君のテレストリアルガード 3

 けど、隊長には1つ不安がありました。それは海老名隊員。海老名隊員はメガヒューマノイドであると同時に、予知やリモートビューイングが使える超能力者でもあります。

 今日黒部すみれに会ったことに気づいてる可能性があります。もし気づいていたら、海老名隊員はヘソを曲げる可能性大。田村佐恵子事件のときのようにヘソを曲げられたら、かなりめんどうなことになります。隊長は海老名隊員に気づかれてないよう、祈りました。


 4時過ぎとなりました。サブオペレーションルームの自動ドアが開き、中学校から帰ってきた海老名隊員が姿を現しました。

「ただいまーっ!」

 隊長はその海老名隊員を見ました。

「お帰り」

 海老名隊員はすでにテレストリアルガードの隊員服に着替えており、いつものようにテーブルに座って、ノートパソコンでインターネットを始めました。どうやら黒部すみれには何1つ気づいてないようです。隊長はちょっと安心しました。


 それから数日は、平穏な日々が続きました。しかし、ある日突然隊長は、テレストリアルガード本部に呼び出されました。何か不穏な雰囲気です。

 隊長は再びスーツに着替え、私用のクルマで都内にあるテレストリアルガード本部に向かいました。


 テレストリアルガード本部の廊下です。隊長が歩いてます。

 隊長はあるドアの前に立ち止まりました。そしてノック。けど、返事がありません。

「あ~ 入りますよ」

 と言うと、隊長はドアを開けました。


 中は小さな会議室でした。2人がイスに座ってます。40代から50代の男女、夫婦のようです。内女性は見覚えのある顔です。先日隊長が黒部すみれの家に行ったとき、黒部すみれを追って顔を出した女性です。そう、黒部すみれの母親代わりの女性です。

 2人ともかなり深刻な顔をしてます。2人は立ち上がり、

「よろしくお願いします」

 と、隊長に深々と会釈。隊長も2人に、

「あ、どうも」

 と、軽くあいさつをしました。ここでドアが開き、50代くらいの男性が1人入ってきました。男性は隊長に気づくと、

「ああ、香川さん、もう来てましたか」

 と発言。隊長はその男性、大島さんを見て、

「どうやらすみれが何かやらかしたようですね」

 大島さんは苦笑いをして、

「ええ、まあ・・・」

 大島さんはイスを見て、

「まあ、座ってください」

 隊長はそのイスに座り、大島さんはテーブルを挟んで隊長と相対するように座りました。夫婦は隊長の脇に座ってます。

 大島さんが切り出しました。

「実は・・・ 人を殺しました」

 隊長は唖然としました。ある程度の事態は予想してましたが、まさかすみれが人を殺したなんて・・・

「これを見てください」

 大島さんは手にしたリモコンを押し、テレビをつけました。テレビの中には女子生徒が1人大きく映し出されてます。その両側にも何人か女子生徒が映ってます。どうやらここは高校の女子トイレのようです。

 真ん中の女生徒がしゃべってます。かなり高飛車な態度です。

「なあ、あんた、テレストリアルガードの研究所出身なんだって? テレストリアルガードて税金をじゃぶじゃぶ使ってる団体だろ? ちっとは抜いてもわからないんじゃないのか?」

 隊長は大島さんに質問しました。

「これ、すみれの視点か?」

 大島さんはリモコンのスイッチを押し、テレビ(ビデオ)を止めました。

「ええ。黒部すみれの視点です。彼女の身体にビデオICレコーダーを仕込んでおいたんです」

 隊長は思いました。

「おいおい、これ、えびちゃんの身体にはついてないんだろうなあ?・・・」

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