侵略者を撃つな! 103

 すみれ隊員は格納庫のような巨大な屋内駐車場の木戸のような小さな外開きドアに到達。手にしてたカードキーをタッチパネルにタッチ。カチャッという音。そのままドアを開け、屋内駐車場の中に消えました。

 日向隊員はそれを確認すると、そのドアに向かって駆け始めました。


 ドアはドアクローザーによって自然に閉まりかけてます。完全に閉める寸前、日向隊員が到着。ドアノブを掴み、再びドアを開けました。

 日向隊員はドアのふちに立ち、駐車場の中を見ました。中は暗いですが、いろんな機械のパイロットランプがついてるせいか、完全に真っ暗てわけではありません。

 左からカチャッという音。日向隊員は建物内にちょっと顔を入れ左側を見ると、すみれ隊員が壁の方を見てました。と、すみれ隊員は壁に手を伸ばし、何かを掴みました。クルマの鍵です。

 すみれ隊員は今度はワンボックス車に向かって駆け始めました。そしてスライドドアを開け、車内に入りました。日向隊員がそのワンボックス車に近寄って見てみると、それはすみれ隊員が変身に使ったワンボックス車でした。

「やっぱり・・・ すみれさんは変身してクレイン号を追い駆ける気なんだ・・・

 あれ? なんで私、夢の中とまったく同じ行動してんの?・・・」

 日向隊員は空中ですみれ隊員に後頭部を蹴飛ばされたシーンを思い浮かべました。

「もしあの夢が正夢だったら、私はすみれさんに頭を蹴飛ばされ・・・」

 芝生を転がる日向隊員の首。

「私の首が飛んじゃって・・・」

 芝生に転がるユラン岡崎とすみれ隊員の首なし死体。

「気がついたら、すみれさんとあの男の首なし死体があって・・・」

 隊長が寒川隊員に向かってレーザーガンを撃ち、寒川隊員のヘルメットが吹き飛んだ瞬間。

「寒川さんが隊長に撃ち殺されて・・・」

 自分の口の中にレーザーガンの銃口を入れてる隊長。

「そして最後は隊長も自殺しちゃう・・・

 でも、考えてみれば、すみれさんに頭を蹴飛ばされなきゃ、こんな事件にはならなかったはず・・・

 よーし、すみれさんを尾行だ! 今度は頭を蹴飛ばされないぞ!」


 車庫の建物外観。木戸のようなドアからすみれ隊員が出てきました。メガヒューマノイドに変身済みのすみれ隊員です。すみれ隊員の背中から1対のエアジェットエンジンが現れ、点火。すみれ隊員はものすごいスピードで飛び始めました。

 続いて同じドアから日向隊員が出てきました。日向隊員もメガヒューマノイドに変身済みです。飛び去るすみれ隊員を肉眼で捉える日向隊員。

「よーし、行っくぞーっ!」

 日向隊員の背中からも1対のエアジェットエンジンが出現し、点火。猛スピードで空に舞い上がりました。


 月がない夜、針葉樹林の上を低空飛行してるクレイン号。それを追い駆けるメガヒューマノイドのすみれ隊員。さらにそれを尾行するメガヒューマノイドの日向隊員。

 と、クレイン号の姿がぱっと消えました。日向隊員はそれを冷静に見てます。

「ふふ、クレイン号が消えた。夢と同じ」

 日向隊員は前を飛ぶすみれ隊員を見ます。

「けど、大丈夫。すみれさんには見えてるから。あの人を尾行していれば・・・」

 しかし、日向隊員は前を行くすみれ隊員に遅れ始めました。あせる日向隊員。

「ええ、なんで? なんで遅れ出したの、私? こんなの、夢にはなかったじゃん!?」

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