魔法少女にはまだ早い 29(終了)

 再び法王様。法王様は振り返りました。そこには少女がいました。

「電話したよ。ゲオルギウスはもうジェニーに手を出さないはずだ。けど、ジェニーは本当に君を助けてくれたのか?」

「はい。あのときジェニーに出会わなかったら、私は魔人に殺されてたと思います」

「ふふ、そうか」

 が、ジェニーはこの女の子を救出したことはありません。実はこの少女の正体は、以前ジェニーに忠告を与えた老婆の魔女だったのです。ジェニーのことを考え、厳しい警備の網をかいくぐり、直接法王様に謁見したのです。

 けど、法王様はこの少女が老婆の魔女だと気づいてました。さすが法王様です。更に書くと、少女、つまり老婆の魔女は、魔女と気づかれてることに気づいてました。ある意味、騙し合いだったのです。

 でも、法王様は少女(老婆の魔女)の訴えを信じました。実は老婆の魔女と法王様は幼馴染だったのです。


 ジェニーが眼を醒ましました。その眼に八千代刑事を始め、たくさんの人々が映りました。誰かが叫びました。

「ジェニーが眼を醒ましたぞ!」

 何人が呼応しました。

「おおーっ!」

「やったーっ!」

 ジェニーはあたりを見回し、

「あれ、私、生きてんの?」

 ジェニーの眼の前に宮松優姫が立ってました。ジェニーは思わず言葉を漏らしました。

「あなた・・・」

 八千代刑事。

「ジェニー、このが君を助けたんだよ」

「え?・・・」

 宮松優姫。

「ごめんね、ジェニー」

 ジェニーはにこっとして、

「ありがと」

 2人は抱き合いました。ここでいつもとは違うEDアニメが始まりました。


 アニメを視聴してた少女は唖然としてます。感動の唖然です。と、ふと横を見たら、香川さんはうつむいて目頭を押さえてました。少女はそれを見て、心の中で苦笑しました。

「あは、香川さんて、私よりもずーっと純粋なんだ。まるで子どもみたい」

 少女は視線を真っ直ぐ前に向け、心の中で誓いました。

「私も・・・ 私もジェニーのような正義の魔女になる!」


 テレストリアルガードの一員になった少女ですが、小学生であることには変わりありません。彼女は復学することになりました。けど、関節が剥き出しのままの義手・義足があまりにもグロテスク。そこで精密な義手・義足が開発されるまで待つことにしました。

 そして復学。その日は水素核融合弾が墜ちた日。彼女は丸々1年休学したことになります。2度目の小学4年生となりました。

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