第11話 自宅→学園


 おはようございます。

 私のモーニングルーティーンを紹介します。


 起床は5時。

 寝るのが遅くなっても起きる時間は一定です。

 顔を洗って歯を磨いたら、スポーツウエアに着替えて鍛錬。 

 体操→筋トレ→ランニング。

 その後にナイフ術+格闘術の稽古。


 脱出ゲームでもそうでしたが、私はナイフを主要武器としています。

 理由は幾つかありますが、

 一番はデスゲームでの使用率が高いからです。

 デスゲームで刃物や鈍器が使用されることは大多数。

 特にナイフは素人でも扱いやすく、その上でプロの技も活かせる凶器として様々なデスゲームに登場します。銃撃戦がメインのデスゲームでも、副武器としてナイフを装備していることは多いですしね。

 銃や刀、その他武器の稽古も行いますが毎日ではありません。


 最後は瞑想ストレッチで鍛錬終了。


 鍛錬後はシャワーで汗を流してから朝食。

 メニューは、

 牛乳・パン・サラダ・卵・ヨーグルト・フルーツ、最後にプロテイン。

 今日は洋食ですが和食の時もあります、プロテインは必ず飲みますけど。

 食べ終わって食器を洗ったら登校の準備。

 軽くメイクし髪型を整え制服に着替える。

 因みにスカートは膝上5センチ丈。昨日みたいにショーツの上にブルマ履いてさらにスパッツ履くような真似は普段しません。


 姿見鏡で最終チェックして、財布とスマホを鞄に入れたら登校です。

 「行ってきます」は言いません、私は一人暮らしなので。

 家族事情はまた近い内に話すとしましょう。


 私立龍宝学園。

 全国屈指のお金持ち学校。家柄だけでなく勉強やスポーツでも名を轟かせるエリート校でもあります。

 私はここの高等部三年Aクラス。

 教室に入り席に着くと、クラスメイトの二人が近づいて来ました。


「おっす美優みゆ


 一人は琴宮ことみや あかね

 ショートヘアーでクールな顔立ち。ボーイッシュな雰囲気で177㎝と長身のバスケ部エース。


「ごきげんよう美優みゆさん」

 

 もう一人は白鳳院はくほういん 聖華せいか

 縦ロールヘアーでエレガントな顔立ち。気品あふれる雰囲気で生粋のお嬢様。


「おはようございます。茜さん、聖華さん」


 そして、

 自己紹介が遅れましたが、私の名前は清白すずしろ 美優みゆくれないは裏の業界での偽名ですから当然学校では呼ばれません。

 ロングストレートヘアーでカジュアルな顔立ち。清楚な雰囲気の優等生…的なキャラで学園生活を送っています。


「今日の体育での50m走、勝負だからな逃げんなよ」

「逃げませんよ」


 茜さんと知り合ったのは一年生の時、女子で一番速いと言われていた茜さんの50m走タイムを私が抜いたのが切っ掛けでした。

 モーニングルーティーンで語った通り私は鍛錬を毎日行っています、それも幼少の頃から。特に脚力には自信があります。

 タイムを超えられたと知った茜さんが勝負を挑んできたので直接対決となり、結果は私の勝利。

 茜さんはカラっとした性格で「お前凄いな!」って感じで親しくなりました。


「そんなことより美優さん!中間テストがもう直ぐですわよ、勉強をサボってはいませんでしょうね」

「サボってはいませんよ、いつも通りです」


 聖華さんと知り合ったのは二年生の時。とは言っても私は一年生の時から聖華さんを知っていました。

 白鳳院家はこの龍宝学園に通う生徒の中でも三指に入る超名家。初等部から通っていて、学園の女子カーストでトップと言える生徒なのです。

 さらに聖華さんは家柄だけでなく成績も良くテスト総合トップ5に入ります。

 私はだいたい15位ぐらいです。ただし二年の期末テストだけ、とある理由から本気でテスト勉強をして総合1位になりました。

 それを知って何を思ったのかは分かりませんが「おーほほほほ!わたくしは白鳳院聖華と申しますの。仲良くしてあげても宜しくてよ」と声をかけてきたのです。


「いつも通りでは駄目ですわ。優美さんはやれば出来る人なのですから」

「中間テストなんてまだ先なんだから、そっちの方が「そんなこと」だろ」

「50m走のタイムなど、将来なんの役にも立ちませんわ」

「足の遅い奴は皆そう言い訳すんだよな」

わたくしは遅くはありませんわ。8.9秒で女子平均タイムですわ」

「6.9秒の私と二秒も差あんじゃねか。普段運動しない奴はこれだから」

「貴方の方こそ勉強にエネルギーを使ったらどうですの。テストは赤点ギリギリなのでしょう」

「ほとんどは平均点だよ、数学はギリギリだけど…」

「まぁまぁ二人とも、朝から喧嘩しないでください」


 この2人私の前でよく喧嘩するんですよね。

 

 そんないつものやり取りをしていると、教室の前の方が少し騒がしくなりました。

 騒ぎの中心は登校して来た一人の男子生徒。

 その男子生徒は顔左頬に大きなガーセを貼っていました。

 周りが「どうしたんだよその顔?」「大丈夫?」と口々に話しかけています。


「近衛のやつ、喧嘩でもしたのか?」

「近衛君に限ってあり得ないと思いますけど…」


 彼の名前は近衛このえ 天晴てんせい

 センターパートヘアーでフレッシュな顔立ち。人畜無害な雰囲気の優等生…と皆からは思われています。


「ほんとどうしたんでしょうね?」


 まぁ、私が蹴り飛ばしたのですけど。


 やはり参加者No.13『ネトゲ廃人』は近衛君で間違いなさそうですね。彼は成績優秀・スポーツ万能、コミュニケーション能力も高いので能力的にも一致します。

 気になるのは参加の理由と方法。

 課金のし過ぎ云々はデタラメ。虚偽プロフィールでの参加は裏との繋がりが必要不可欠……。


 考えたところで意味ありませんね、訊くわけにもいきませんし。

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