前方の敵後方の敵 4

 ストーク号は地上に落下した脱出用宇宙船を確認するために、低空飛行を始めました。するとレーダースコープ内の脱出用宇宙船と思われる影がストーク号に突進してきました。それを見て寒川隊員が焦りました。

「な、なんだ? ものすごいスピードでこっちに突っ込んで来るぞ?」

 実はそれは巨大化した宇宙人Dでした。宇宙人Dは個人携帯用認識ステルス機能で透明になってたのです。

 宇宙人Dは手刀を振り下ろしました。それがストーク号のコックピットを直撃。コックピット内に火花が散りました。隊長が慌てます。

「うわっ!・・・ な、何が起きたんだ?」

 その瞬間女神隊員は5点式シートベルトを外しました。一方寒川隊員もあせってました。

「だめです! ベイルアウト(座席射出⇒パラシュート脱出)できません!」

「くそーっ・・・」

 が、ストーク号は強い衝撃とともに空中停止。

「こ、今度は何が起きたんだ?」

 隊長がフロントガラスの外を見ると、そこには巨大なヘルメットがありました。女神隊員が巨大化し、ストーク号をキャッチしてくれたのです。それを見て隊長はほっとしました。

「あ、ありがとう」

 女神隊員は一抱えもあるストーク号を地面に降ろしました。次の瞬間、女神隊員は空を斬る音を聞きました。と同時に、脇腹にひどい苦痛を感じました。

「ぐっ!」

 女神隊員はその衝撃で倒れそうになりましたが、まともに倒れるとストーク号を巻き込んでしまいます。わざとジャンプして遠くに飛ばされました。

 女神隊員はスタッと立ち上がりましたが、次の瞬間、今度はのどのあたりに強い衝撃を感じました。どうやら見えない宇宙人に蹴飛ばされたようです。女神隊員の身体はまたもや吹き飛ばされました。

 地面に倒れた女神隊員は、今度はちょっとだけ顔を上げ、あたりを見回しました。何か見えない敵がいる。見えなくっても影はできるはず。が、実は認識ステルス機能は影さえも作らないのです。

 女神隊員は今度は脇腹を蹴飛ばされました。女神隊員の身体がその衝撃で転がりました。今回はかなりの衝撃で、女神隊員は大きな悲鳴を上げてしまいました。ストーク号から出てきた隊長と寒川隊員が心配そうにそれを見ています。

「おい、しっかりしろ! くそーっ、こいつ、個人携帯用の認識ステルス装置を持ってるのか?」

 女神隊員は起き上がることはできません。見えない敵は再び女神隊員に近づきました。そして片足を大きく挙げ、踏み潰す体勢に。危ない、女神隊員!

 が、次の瞬間ビームが飛んできて、見えない敵にヒット。一見すると、何もない空中に大きな火花が散ったのです。そのビームを撃ったのはストーク2号でした。そのコックピット内、橋本隊員がニヤっとしています。

「ふっ、うまく隠れたつもりだろうが、四次元レーダーには丸見えなんだよ」

 今のビームを喰らってか、ごく一部ですが、宇宙人Dの金属製の黒っぽい服片が見えるようになりました。

「くっ・・・」

 女神隊員はなんとか立ち上がりました。と、空中に浮く服片に気づきました。女神隊員はニヤッと笑うと、手を挙げました。するとその手に剣が現れました。女神隊員は剣を振り挙げ、突進。

「うおーっ!」

 女神隊員は何もないところを剣でズバッと袈裟斬り。

「うぎゃーっ!」

 大きな悲鳴とともに空中から血が噴き出しました。

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