神の国を侵略した龍 5

 尾崎豊ていったいなんなの? 海老名隊員はスマホを取り出して尾崎豊を検索。すると驚愕の事実を知ってしまいました。なんと寒川隊員が生まれる前に尾崎豊は亡くなってたのです。なんで寒川隊員は尾崎豊を知ってるのでしょうか?

「もう、尾崎豊なんか飽きた~」

 ついに海老名隊員が駄々をこね始めました。隊長がその海老名隊員を見て、

「じゃ、次は尾崎は尾崎でも、尾崎○香の曲を歌おっか」

 すると海老名隊員は急に笑顔になり、

「わーい! たーのしー!」

 と返事。で、2人で頭にけもの耳を付けてドッタンバッタン大騒ぎ。50過ぎたおっさんとは思えない隊長の行動に、寒川隊員はただひたすら苦笑するしかありませんでした。

 ところで、問題の隊長の食事ですが、歌に夢中でチョコレートなどお菓子しか頼んでません。これなら塩分は大丈夫なようです。


 渋谷のスクランブル交差点です。平日の昼ひなかだというのに、たくさんの人がゼブラゾーンを渡ってます。その中に不思議な格好をした女がいます。年は18~20歳くらい。フードを被ってます。なんか古代からやってきたて感じの不思議なファッションです。身体はスリムですが、胸はかなり豊かなようです。

 女はゼブラゾーンのど真ん中に立ち、周りを行きかう人々を見て、思いました。

「なんだ、この街は? 私が今まで制圧した国の中でも、ダントツに平和ボケしてるじゃないか! ふふ、これは壊しがいがある! 壊して壊して壊しまくってやる!」

 と、突然女の身体が巨大化しました。とてつもなく大きな影がスクランブル交差点に現れました。クルマの中の人たちは唖然としてます。道行く人々の顔は恐怖に引きつり、たくさんの人が悲鳴を上げました。阿鼻叫喚そのもの。


 テレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。ヘッドホンで緊急通報を聞いて、オペレーションルームのコンソールの前に座ってた上溝隊員が振り返りました。

「隊長! 渋谷で巨大な怪獣が暴れてます!」

 それを聞いて隊長は驚きました。

「ええ、巨大な怪獣だと?」

 その隊長に橋本隊員が話しかけました。

「怪獣ですか? 我々の担当ではありませんが?」

「いや、宇宙人が侵略の先兵に連れてきた怪獣かもしれないし、怪獣そのものが宇宙人かもしれないし・・・ ともかく出動しよう!」

 橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員・女神隊員がそれに応えました。

「了解!」


 ここはテレストリアルガード基地滑走路。上空にはかなりぶ厚い雲が出ています。その下、ストーク号とヘロン号がたった今浮上したところです。

 ストーク号コックピット。いつものように隊長と寒川隊員が横に並んで座っており、後ろの補助席には女神隊員が座ってます。隊長の質問。

「ジャンプの用意はできたか?」

 それに寒川隊員が応えました。

「はい!」

 隊長はヘルメットと一体になった無線機に話しかけました。

「橋本、そっちは?」

 ヘロン号のコックピット。いつものように橋本隊員と倉見隊員がマスクとシールド付きのヘルメットを装着して座ってます。橋本隊員が応えました。

「いつでもOK!」

 再びストーク号のコックピット。隊長の命令です。

「よし、ジャンプ!」

 ストーク号とヘロン号がふっと消えました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る