第2章 橋本隊員奪還作戦
橋本隊員奪還作戦 1
テレストリアルガードの基地には3つのカマボコ型の格納庫があります。この3つは等間隔に並んで建ってます。全部同じ大きさ。
テレストリアルガードの主力機ストーク号は今、薄暗い格納庫の中で静かに出番を待ってます。今このストーク号を見上げてる影が2つあります。1つは香川隊長です。彼はテレストリアルガード作戦部門の隊員服を着ています。
もう1つの人影は女性のようです。まるでパーティー時に着るような真っ白いワンピースのスカートを着ています。頭にはとてつもなく大きなつばの真っ白い帽子があります。帽子からのぞく顔を見ると、前髪が異様に長く、眼どころか、鼻も隠れてます。
実はこの女性は女神隊員なのです。前髪はウィッグです。これで単眼を隠してるのです。よーく見ると、髪の毛の隙間からヘッドセットが見えます。翻訳機のようです。かなり精巧にできてるようで、まるで本人がしゃべってるように聞こえます。
ちなみに、巨大な口ですが、日本人にもこれくらいの口の持ち主はいます。特徴的な単眼を隠してしまうと、その点は気にならないようです。
隊長が説明してます。
「これがストーク号だ」
女神隊員はストーク号を見て、このストーク号に攻撃されている、巨大化してる自分を思い浮かべました。隊長はそれを察したらしく、
「このマシンは嫌か?」
と質問。女神隊員はそれに質問で返しました。
「・・・いつか、いつか私も乗らないといけないんですよね?」
「テレストリアルガードの隊員になったんだ。そのうちな」
女神隊員は黙ってしまいました。
「次に行くか」
隊長は木戸のようなドアを開けました。
2人が格納庫の外に出ました。格納庫の中は薄暗かったのですが、屋外は抜けるような青空でした。女神隊員は白い帽子のつばの先端をつまむと、空を見上げました。
「私の星と同じ青い空だ」
女神隊員はぽつりとつぶやきました。ウィッグの隙間から大きな単眼が見えます。
「すみませーん!」
女神隊員の背後から突然声が。女神隊長が一べつすると、フェンスの向こうにカメラを持った若者が数人いました。
「ヘルメットレディさんはいませんかーっ?」
ヘルメットレディとは女神隊員のことです。初めて巨人化したとき、ヘルメットを被っていたので、世間ではいつの間にかそう呼ばれるようになってました。
ヘルメットレディは巨人化した宇宙人をあっという間に退治したことで、世間では大いに話題になってました。
ヘルメットレディで今わかってることは、テレストリアルガードにいるということだけ。そこでヘルメットレディの姿を捉えるために、こうやってたくさんの人がこの基地周辺にたむろってるのです。
「いないよーっ!」
隊長は大声でそう返事しました。若者たちはまた何かを叫びました。どうやら別の質問をしたようですが、隊長はそれを無視するように、隣りの格納庫のドアを開けました。
ここは隣りの格納庫の中です。ドアが開き、強い陽光とともに隊長と女神隊員が入ってきました。隊長が横目で後ろにいる女神隊員を見て、こう発言しました。
「ふふ、あんた、大人気じゃないか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます