君のテレストリアルガード 9

 話を土曜日の朝に戻しましょう。ここはテレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。隊長がテレビを見ています。このテレビのコメンテーターも激しく城所弁護士を非難してました。隊長はつぶやきました。

「ふ、バカな弁護士やつだ。身の程知らずて言葉をしらないのか?」

 隊長の視野の端で自動ドアが開きました。隊長がその方向に振り向くと、そこには大きなボストンバッグを持った海老名隊員が立ってました。服は私服です。

「隊長、用意ができました!」

「ん、わかった。じゃ、行くか!」

 隊長は立ち上がりました。


 郊外の道路をテレストリアルガードのカラーリングを施した4ドアセダンが走ってます。運転してるのは隊長。助手席には海老名隊員が座ってます。海老名隊員はおもむろに口を開きました。

「隊長、私を降ろしたあと、その足で警察に行って、このクルマにすみれを乗せますよね」

「お前、なんでもわかってんだな・・・ そんなにすみれが嫌か?」

「ふ、別に・・・

 ただ、1つお願いがあります」

「なんだ?」

「隊長は私もすみれも自分の娘だと思ってるようですが、私、あんなやつの妹になるのは絶対嫌ですよ」

「わかった。それは心に留めておこう」

 そして思いました。

「じゃ、先にメガヒューマノイドになったから、姉にしとくか」


 4ドアセダンが病院の駐車場に到着しました。かなり大きな総合病院です。隊長と海老名隊員が4ドアセダンを降り建物に入ると、そこには大島さんともう1人、40代の白衣の男性が待ち構えてました。隊長のあいさつ。

「いや、どうも」

 白衣の男性は手を伸ばしてきました。握手を求めているようです。

「初めまして」

 大島さんが白衣の男性を見て、

「こちらは下島。今年4月1日からテレストリアルガード技術開発部門ヒューマノイドセクションの主幹にいた技術者です」

 隊長は下島さんと握手しました。

「ああ、初めまして。どうも」

 下島さんは海老名隊員を見て、

「君が海老名さん」

「はい、よろしくお願いします」

「ふふ、ほんとうにかわいい女の子なんだな。

 ここだとなんですから、会議室で説明しましょう」

 4人が歩き始めました。


 ここは小さな会議室。4人がテーブルに座って会話してます。4人以外には人影はありません。

 下島さんが切り出しました。

「ヴィーヴルから提供された軍事技術ですが、日本の技術進歩は物凄い勢いがありまして、あらゆるものが急激に進化しました。アメリカにも同じ技術がもたらされましたが、おそらく日本の方が先行してると思います。

 私たちメガヒューマノイドセクションもいろいろと研究してまして、頭蓋骨を丸ごとチタン合金に替えてしまう技術を確立したんですよ」

 それを聞いて隊長と海老名隊員が感心。

「ほ~」

「頭蓋骨をチタン合金にすると、10トンの衝撃に耐えることができます」

 海老名隊員の顔は歓喜になりました。

「じゃ、トラックに轢かれても?」

「ええ、ものすごいスピードが出てない限り、無傷です」

「すっごーい!」

 海老名隊員は隊長の顔を見て、

「隊長。私、この手術、受けてみる!」

「けどなあ・・・」

 隊長が下島さんに質問。

「その手術、どれくらい時間がかかるんですか?」

「具体的な期間は言えませんが、1ケ月は覚悟してください」

「おいおい・・・」

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