第517話 休日の後輩9

海織にお呼び出しをくらった俺と――七菜。うん。お呼び出しをくらいました。

現在は近鉄四日市駅の改札を抜けたところです。


時刻は15時50分。この後15時54分に松阪行きの急行があったので、俺と七菜は伊勢志摩・大阪方面のホームへと移動中です。


ホームへと上がると、ちょうど電車の来るアナウンスが始まり――すぐに電車が駅へと入ってきた。


「七菜。乗り換えがあるから。先頭に乗ろう」


電車がホームへと入って来るタイミングで俺は七菜にそんなことを言っていた。


「はい――って。何で前なんですか?」

「乗り換えがね。前の方が便利だから」


俺は経験上というか。前もこのルートは使っているのでね。確か平田町の方に行く時は――途中での乗り換えが前の方の車両の方が便利だったよな。と思いつつ。俺は不思議そうに思っている七菜に話しながら移動して、電車が駅へと到着し。ドアが開くと俺たちは急行電車の先頭車両へと乗り込んだのだった。


急行の車内へと入ると、ちょうどクロスシートの座席が空いていたので、俺と七菜はそこへと座る。ってか、よくあることなきもするが――まさかの家とは別の方向へと移動である。うん。ホントいろいろ忙しいです。はい。急に予定が生まれますからね。ここ最近は……。


「座れましたね。って、さすが先輩ですね」

「はい?何が?」

「いや、乗り換えに関しても頭の中に入っているのかー。と」

「いやー、一度使ったら何となくというかね。覚えていたというかね」

「あまり使わないところってすぐに忘れそうですがねー。私は前にこっちに来た時に先輩と宮町先輩に付いてきてもらった帰り方というか――乗り方は……ほとんど綺麗に忘れています。はい。なんとなくは覚えてますがね」

「まああれはレアな事というか――そんなにあのパターンは無いような……って俺も全体を把握しているわけではないの……」

「いやいや先輩結構知っていると言いますか――電車の事は先輩に聞けばですねー」

「そんなことはない気もするが――」


座席に座り七菜と話していると。15時54分。俺と七菜が乗った松阪行きの急行は定刻通り近鉄四日市駅を発車していた。


そして駅を発車して少ししたくらいで……。


「そういえば先輩」


七菜が何か思い出したのか、急にそれまで話していたことから話を変えた。


「うん?」

「さっき宮町先輩との電話で。「残念なお知らせ?」みたいな事言ってませんでした?」

「—―よく覚えていることで」


そのことかい。と俺が思いつつ。ちょっとなんでその話になるかな――と思いながら返事をすると……。


「いや、なんか引っかかったと言いますか。何言ってるんだろうと?と思いましてね。気になっていたんですよ」

「まあ――うん。思うというか。何の事?ってなるか」

「なりました。で、何だったんですか?移動中ですし。暇ですから聞いてみました」

「ははは――大したことじゃ人だけど――まあ、海織たちは今日女子グループ?で遊びに行ったんだけど――まあ他のメンバーはもう解散しました。という謎な報告されただけだから。そんな話すようなことは――」

「……あー、先輩が今向こうに着いたら、女の子にたくさん絡まれる!ってやつですね」

「—―そんなこと思ってませんからね?」

「ですね。先輩の雰囲気から――まあそういうのは無いですよね。ある意味先輩ってお兄ちゃんと似てますからねー」

「えっ?難波先輩と?」


どこが?と俺は思いつつ。うん。筋肉なんてないし――あんな誰とでもフレンドリーというのか。どんどん輪を広げるとか俺には無理。出来ないことなんですが――どこに似ている要素あった?と思っていると……。


「いやー、お兄ちゃんもああいうの全く気にしないというか――あれですから。女の子ワイワイ居ても――まあいつも通りと言いますか。気にしませんから」

「……あー、うん。なんかわかった。うん」

「たとえ女の子に囲まれようと、何もないですね。はい。いつも通り騒いでますよ。だからか。お兄ちゃんの彼女いない歴イコール年齢なんですよ」

「それを把握できている七菜もなかなかかと」

「見ていればわかります――ってまあ1人暮らしはじめてから――もしかしたらがありますが。今のところそんな雰囲気ないですからねー。ってまあ、はい。私の記憶的には何もないと思うので、先輩と似ているという事です。これでお兄ちゃんが彼女いて、結婚するとかいきなり言い出したら――実家えらいことになりますよ」

「ははは—―何というのか。でも今の話ちょっと分かったというか。予想できたというか。うん。まあ難波先輩そこまで長い付き合いではないが――なんとなくいつもあんな感じというのは知ってるから――どこに居ても笑って過ごしてそう。うん。何か問題があっても笑ってそうだし。だから今七菜が言ったようにいきなりがあると――だね」


俺はそんなことを言いつつ……でも難波先輩の周りにはいろいろな人が居るからな――うん。もしかしたら、あるのでは?などと思っていると。


「だから先輩もです。普段から美女に囲まれていても普通にしてますからね。白塚先輩みたいに彼女さんが居るのにホイホイ他の子にちょっかいかけてません――あれ?でもよく考えると――今もですか。私と出かけたり――斎宮先輩と出かけたり――あれ?意外と先輩も――」

「勝手におかしい方に話を持って行こうとしないでくださいね?」

「わかってますよー。あれですね。先輩は捕まえやすいというか。相手をしてくれるので、こうなっちゃうんですよね。うんうん。わかりますわかります」

「—―いいのかなー。というか。納得されていいのだろうか……って、俺大丈夫かな」

「大丈夫ですよ。宮町先輩最強ですから」


車内での七菜との会話はもう少し続きそうだった。

はい。現在電車移動中です。

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