ってます。2人は心配顔になってます。

 と、遠くから1台のクルマが見えてきました。明石悠はその後部座席に日向隊員の姿を発見しました。

「あ、日向さんだ!」

 クルマが2人の前で停止。真土灯里と明石悠は後ろのドアへ。

 この光景をかなり遠くから見てる人がいます。女神隊員です。女神隊員は路地と路地の交差点のブロック積みの塀の陰から観察してました。

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