第516話 休日の後輩8

「—―もしもし」


七菜とともにやって来ていたお店を出ようとしたところ。海織からの着信があったため。俺は先にお店の外に出て、電話に出たところである。


「あっ、楓君。今大丈夫だよね?」

「—―どういう判断で大丈夫と言ったのか。気になるんだけど――まあいいか」


うん。開口一番というのかな?どこをどう見てというか。聞いてか。うん。俺「もしもし」しか言ってないのだが――あー、あれか。電話に出るまでの時間とかで何か判断された?うん。いやいや、でもいきなり「今大丈夫だよね?」はね――謎。と俺が思っていると。


「楓君は今七菜ちゃんとイチャイチャ中?」

「してないですね。ってか。どうしたの?お出かけ中では?」

「いやー、実はね。楓君こっち来てくれないかなー。って」

「—―マジで呼びだしてきたよ」

「ごめんごめん。本当はこんな予定じゃなかったんだけど。ちょっと買い物頑張ったら、荷物がね」

「なんて言うんだろう――海織も柊の買い物というか。買う時はドカンと買う――になったんでしょうか?」


前からだが。柊は買い物に行くと――1回で大量に買う。とか言ってたよな。と、俺が思い出しつつ聞いてみると。


「あっ。沙夜ちゃん曰く。こんなのまだまだらしいよ?普通の買い物レベルだって」

「マジか。ってか――うん。えっと……結局のところ運べないほど何か買ったの?」

「運べなくはないんだけど。手伝ってほしいかなー。って」

「まあ――今ちょうど四日市に居るから――行くのは行けるけど。うん。出てるからね。ついでという形で行けますが――」

「あれ?楓君本当は忙しかった?って七菜ちゃんと居ないの?楓君も買い物?」

「何故に七菜と居ると思ってたのか聞いてみたいですね」

「勘だね!」

「はっきり言ったなー」

「えっ?本当に一緒に居ないの?」

「いや――うん。その――海織の予想通りって言うのがなんか引っかかるけど――まあ一緒に居ますけど」


うん。ここで嘘を言ってもなので。現状を答えつつお店の方を見ると――ちょうど七菜が出てきて。こちらへと歩いてきた。


「ほらー。私の勘は当たるんだよ。で、なになに?彼女に隠れて七菜ちゃんとデート?」

「あのさ。お出かけ時に、七菜に声をかけたのは誰でしたか?」

「にひひー」

「出た。怪しい時の海織」

「まあまあ、ってことは。七菜ちゃんも来れる?」

「そっちに七菜も呼ぶの?」


俺がそう言いながら七菜を見たので、七菜がきょとん。とした表情でこちらを見ていた。まあいきなり自分の名前が出てきたらそうなりますよね。


「七菜ちゃんが大丈夫なら。晩ご飯食べよー。って声かけて」

「ちょっとお待ちを――七菜」

「はい?なんですか?」


俺が声をかけると。今度は不思議そうな顔をして七菜がこちらを見てきた。


「いや、海織が今からこっち来れるかって」

「えっ。あっ、はい。大丈夫ですけど――えっ?今から?なんでですか?」

「あー、晩ご飯一緒にどうだって」

「なるほどって、なんか私たちは今食べたばかりですけどね」

「まあ、だね」

「でも大丈夫ですよ。どっちにしろ。このあたりぶらぶら予定でしたからね」

「了解――海織?」

「はいはーい、聞こえた。ちゃんと七菜ちゃん連れてきてねー。沙夜ちゃんが待ってるから。あっ私もね」

「—―ですか」


再度海織に声をかけると――聞こえていたのか。特に俺が再度言うことなく話は進んでいったのだった。


「じゃあこっち着いたら連絡して」

「了解です」

「あっ。そうそう楓君」

「うん?」

「残念なお知らせだけど」

「—―残念なお知らせ?」


なんだ?ちょっと嫌な予感がするな――と俺が思っていると。


「一緒にお出かけした子はさっき解散しちゃったから。楓君がこっちに来ても女の子に囲まれるハーレムは無いんだよね。っていう報告ね。もしかしたら楓君期待しているかと思って」

「全く思ってませんね」

「ほんとかな?」

「ってか――普通に数えてというか――海織に七菜。斎宮さん居るよね?」


はい。嫌な予感というか。全く予想してなかったことを言ってきた海織でした。うん。ホント何をいきなり。楽しそうに言い出すんでしょうかね。ちょっとだが考えてしまった俺の時間返してくれですね。はい。などと俺が思いつつ話していると。


「女の子3人じゃ楓君いつも通りじゃん。って、拗ねちゃうかなー。って。ニヤニヤ」

「海織からニヤニヤが出る時は――危険。うん」

「えー。まあとりあえず沙夜ちゃんとのんびり待ってるから」

「了解です」


はい。とりあえず、何かを言っていた海織との電話は終了しました。多分――向こうは女の子2人で楽しそうにしているんだろうな。と、勝手に俺は想像しつつ――スマホをしまうと。


「七菜。お待たせ」

「なんか後半謎な会話してませんでした?」

「それに関しては――謝っておこうかな?うん。とりあえずごめん。と」

「……宮町先輩が何を言っていたのかは気になりますね」

「気にしない方がいいかと」

「さすがに駅だと電話の声はあまり聞こえませんからね。たまに何か聞こえなくもなかったですが」

「—―そういえば。海織は七菜の声ちゃんと届いていたみたいだな」


確かに七菜は隣には居るので――聞こえたのか――うん。七菜も海織の声少しは聞こえていたみたいだし――と俺が思っていると。


「まあ、この距離ですからね。ボソボソは聞こえるんですかね?または――先輩のスマホ声を拾いやすいんですかね?」

「さあー?とりあえずそういうことにしておくか――勝手に海織が言っていた。というのもあるかもしれないけど――って、海織は勘がいいというか。ホント人の予定を勝手に把握しているからなー」

「—―もしかして私もつかまれています?」

「かもね。どこかに盗聴器あったりして――」

「えっ!?」


俺が言うと真面目に身体をチェックしだす七菜だった。


「いやいや、無いと――思うけどね。うん」

「先輩。無いと言いつつ変な間がありませんでした?」

「いやー、海織はね。わからないことが多くて」

「……大変ですね。ってとりあえず――移動ですかね?」

「だね」


はい。ということで俺と七菜は四日市から移動となりました。

今日もどんどん家から離れています。


ってやっぱり海織は――すごいですよ。はい。勝手に予想というか――うん。

操られているように思っている俺でした。はい。この後どうなるんでしょうかね。

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