神の国を侵略した龍 6

 上空です。ここにも分厚い雲が出ています。その雲の下に突然ストーク号とヘロン号が現れました。その眼下、渋谷のスクランブル交差点周辺は大きく破壊されており、大破したクルマが歩道に積み重なってます。中には激しく燃えてる車両もあります。隊長は驚きました。

「な、なんだ、こりゃ?」

 道路の向こうで煙と炎が上がってます。よーく見るとそこには、巨大な生物がいます。

「あれが怪獣か?」

 テレビカメラが怪獣を捉えました。なんか西洋のドラゴンて感じの怪獣です。側頭部には二股の角が1対生えてます。身体には大きな翼が生えてます。眼光鋭く、まだまだ壊し足りないって顔をしてます。その映像に合わせ、テレビ局のアナウンサーの声が。

「10分前渋谷スクランブル交差点に突如出現した怪獣は、現在代々木公園の方に向かってます。近くにお住いの方は、すぐに避難してください! もう一度お伝えします!・・・」


 どこからともなく報道のヘリコプターが飛んできました。ヘリコプターは明らかにヘロン号の行方を邪魔してます。ヘロン号の橋本隊員は、そのヘリコプターに眉をひそめました。

「くそーっ! なんなんだよ、こいつ? 邪魔だっつーの!」

 猛スピードでヘリコプターに突っ込んでいくヘロン号。そのヘリコプターの操縦者が横目で後方を見て慌ててます。

「うわーっ!」

 ヘリコプターはヘロン号を避けます。ヘロン号の橋本隊員は横目で後ろを見て、

「けっ、そこで小さくなってろや!」

 橋本隊員はコンソールのボタンの1つを押しました。するとヘロン号の腹のハッチが開き、ビーム砲の砲塔を出しました。ヘロン号はそのまま道路に沿って飛び、ビーム砲を発射。そのビームが怪獣の背中に命中。ヘロン号の橋本隊員と倉見隊員は歓声を上げました。

「よーし、やったーっ!」

「へ、ちょろいもんだぜ!」

 けど、怪獣は平気な顔をしています。

「ふっ、そんなもの、私に効くと思ってんの?」

 橋本隊員と倉見隊員の顔色が暗転しました。

「き、効いてない?・・・」

 怪獣は大きく口を開け、火焔を吐きました。

「死ねーっ!」

 その火焔がヘロン号の背後に。倉見隊員は横目でその火焔を見て、

「ちっ・・・」

 ヘロン号は大きく旋回してその火焔を避けました。それを見てストーク号に乗ってる隊長が驚きました。

「な、なんだ? あいつ、火を吐くのか? ふっ、じゃ、これはどうだ!」

 ストーク号が怪獣の真上やや後ろで空中停止。コックピットの隊長。

「この位置じゃ火焔は吐けないだろう! 寒川、ビーム砲で攻撃だ! うなじだ! うなじを狙え!」

「了解!」

 ストーク号が腹から2基の砲塔を出し、ビーム砲を発射。2条の光線が怪獣のうなじの同じ個所に同時着弾。炸裂。しかし、怪獣は涼しい顔をしています。

 隊長はただ驚くだけ。

「き、効いてない?・・・」

 それに寒川隊員が応えました。

「隊長、あの怪獣の上から見える部分は、皮膚がぶ厚いんじゃないですか?」

「なるほど、それでビーム砲が効かない・・・ てことは、脇から攻撃すれば・・・」

 隊長周囲を見ました。

「しかし、このビル群・・・ ここじゃ脇からの攻撃は絶対ムリだな・・・」

 しかたなくストーク号とヘロン号は上空で待機となりました。その間も怪獣は道路を進行していきます。

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