君のテレストリアルガード 37
倉見隊員がおもむろに口を開けました。
「昨日夢の中にえびちゃんが出てきました」
それを聞いて隊長と橋本隊員がびっくり。
「え?」
「えびちゃんは、あなたはこんなところで死んじゃだめだ。最後の最後まで隊長を守ってください、と言ってました。そしてオレの眼の上を触ったんです」
隊長の質問。
「単管パイプをぶつけられたところか?」
「ええ。えびちゃんが眼の上を触ってたとき、なんかとても不思議な感じがしたんです。なんと言えばいいかなあ。そこから優しいエネルギーが入り込んで来たと言えばいいか・・・
気づいたら眼が醒めてたんです」
隊長と橋本隊員は眼を合わせました。そして隊長は倉見隊員を見て、
「実はえびちゃんは・・・」
ここで倉見隊員が口を挟むように発言しました。
「亡くなったんですよね」
隊長は今言おうとしたことを先に言われてしまったので、驚いてます。
「ええ?・・・」
「夢の中で本人が言ってました。もしかしてオレ、えびちゃんに命をもらったのかも・・・」
隊長は柔和な顔を見せ、
「ふふ、かもな」
再びテレビ局のスタジオ。司会者やスタジオのセットを見ると、先ほどとは違うテレビ局のようです。ここでも城所弁護士が熱弁をふるってます。
「実は昨日O党、P党、Q党、R党の党首とお話したのですが、4党首ともテレストリアルガード解体に賛同してくれました!」
ここはテレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。テレビを見ている女神隊員は、かなり深刻な顔をしてます。なお、女神隊員はウィッグで特徴的な単眼を隠してました。
テレビの中では城所弁護士の熱弁が続きます。
「実はA党B派の派閥リーダーにもアポを取っていて、6時に会いに行く予定になってるんですよ」
それを聞いて寒川隊員が、
「ええ、それはまずいんじゃ・・・」
女神隊員が振り向いて寒川隊員に質問しました。
「何がまずいんですか?」
「O党もP党もQ党もR党も弱小野党で、全議員の数を足しても衆参両院の3割くらいだけど、それにB派の数を足すと過半数をはるかに超えてしまうんだ。もしこれらが束になったら、テレストリアルガードは解散だよ」
女神隊員はびっくり。
「ええっ?」
上溝隊員が反論します。
「でも、A党はテレストリアルガードを作った政権与党よ。たとえB派がテレストリアルガード解散に賛成しても、A党が党として反対したら、B派も反対するんじゃないの?」
「けど、B派はこの前の選挙で第1派閥に成りあがってますよ。首相もB派の意向には逆らえないんじゃないかなあ?・・・」
「う~ん、もしかして寒川くん、テレストリアルガードを解散させたい気なの?」
「い、いや、そんなことないですよ。あくまでも客観的な意見ですよ」
これを女神隊員は深刻な表情で聞いてました。女神隊員は宇宙人。宇宙人は発見されると身柄を拘束され、ひどい拷問を受けます。いや、拷問という部分は女神隊員の想像なのですが、実際拘束された宇宙人がその後どうなったのか、だれも知らないのです。
女神隊員は今、テレストリアルガードの隊員。それが身分保障になってます。だから拘束されません。けど、テレストリアルガードが解散になったら、拘束される可能性大。その先は拷問か、人体実験か・・・ テレストリアルガード解散は女神隊員にとっては死活問題なのです。
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