侵略者を撃つな! 100

 今度は日向隊員が宇宙船に向けレーザーガンを発射。宇宙船は小さなバリアを複数張って、その光弾を防ぎます。しかし、このバリアを張ったせいで、宇宙船は光線を発射できなくなりました。

 このすきを利用して、すみれ隊員は振り向きました。そこには光の昇降機で上昇中の10人のリンドブルム星人がいました。10人とも宇宙船収納まであと数秒のところ。

 このままだと全員逃げられてしまいます。こうなったら1人でも・・・

 すみれ隊員はリンドブルム星人の1人にレーザーガンを向けました。ターゲットにされたリンドブルム星人の顔がひきつります。

「う、うわーっ・・・」

 と、ここで大きな声が。

「やめろーっ!」

 それはユラン岡崎の声でした。

「おまえの父親を殺したのはこのオレだ!」

 それを聞いて寒川隊員はびっくり。

「ええ・・・」

「くっ!」

 すみれ隊員は今度はユラン岡崎に銃口を向けました。叫ぶ寒川隊員。

「すみれ、やめるんだーっ! その人は・・・」

「父の仇! 死ねーっ!」

 ビシューン! すみれ隊員、光弾発射。その光弾が宇宙船に収納される寸前のユラン岡崎の腹を貫通しました。それを見て寒川隊員は愕然としました。

「な、なんてことを・・・」

 ユラン岡崎の身体は後ろに押されてしまい、光の昇降機からずれてしまいました。重力に負け、そのまま地面へ落下。

 ドサッ! ユラン岡崎の身体は芝生に落下しました。

 それ以外のリンドブルム星人9人は、宇宙船に無事収納されました。と同時に、宇宙船は消滅しました。どうやら認識ステルス機能を作動させたようです。

 ユラン岡崎はなんとか意識を保ってました。と、何かが頭の上に降り立ちました。すみれ隊員です。すみれ隊員はユラン岡崎の顔にレーザーガンを向けました。

 隊長と一緒にユラン岡崎に向かって走ってる寒川隊員がはっとします。そして叫びました。

「すみれ、やめろーっ! その人はユランさんだぞ!」

 すみれ隊員ははっとします。そうです。すみれ隊員の知ってるユラン岡崎は、髪の毛ボサボサ、ひげボウボウ。今のユラン岡崎とはかなり違う容姿なのです。

「え、そんな・・・」

 すみれ隊員はためらいました。ユラン岡崎はそんなすみれ隊員を見上げ、

「どうした? 撃っていいんだぞ。オレはお前の父親の仇だ」

 その声はたしかにユラン岡崎の声。すみれ隊員はどうしたらいいのかわからなくなりました。

「うおーっ!」

 すみれ隊員は吼えると、あらためて銃爪ひきがねを引こうとします。けど、まだためらいがあります。なかなか引くことができません。指が・・・ レーザーガンがブルブルと震え始めました。

「くっ・・・」

 寒川隊員は立ち止まり、レーザーガンを取り出しました。

「くっそーっ!」

 走ってた隊長ははっとして立ち止まり、振り返ります。そこにはレーザーガンを構えた寒川隊員が。今度は隊長が叫びます。

「やめろーっ!」

 寒川隊員、光弾を発射。その光弾がすみれ隊員の唯一露出してる部分、顔面に命中。ボシュッ! すみれ隊員の顔が爆発。血と肉片と人工の眼球が飛び散ります。愕然とする隊長。

「あ・・・」

 すみれ隊員の身体がゆっくりと倒れました。それを見た隊長は、両ひざからがくっと崩れました。海老名隊員に続いてすみれ隊員も死んでしまった・・・

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