宇宙人受難之碑 16

 女の子はさらに話を続けます。

「なんでもその人はオカルト板に、誰か助けてください。今オレの部屋の中に誰かいるみたいなんです。死神かもしれません、て上げた直後に、階段から落ちて死んだようなんです」

 これで2人の男はさらにびびるかと思いきや、

「あは、なんだよ、それ? 今時死神ってw」

「草生えるの世界ですなぁ」

 と、高笑いを始めてしまいました。後部座席の女の子はそれを見て、元々感じていた嫌な予感が悪寒に変わったようです。


 この道路の終点はちょっと大きな駐車場でした。2台のクルマがこの駐車場に入ってきました。2台のクルマが停車。ライト消灯。7人が2台のクルマから降りてきました。軽自動車を運転してきた男が空を見上げました。満月に近い月が出ています。その月のせいで、街灯のない真夜中だというのに、それほど暗くありません。

「ふ、ちょうどいい明るさだ」

 それに軽自動車の助手席に乗っていた男が応えました。

「こりゃあ、懐中電灯はいりませんねぇ」

 1.5ボックス車を所有する男が、自身のクルマのハッチバックを開けました。男はそこから巨大ハンドブレーカーを取り出し、抱え上げました。ほかの男4人はそれぞれ巨大ハンマーと巨大バールを手に取りました。女の子2人は1台の発電機を2人がかりで持ちました。2人で両端を持つという感じです。軽自動車の運転手の男が先頭に立ち、声を挙げました。

「よーし、みんな、行くぞ!」

 それに残り6人が応えました。

「おーっ!」


 7人が駐車場の奥にある石碑、宇宙人受難之碑に向かって歩き始めました。

 1.5ボックス車を運転してきた男が、隣りを歩く男を見てびっくり。その男はムービーカメラで撮影しながら歩いてるのです。

「お、おい、まさかライブ配信?」

 男は笑いながら応えました。

「あはは、まっさかあ~ オレたちゃこれから石碑をぶっ壊すんですよ。そんなの、ライブ配信できないっすよ。編集で顔を消して、あとでようつべに上げるんですよ」

「あは、そっかぁ・・・ ま、ふつーに考えたらライブ配信できないよな。あははは・・・」


 7人が石碑に近づいてきました。と、突然謎の声が。

「ようやく来たか。ずいぶんと待たせやがって!」

 その声で7人の歩みが止まりました。特に軽自動車の後部座席に乗ってた女の子がびびってます。

「な、何、この声?」

 石碑の両側からそれぞれ1つずつ人影が出てきました。先ほどの女の子は思わず発電機を落とし、悲鳴を上げました。

「きゃっ!」

 軽自動車を運転してきた男が、

「だれだ!」

 月灯りが2人の顔を照らしました。それは私服姿の橋本隊員と倉見隊員でした。再び軽自動車を運転してきた男の発言です。

「お前ら、警察か?」

 倉見隊員の発言です。

「いや、警察じゃないな」

 橋本隊員の発言です。

「お前ら、凶器準備集合罪て知ってるか? オレたちゃ警察じゃなくても、お前らを現行犯逮捕できるんだぜ」

 それに軽自動車の助手席に乗ってた男が過剰に反応しました。

「ざけんな!」

 男は持っていた大きなバールを振り上げ、橋本隊員に向かって一直線に走り始めました。

「うおーっ!」

 男は明らかに橋本隊員に危害を加えるつもりです。それを見て橋本隊員は不気味に笑いました。

「あ~あ、こりゃあ正当防衛成立だな」

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