私が愛した男《ひと》 24

「はーい、5分経ったわよ!」

 その声は突然でした。女神隊員が振り返ると、イスに置かれたノートパソコンのディスプレイの中に女エイリアンが映ってました。女エイリアンは右手のレーザーガンをわざとらしくこちらに向けました。

「さあ、予告通り、あなたたちの大事な隊長さんをこのレーザーガンで撃ってあ・げ・る。腕がいいかなあ? 脚がいいかなあ? やっぱさっき予告した通り、ひざにするかな? うふふ」

 と、ここで異変が。女エイリアンの顔が突然ひきつったのです。

「ううっ?」

 次の瞬間、黒い影が画面を横切りました。どうやら黒いマントに黒いフードをかぶった人物のようです。が、ここから激しいノイズが入り、粗い映像はさらに粗くなりました。もう何が映ってるのかわからない状態。

 女神隊員はそのディスプレイを食い入るように見ました。

「こ、これって?・・・」

 数秒後映像が元に戻ると、女エイリアンは壁にもたれかかるように倒れてました。その身体には斜めに大きく斬られた傷がありました。

 海老名隊員は息を飲みました。

「し、死んでる・・・ あは、私でも呪い殺すことができたんだ!」

 海老名隊員は薄ら笑いを浮かべました。が、ふと何かに気づき、女神隊員を見ました。

「女神さん、あの部屋に行って! 隊長を助けて!」

「で、でも、赤い女の子が・・・」

 女神隊員は赤い女の子の出現を危ぶみました。けど、海老名隊員からしたら、一刻の猶予もありません。海老名隊員は思わず怒鳴りました。

「私は死んでもいいの! お願い、早く隊長のところに行って!」

「わ、わかったよ!」

 女神隊員の身体が瞬時に消滅しました。


 ここは女エイリアンが用意したスタジオ。窓のないスタジオです。今不気味な音が響き、黒くて大きな渦巻きが空間に現れ、そこから女神隊員が出現しました。

 女神隊員の目の前には女エイリアンが倒れてました。女エイリアンはピクリとも動きません。すでに死んでるようです。

 女神隊員が振り返ると、4人分の死体が転がってました。4人とも女エイリアン同様、斬り殺されてました。4人ともかなり大型な銃を持ってます。やはりテレポーテーションしてくる女神隊員を蜂の巣にする作戦だったようです。

 なお、撮影機材ですが、カメラはなぜか地球製でした。パソコンなども地球製のようです。

 女神隊員は十字架に縛りつけられた隊長を見上げました。次の瞬間女神隊員は口をあんぐりと開けました。女神隊員はカメラを見て、

「海老名さん、これ、隊長じゃないよ!」

 それを聞いてビルの中の海老名隊員がびっくり。

「え?」

 女エイリアンのスタジオ。女神隊員は三脚に取り付けられたカメラを三脚ごと持ちあげ、それをコードが許す限り隊長の顔に近づけ、隊長の顔を撮影しました。その顔は明らかに作り物でした。画質が荒かったことと、猿ぐつわのせいで、騙されていたようです。

 海老名隊員はがっくし。

「そ、そんな・・・」

 その海老名隊員の背後で不気味な音が響き、暗い雲が立ちこめ、そこに女神隊員が現れました。女神隊員は背後から海老名隊員に話しかけました。

「海老名さん!」

 海老名隊員は反応しません。女神隊員は言葉を続けます。

「海老名さん、私じゃこれが限界なの! ここからはあなたの仕事! お願い、隊長を探し出して!」

 海老名隊員は怒鳴りました。

「わ、わかってんわよ!」

 海老名隊員は瞑想に入りました。でも、隊長の居場所は思い浮かびません。海老名隊員はまたもやイライラしてきました。

「あーん、もう・・・」

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