第495話 続・ボウリング13

「いやいや七菜ちゃん。まず仲良く。うん。って俺酔ってないから。強い子だから」

「近寄らないでください。はい」

「いやいやなんで?」

「加茂先輩。クレームですクレーム。こちらも何とかしてください」

「……」


うん。俺が酔っ払い1人と通常運転1人の相手をしていたら――違うところからそんな声が聞こえてきた。って目の前なんだがね。気が付かないふりしていたんです。はい。海織だけでも大変なんだから……。


「ホント。この馬鹿は……」


海織の隣では通常運転の斎宮さんが呆れていた。ってかこのパターン最近よく見るな。と俺は思いつつ。


「斎宮さん。なら斎宮さんがお助けに」

「えー、やだ。何か問題起こしてくれたらいいのにー。面白そうだから」

「……」


うん。ダメだこりゃ。だった。


「ちょ、斎宮先輩」

「ってことで七菜ちゃん。何語る?俺についてなら何でもカモン」

「語りません!」


それから斎宮さんの笑い声と、七菜のクレームが交代交代に聞こえてきたが――うん。あまり続いてもなのでね。


「……海織」

「うん?何?」

「海織が掴んでる斎宮さんの腕解放してあげてくれないでしょうかね?」

「えー、じゃあ七菜ちゃん捕まえようかなー」

「えっ?」

「あー、仕方ないなー。海織ちゃんに解放されたから、その酔っ払い潰してくるか」

「ちょ、沙夜は来なくていいから」


うん。さっきからね。海織が斎宮さんを捕まえていたので――それを解放してあげると……斎宮さんと七菜が場所を交代して――。


俺と海織の間に七菜がやって来た。うん。何で間かって?海織が座らせたからである。そして前では――まあ触れなくていいか。いつもの事が起こっていた。


すると間へと入った七菜が海織に捕まり――。


「ってか、加茂先輩」

「うん?」

「加茂先輩と斎宮先輩はお酒飲まないんですか?別に私に気を使わなくてもいいですよ?」

「いやいや、そんなことはないんだけど」

「うん?」


俺と七菜が話していると。


「楓君は私が心配で飲まないんだよねー」

「……うーん。何か違うかな」

「えー、違うの?その辺ふらふら行っちゃうよ?」

「そうやって言っている間は大丈夫かと。まあ――気にはするけど。周りにご迷惑をかけないように……ないとは思うけど」

「ちょっとぶらりしてこようか?」

「しないように」

「ふふふっ。ニヤニヤー」

「ニヤニヤもやめなさい」

「えー」

「うん。まだ全然通常運転だったと」


海織が七菜を潰す感じでこちらへと身を乗り出してきた。

うん。七菜ちょっと頑張って、すぐにどけるからだった。

少し海織と話している間に七菜が潰れていたので海織をどけてから――。


「まあいろいろあるんで気にしなくていいよ」

「うん?ってか斎宮先輩は?」

「あー、まあ」


俺が過去の事を話すべきかと思っていると――。


「沙夜ちゃんは飲むと甘えん坊になるからね」

「あっ、人が変わるんですね」

「楓君に甘えるよね?」

「まさかの修羅場!?」

「……海織。勝手にいろいろ言わない」

「そうそう海織ちゃん丸聞こえ」


さすがに柊の相手をしていた斎宮さんも一声かけてきたが――。


「でも沙夜ちゃん。ふにゃーは?」

「—―ぎゃふっ」


斎宮さん。海織に瞬殺されて……潰れていった。


そして斎宮さんが潰れたことにより……。


「ふー、助かった。ナイス。宮町さん」


柊が復活した。うん。ホント潰されていたのね。机で見えなかったよである。俺がそんなことを思っていると――。


「過去に何かありました?」

「七菜やめてあげて」


ツンツン。


「はい?」

「それ以上斎宮さんいじめると――後で大変なことになる可能性があるということを言っておこうかと」

「なんと。それは――ですね。はい。忘れます」

「—―楓くんにいじめられた……」

「いやいや斎宮さん。机でちょっと姿は見えないのですが……いじめてないですよ?」


ツンツン。


「あとで七菜ちゃんもらいに行く」

「それは――本人と相談してください」

「ちょ、なんで私連れ去られる設定なんですか?話やめたのに」


うん。お店内では賑やかな時間が進んでいった。


ツンツン。


「……ってか。海織はさっきから人を突っつかない。くすぐったいから。それも七菜を超えて」

「やっと反応してくれた。気が付いてないのかと思ったよ。にしてもツンツン楽しいよねー」

「……連れて帰るの大変そう」

「加茂先輩が飲まない理由はよくわかりました」

「七菜。海織をパスしていい?」

「お断りします」

「あっ。楓君の許可が出たなら七菜ちゃんで遊ぼっと」

「いやいや許可出てないです。加茂先輩!」

「……おにぎりでも食べるか」

「無視された!?」


俺の隣がちょっとうるさかったが――まあいいか。と思っていると。


「あっ、楓君私もおにぎりちょっと欲しいんだけど。一口頂戴。鮭で」


斎宮さんが復活してそんなことを言ってきたのだった。


「……いきなり指定してきたよ。まあいいけど」

「さすが!その間に柊潰すから」

「俺なんも言ってねぇ。普通にたこ焼き食ってるだけなんだけど」

「—―たこ焼きなんてあったんだ」


うん。柊はいろいろ被害を被っているが――まあいつもの事ということで。

ってかホントたこ焼きなんてあったんだ――と、おにぎり注文後。俺は一つたこ焼きをもらったのだった。うん。普通にたこ焼き。美味しかったです。


あー、あと、俺の横で七菜がボロボロ。海織に遊ばれていたのは――触れないでおこう。うん。斎宮さんと柊もすごくニコニコ見ていたので――柊のニコニコは通報されるかもだが……まあ今のところ大丈夫だろう。

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