君のテレストリアルガード 8
海老名隊員の発言が続いてます。
「私は6年前の戦争で瀕死の重傷を負って、藁にもすがる思いでメガヒューマノイドになりました。もしメガヒューマノイドになってなかったら、私はここに立っていません! メガヒューマノイドは悪魔の兵器じゃないです!」
隊長はぼやきます。
「しかし、こうも一方的に記者会見をされちまうとはなあ・・・」
隊長はちょっと考え、大島さんに質問しました。
「どうです。あの映像を公開してみては?」
「ええ、私も思いました。百聞は一見にしかず。あれを見れば非は向こうにあると誰もが思うはず」
ここで橋本隊員が質問。
「なんですか、その映像て?」
大島さんが応えました。
「黒部すみれの身体には、ビデオICレコーダーが仕込んであるんだ。それに記録された映像だよ。
けど、あの映像には殺された不良少女の顔がぱっちし映ってるんだよなあ。あれにはボカシを入れないといけないな・・・」
隊長。
「いや、モザイクなしで公開しよう!」
大島さんが隊長に質問。
「いいんですか?」
隊長は笑みを浮かべ、
「あの弁護士の論理だと、死んだ人間には人権はないんだ。それに
大島さんは苦笑いにも見える笑みを見せ、
「ふふ、まあいいですけど・・・ 私は責任を持ちませんよ」
それからしばらくして動画投稿サイトに例の映像が投稿されました。黒部すみれの眼から見た黒部すみれが不良少女に殴られてる映像です。周りを囲んでいた不良少女の顔にはボカシがかかってますが、黒部すみれに直接手を出し、反撃され殺された不良少女の顔にはボカシがかかってません。
ここは弁護士事務所の応接室。城所弁護士が執務机に座ってノートパソコンを見ています。ノートパソコンの中では不良少女が黒部すみれに踏み潰される映像が流れてました。
城所弁護士は苦虫を潰したような顔を見せますが、すぐに笑みを浮かべ、電話の子機を握りました。
「あー、もしもし、すぐに記者会見場を手配してくれないか? あー、どこでもいいよ。ともかくすぐ用意してくれ!」
城所弁護士は電話の子機を眼の前のテーブルに置きました。その顔は笑ってます。
「ふふ、このオレにケンカを売るとは、いい度胸じゃないか。え、テレストリアルガードさんよ!」
その夜、城所弁護士は記者団を集め、再び記者会見を開きました。なお、今回は不良少女の母親はいません。
「私はこの映像を公開したテレストリアルガードを訴えることにしました!」
記者の質問。
「理由は?」
「被害少女の顔を公開したからです!」
別の記者の質問。
「しかし、城所弁護士、あなた、日頃から死んだ人間には人権も名誉もないと言ってますよねぇ。死んだんだから顔は公開しても問題ないんじゃないですか?」
それに対し城所弁護士は、かみ合わない応答をしました。
「今回殺された娘さんは、前途洋々な未来がありました。それを黒部すみれは無残にも断ち切ったのです。
この映像はテレストリアルガードがあげてます。黒部すみれはテレストリアルガードに所属してることは間違いありません! これはもうテレストリアルガードの公権力の乱用です!
私はテレストリアルガードを断固訴えます!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます