第501話 1人減ってのお掃除3

――グラッ。


――ガッシャン。


……。


「—―—―痛い」

「……ふぎゃー」


数分前。数十分前くらいの事だと思うが――そういえば俺。地震。というワードを言った気がする。うん。いや、思ったか。


まさかの大地震。ってことではないのだが――緊急地震速報とか鳴ってませんからね。

でもね。このあたりは地震の少ない地域。揺れることがそもそもほとんどないところだったので――多分久しぶりに揺れを感じる地震だったのだが――。

うん。それゆえに、藤井寺先生の部屋に居た俺と斎宮さんの片側に積まれていた山が崩壊した。いやまあ崩れるだろうな。とは思っていたが。まさかのピンポイントで地震が来るとかね。

ちなみに揺れ的には震度4くらいかと。いや3かもしれないが。でもホント久しぶりに揺れを感じた。

うん。そして――この部屋で山積みになっていた本たちは――はじめて。多分積まれてからは初めての地震だったのだろう。


簡単に崩壊したのだった。うん。


そしてしゃがんでいた斎宮さんめがけて、上から本が数冊落下。という光景を見た俺が――斎宮さんをかばう形で入ったのだが――そしたら――多分少しずれただけで何かのバランスが崩れたのだろう。


全部崩れやがった。である。

うん。何か数冊俺の背中に当たった。と思った次の瞬間。ドシャー。だよ。ガッシャン。だよ。何か埋まったよ。である。背中意外に頭にも足にもなんかいろいろ本が当たって――周りにはプリントがパラパラ。という状況だった。ってそういえば――。


「か。楓くん?大丈夫?」


俺の下から声が聞こえてきた。そうそう俺はしゃがんだ斎宮さんに覆いかぶさるようになっていたのか。と思いつつ。とりあえず斎宮さんから離れると。うん。斎宮さんは無事みたいです。

周りには本屋プリントが散らかっているというか――床が見えなくなっているが。キョロキョロと周りを見ている姿からは――うん。大丈夫とみえる。


「背中が痛い」


俺がそんなこと言いながら服を払うと――うん。すごいホコリ。これ――頭からホコリかぶったのでは?と思っていると。


「うわ。楓くん。すごいよ。頭と背中。ってか――身体中」

「……えっ?」

「ホコリが」

「……マジか」

「って、ありがと。私無事。うん。ホコリもセーフ?」

「まあぱっと見セーフです」


斎宮さんは――まあちょっとスカートのすそあたりがホコリを集めてそうだが――俺よりははるかにマシと見た。


「ってか楓くんしゃがんで、払ってあげるから」

「いや、大丈夫かと」

「いいからいいから」


斎宮さんに言われたのでしゃがむと――。


「うわー、ホント背中真っ白。ダニ居るんじゃない?」

「いやーそれは勘弁。ってそんなに酷い?」

「うん。真っ白。あれ。名前なんだっけ?コロコロ?で、楓くんの頭から足までコロコロしたら――結構楽しそうなくらい」

「マジか。って地震なんて久しぶりだわ」

「だね。小さかったけどびっくりした。ってホントあの程度で崩れたよ。だね」

「まあ明らかにバランス悪かったからね。ちょっとの揺れで――それが崩れたのかと」

「なんかもう床は見たくないね」

「惨劇だよ」


斎宮さんとそんな話をしながら俺は斎宮さんに背中などを払ってもらった。すると――。


バタバタ。


廊下の方から足音が聞こえたな。と思っていると。


「楓君。沙夜ちゃん地震大丈夫—―――じゃなかったね」


海織登場である。うん。ゼミ室に居た海織たちは大丈夫だろうと思っていたが――うん。大丈夫ですね。ホコリまみれにもなってないし。と、俺が思っていると。


「うわっ。なんだここも。床が見えないじゃん」

「ほっほっほー。無事かの?」


柊と藤井寺先生も顔を覗かせた。って――柊の言い方からして――なんか他の部屋でもこんなことが起きている気がするんだが――まあいいか。関係ないよな。


「ってか。楓君はなんでそんなに頭からホコリまみれなの?」


海織がそう言いながら俺の横に来た。そしてなんか髪の毛をいじりだした。うん。ホコリがあるんですね。と俺は思いつつ。


「いや。雪崩に巻き込まれたから」

「まあそうだよね。床がすごいもね。足の踏み場ないくらいだもんね。でも沙夜ちゃんは――無事?」

「いやー。楓くんが守ってくれたので、楓くん居なかったら私崩れた本の下敷きで今の楓君みたいになってたよ」

「あっ。なるほど。楓君えらいえらい」


そう言いながら海織が頭をなぜてきたのだが――なにこれである。


「あの。海織さん?ホコリを払ってください」

「あっ。よしよしの方が効果音あってた?」

「そこはいいですから、触るならホコリを――特に届かないところを」


うん。何かむず痒いのでね。と俺が思ってそんなことを言っていると。


「楓。そこは放置だろ。別に沙夜なら本が直撃しても大ジョーーぶはっ!?」

「……最近柊良く余計な事言うね」

「あー、すっきりした」


うん。柊の顔に本が直撃していた。斎宮さん。本は投げないようにです。はい。

とまあなんか地震で本などの山が崩れましたので――お掃除がさらに大変になった今です。はい。いやー、今日帰れるかな?だった。

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