侵略者を撃つな! 101
大事な1人娘をユミル星人に殺されてしまった隊長にとってすみれ隊員は、海老名隊員同様自分の子どものような存在でした。なのにすみれ隊員は死んでしまいました、海老名隊員同様・・・ 隊長の悲しみは計り知れません。
ユラン岡崎へと歩く寒川隊員。今へたれ込んでる隊長を追い越しました。隊長は顔をあげました。隊長から見た寒川隊員の背中。
「あいつ・・・」
隊長の眼に殺意が湧いてきました。
寒川隊員が虫の息のユラン岡崎の前でかがみました。
「ユ、ユランさん・・・」
「ばかやろ。なんで殺した? あの
「だって、あいつ・・・」
「ふ・・・」
ユラン岡崎は視線を変えました。
「あいつの父親を殺したのはオレだ。あの
それを聞いて寒川隊員はびっくり。
「ええ?・・・」
「オレはすみれの父親の顔をぐちゃぐちゃにした。お前はすみれの顔をぐちゃぐちゃにした。ふっ、不思議な
なあ、オレの顔もぐちゃぐちゃにしてくれないか?」
「え?」
「その光線銃でオレの顔を撃って欲しいんだ。いや、それじゃ痛いだけか? う~ん、そうだなあ、口の中に光線銃を突っ込んで撃つともっと楽に死ねると聞いたことがあったな、軍にいたとき・・・」
「そ、そんなあ・・・ そんなことできるはずないよ・・・ あなたはオレの大事な先輩だ!」
「痛いんだよ。痛くて痛くてしょうがないんだよ。なのになかなか死ねないんだよ。頼むよ、死なせてくれよ!」
「だめだ! 救急車呼ぶよ、オレ!」
「腹を貫通したんだぞ、光弾が。それに高いところから落ちたせいで、腰や脚が・・・ 病院に着く前に死んじまうよ。
さあ、一思いに殺してくれ。オレを、オレを楽にしてくれよ・・・」
寒川隊員は考えました。そして、
「わかりました」
寒川隊員はレーザーガンの銃身ををユラン岡崎の口の中に入れました。ユラン岡崎の顔は穏やか。逆に寒川隊員の眼は、涙でぐちやぐちゃです。
レーザーガンの
「うおーっ!」
バシュッ! 光弾発射。寒川隊員の顔に大量の血と肉片がこびりつきました。
「う・・・ な、何が起きてんの? そっか、私、すみれさんに蹴飛ばされて、首と身体がバラバラになっちゃったんだ。起き上がらないと・・・」
首のない胴体がプルプルと震え始めました。電子の鎧をまとった日向隊員の肉体です。
日向隊員の胴体は何事もなかったように立ち上がりました。そして芝生に落ちている自分の首まで歩いて行き、首を両手で持ちました。そのまま胸の前で首を保持。日向隊員の両眼は開いてます。その眼は見ました、凄惨な現場を。
「え・・・」
転がってる2つの死体。1つはすみれ隊員。1つはユラン岡崎。すみれ隊員の死体は、ヘルメットの中が空洞になってます。ユラン岡崎の死体には首がありません。首があったと思われる部分には粉々になった頭蓋骨と脳みそが散乱してます。
日向隊員は愕然とするばかり。
「なんなの、これ? いったい何が起きてんの?」
寒川隊員はへたりこんでます。そこに隊長がやってきました。隊長の右手にはレーザーガンが握られてます。それを見た瞬間、日向隊員は嫌な予感が。日向隊員は思わず叫びました。
「隊長、何をする気ですか!?」
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