女神

のどか

第1章 女神の一番長い日

女神の一番長い日 1

 8年前宇宙人が攻めてきました。攻めてきた宇宙人はユミル星系出身なので、ユミル星人と名付けられました。

 ユミル星人はまず十数発の水素核融合弾を地球に落としました。水素核融合弾とは放射能が出ない水爆です。突然そんなものが降ってきたので、地球は大混乱となりました。

 その直後、今度はユミル星人の軍隊そのものが降下してきました。彼らは主にアメリカとヨーロッパに降りてきました。地球人たちも残った兵器で迎撃を試みましたが、まったく歯がたたず、防戦一方となりました。

 が、2日も経つと形勢が逆転しました。ユミル星人たちが次々と病気で倒れて行ったのです。

 実は彼らは数年前から十数人の偵察隊を地球に送り込んでました。彼らの目的の1つが、ユミル星人に害をもたらす病原菌の調査でした。そこで集められたデータを元にユミル星人はワクチンや抗生物質を作り、地球侵略の日に備えてました。が、見落としてたウイルスがあったのです。それは地球上の動植物からみたらまったく無害なウイルスなのですが、ユミル星人から見たら、発病して数時間で死に至る恐ろしいウイルスでした。これが原因でユミル星人は一度撤退しました。地球人はこのウイルスをキラーユミル星人ウイルスと名付けました。


 それから3年後、再びユミル星人が攻めてきました。今度はまず50発以上の水素核融合弾を地球上に降らせました。地球側も暗愚ではありません。今度はたくさんの迎撃ミサイルで迎撃しました。が、それでも地上で数発の水素核融合弾がさく裂しました。続いてユミル星人の軍隊が降りてきました。今回は欧米だけではなく、地球上のほとんどの国に降りてきました。もちろん、日本にも。

 ユミル星人の軍事技術は地球のそれをはるかに超えてました。しかもこのとき襲ってきたユミル星人はユミル星人本体ではなく、ユミル星人に侵略され、植民地になっていた星の人々によって結成された軍隊でした。当然ユミル星人キラーウイルスが効くわけがなく、地球の敗北は決定的とみられました。

 が、日米両政府が宇宙の傭兵部隊ヴィーヴルと密かに交渉していて、ユミル星人第二次襲来とともに急遽契約。

 ヴィーヴルの軍事技術は宇宙一と言われており、地球に降下したユミル星人の軍隊はヴィーヴルが参戦したと聞いて一気に戦意喪失。あっという間に撤退していきました。

 その後日米両政府は、ヴィーヴルからいくつかの技術供与を受けました。それはヴィーヴルから見たら10%にも満たない技術でしたが、地球から見たら既存の技術をはるかに凌駕する軍事技術だったのです。

 しかし、このことで日米両政府は世界から非難を浴びました。この技術があれば世界征服を簡単に成し得てしまうからです。すべての国が軍事技術の開示を迫りました。もちろん日米政府がそれに応じるはずがありません。しかし、日本では国内からも軍事技術開示を迫る声があがりました。

 そこで日本政府は自衛隊等、他の組織から完全に切り離された地球防衛組織、テレストリアルガードを創設。ヴィーヴルから供与された軍事技術は、テレストリアルガード以外では絶対使わないと宣言しました。

 テレストリアルガード基地は東京近郊に設置。また宇宙空間には宇宙支部であるテレストリアルガードスペースステーションJ1を設置。再びのユミル星人の襲来に備えました。

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