02 ぶつくさ言いつつも



「僕は反対したからな。絶対反対したからな。責められても僕はお前らの事かばわないからな!」

「ぶつくさ言いつつも、つきあい良いよなヨルンって」

「ヨルンは良い人だもの」


 説得失敗。魔物討伐に付き合わされた。

 けれど、幼いころから、木刀だの剣だのを携えて、魔物をばったばったとなぎ倒してきた二人は、さすが力量が違った。


 魔物は見る間に、討伐されていく。

 二人に付き合わされて、なくなく腕が上達してしまった僕とは、色々次元が違う。


「ふぅ、これで全部片付いたわね」

「おっしゃ、終わり! 俺が一番やっつけた数が多かったな!」


 僕がぜーはー言ってる間に、十とか二十とかの数を片付けてしまっているんだから、色々人間のできがおかしい。


 しかも、雑談してる暇もあるらしい。


「先生も言ってた、一匹見つけたらたくさん出てくるって、魔物って本当にそうなのね」

「何か違うの混ざってないか。んー、でもたくさんいるよな。ここ。帰る時も、また出会いそう」


 ついてけない。


「もう、帰るぞ。これ以上ここにいたら、他の魔物が寄ってくる!」


 退治した魔物の血の匂いで他の魔物が寄ってくる、なんてことはよくある。

 だから、早めにこの場所から離れたかったのだが。


「えっ、いいじゃない。それだけ討伐すればみんなのためになるんだから」

「だよな! 俺達三人がそろってれば、どんな奴が来たってらくしょーだろ!」


 との発言だ。


 正気を疑う。


 こいつら調子のってんな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る