第614話 ダメもとで聞いてみる。

「——う、うーん?うん……?あー、よく寝た」


目の覚めた俺は背伸びをしつつ起きる。既に時間は――何時だろうか?多分朝ではない。多分……昼前かと思われる。


昨日は仲間。後輩ちゃん多めでみんなとともに山登りをしてきた。自然を感じて来て有意義なゴールデンウイーク初日を過ごしていた俺だった。

少し筋肉痛なのか。身体が痛い気がするのは――年……?ではないな。うん。気のせいだ。年なんてことはない。俺元気。よし。今日も元気に――って、特に予定無いんだよな。山登りを連休初日に――って連休はやっぱりみんないろいろ予定が――って感じで、じゃあとりあえず初日だけって感じで組まれた予定だったんでね。俺は残りの休み特に予定なしである。


そんなことを思いつつ俺は腕や足を叩きつつ起き上がり――再度言っておくが決して年ではない。俺元気。まだまだである。


ガサッ。


……足元で何かを蹴飛ばしたが――うん。ちょっと散らかっている俺の部屋は――そのうち片付けるとして――ん。まあ沙夜のところよりはマシだろう。これは綺麗に入るレベルだと思われる。ちなみに楓とか宮町さんと比較してはいけない。あの2人は――綺麗すぎる。うん。いつ行っても基本綺麗だからな。


ってことで、ポイポイ服を――って、脱ぐほど俺は来てなかったので、そういえば昨日は遅くに帰って来て――なんかポイポイ物をそこらへんに置きつつ寝たな。などと思いつつ。とりあえず洗面所へ向かった。


水で顔を洗ってちょっと目を覚まし。俺はタオルで顔を拭きつつ。リビングへと戻り。スマホを手に取る。時間は12時35分。これは――昼だな。うん。予定通りだ。俺の感覚はまだ鈍ってないらしい。そんなことを思いつつスマホを置いて――ってか。さっきも触れたが昨日は帰ってきたの遅かったからな。山に登りその後は飯食って――なんやかんやあって、帰ってきたら――確か日付が。だからな。うん。このくらいに起きるのはなるだろう。まあ睡眠時間は問題なしだな。


俺はその後は腹減った――ということで冷蔵庫を漁ってしばらくのんびり。うん。寝ていても腹は減る。そして食ったら休憩。うん。大切なことだな。


それから俺はなんかすることもないし。ということで、ちょっと散らかっていた部屋を片付けつつ。昨日の洗濯――などとまあ何もない時の休日を普通に過ごしたのだった。


「ってか。休みのくせに沙夜が乗り込んでこないな」


それから少しして、ふと片付け中の俺の頭にそんなことがよぎった時だった。


「——あれ?ちょっと待てよ?昨日は俺が予定あって――沙夜も予定があるとか言って――今日から宮町さんところ行ってるんじゃないか?あれ?そうだよな?バーベキュー肉!?」


もちろんだが俺の部屋には俺しかいない。だから返事はないが――ちょっと考える。


「今日俺は暇。そして沙夜たちも1日遅れて――あれ?俺なんで行ってないんだ?うん。俺参加できるじゃん。バーベキュー。うん。肉食えるじゃん。楽しそうじゃん。うん。行くべきじゃね?うん。行こう。今どこだ?沙夜たちはどこにいる?あっ、こういう時は――楓だ」


俺はそんなことを1人ぶつぶつつぶやきつつスマホを探す――って、さっきまでってか。起きた時はスマホすぐにあったのになんでないんだよ。スマホどこ置いた?誰か鳴らしてくれ?どこだよ!?いやマジでどこ置いた?


それから少しして俺はテレビ近くに置かれていたスマホを見つけ。楓に電話をしたのだった。って、誰だよ。あんなところに俺のスマホを置いた奴は――って俺しかいないか。うん。無駄なことを言ったな。


「……」


ってか、楓のスマホを鳴らしているが――出ないか。呼び出し音はなっているが――出る気配がない。もしかして楓スマホを持ってない?などと思い。仕方ない。沙夜にかけるか。と俺が思った時だった。


「——はいはーい」


うん?俺は一度スマホを耳から離して画面を見る。うん。楓にかけている。宮町さんにはかけてない。でも今の声は宮町さん――って、いいか。楓のスマホを宮町さんが持っていることは多々あるだろう。とりあえず今は――。


「何で楓じゃないかわからないけど。宮町さんだよね?あの――俺今日暇だっただよ。うん。だからそっちに今から参加可能かな?お肉いただけますか?」


願いつつ俺がそんなことを言ってみると――宮町さんは特に考えるとか言う暇はなく。普通にいつもの雰囲気で――。


「ちょっと待ってねー。楓君楓君」


どうやら近くに楓はいるらしい。宮町さんがそんなことを言い――って楓に決定権があるのか?普段の様子からして――無いような?などと思いつつ待っていると。


「——時間からだと菰野駅何分の電車ある?」


ちょっと音量が小さくなったが。そんな声が聞こえてきた。って、ちょっと待て。俺

宮町さんに現在地言ったか?言ってなくないか?いや――でも宮町さんなら把握――うん。下手なことは考えないでおこう。また騒ぎ。俺が破産する。うん。もう高級ランチは当面いいからな。そりゃ美味かったが――うん。破産する。ってか俺がいろいろ思い出している間もなんか電話口からは聞こえていて――。


「——に時間は――14時29分だよ」


再度、そんな声が聞こえてきた。多分これは俺ではなく楓に話しかけているのだろう――って、楓は何してるんだ?


「うんうん。40分があるって、多分」

「えっ――?40分——?うん?」


突然宮町さんの声がはじめと同じ音量になり俺が慌てて返事をしつつ時間、時間と、机の上にあった腕時計を確認する。時間は――14時30分。宮町さんが言っているのは今の時間だな。

ってか。地味に起きてから結構時間経ったな。まあいろいろしていたからか。などと電話をしつつ思っている俺だった。

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