侵略者を撃つな! 36
2人がサブオペレーションルームに帰ってきました。自動ドアを開け2人が入って来ると、女神隊員が待ち受けてました。着替えたらしく、いつものヘルメットを被り、いつもの隊員服を来てます。隊長はそんな女神隊員を見て、
「おまえ、暑っ苦しいだろ。ヘルメット脱げよ」
「はい」
女神隊員はヘルメットに両手をかけました。徐々に上がっていくヘルメット。日向隊員はイスに座り、何気にそれを見てます。が、突然腰が抜けるほど驚きました。
「ええっ?」
大きな1つの眼。鼻はなく、大きな口。女神さんは宇宙人だから私たちとは違う顔をしてるんだろうなあと思ってた日向隊員ですが、実際の女神隊員の顔は日向隊員の想像をはるかに超えていました。女神隊員はそんな日向隊員を見て、ニコッと笑いました。巨大な単眼がとても細くなってます。まるで糸。それを見た日向隊員は、
「キモ・・・」
と思わず心の中で言いました。が、すぐに反省しました。そんな心構えだったから弱い立場の女の子をイジメて、自殺に追い込んでしまったのです。もうあんなことは2度としない。日向隊員はあらためて心に誓いました。
一方女神隊員は、ヘッドセット型の自動翻訳機を被り、さらにその上から鼻まで隠れる(と言っても、女神隊員には鼻はないのですが)ウィッグを被りました。
女神隊員は隊長を見て、
「隊長、アレ見ましょうよ!」
「ふっ、アレか・・・」
というと、隊長はモニターのリモコンを持ち、それでモニターのスイッチを入れました。モニターの中で始まった映像はアニメ。真夜中に放送されてるアニメの録画です。それを見て日向の眼は点になってしまいました。最先端の兵器で地球を守るテレストリアルガードの隊長と、1つ眼の宇宙人が一緒にアニメを見てるのです。これは唖然とするしかありません。
隊長は日向隊員に振り返り、
「おまえも一緒に見るか?」
「い、い、いえ・・・」
隊長は前を向いて、
「そっか・・・」
隊長と女神隊員はまったりとアニメを鑑賞しました。日向隊員ですが、特にやることがありません。しかたなく遠くからアニメを見ました。最初は本当に「しかたなく」見てたのですが、意外と心に染みるアニメで、いつの間にか熱中して見てました。
ちなみに、上溝隊員もこの部屋にいるのですが、日向隊員を見たくないのか、ずーっとコンソールのモニターやレーダースコープを見てました。
1本目のアニメが終わり2本目のアニメが始まったころ、引き分けの自動ドアが開き、隊員服姿の倉見隊員が入ってきました。日向隊員はそれに気づくと、慌てて立ち上がり、会釈しました。
「お、お帰りなさい!」
隊長も立ち上がり、日向隊員を見ながら倉見隊員に話しかけました。
「倉見、紹介するよ。この
「日向愛です。よろしくお願いします!」
日向隊員はそう言うと、慌てて右手のグローブを脱ぎ、その手を差し出しました。握手を求めたようです。倉見隊員はその手にグローブをした手で軽くタッチ。握手ではなく、タッチしたのです。
「よろしく」
倉見隊員はそう言うと、180度振り返り、再び自動ドアを開け、出て行きました。日向隊員は愕然としてしまいました。隊長はそんな日向隊員を見て、
「あいつはあんなやつだ。気にすんな」
けど、日向隊員は沈んでしまいました。
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