第474話 5人でランチ5

現在俺と海織、斎宮さんはいつものベンチに居る。

柊は――講義棟の方へと旅立った後だ。七菜を探しにね。


なのだが――。


「—―すみません。ちょっと講義の後。いろいろみんなと話してまして、遅くなっちゃいました」


うん。柊がいつものベンチを出て行って1分もしないうちに――別の方向から七菜がベンチのところへとやって来たのだった。


「あっ、七菜ちゃんお疲れー」

「やっほー。七菜ちゃん」


そして――七菜と普通に挨拶をしている。海織と斎宮さん。なんか2人は目だけの合図で笑っているような感じだが――七菜はそれに気が付いていないみたいだった。

うん。楽しんでますよ。このお2人。だった。


「お昼ご飯買ってきてもらってるみたいで、助かりました。ありがとうございます。1限から今日はあって朝からバタバタしていたので」

「いいよいいよ。はい、七菜ちゃんの分。あっ、飲み物は楓君が今選んでる袋から

持って行って」

「あっはい。ってお金――」

「いいよいいよ。私たちが急に呼んだんだから」

「えっと――」

「ほらほら、楓君の方楓君の方」


俺の少し前でそんな女の子3人の屋類取りがあった後――。


「加茂先輩もお疲れ様です」

「お疲れ。はい。飲み物です。海織曰く一度触ったのを持っていけ。みたいな感じだよ」

「なんかハズレでもあるんですか?」

「いや、見ていたけど一応普通のしかなかったかと――」


ちょっと挨拶のち。七菜は俺の持っていた袋から飲み物を取った。


それから七菜は海織と斎宮さんの方に――ではなく。


「ところで加茂先輩」

「うん?」

「宮町先輩のメッセージの事なんですが――加茂先輩は知ってます?」

「—―はい?メッセージ?」


なんかちょっと小声で俺に七菜が話しかけてきたのだった。


「あー、その雰囲気はやっぱりですね」

「えっと……何?」


俺が聞くと七菜がささっとスマホを取り出して操作して――。


「いやですね。宮町先輩からお昼ご飯誘われたときに――「今日お昼ご飯一緒にどうかな?多分今日は白塚君も学校だから――こっちに居た方が安全かもよ?こっちなら 楓君がしっかり七菜ちゃんを守る――」的な事が書かれていたんですがー」

「……俺は何も関わってません」

「ですよねー。まあ予想通りでした。加茂先輩が言わなさそうな内容でしたから。ってそういえば白塚先輩は――また1年生集めて――食堂ですか?なんか今日も私の周りでは――白塚先輩に誘われたやらやら言っている子が多々居ましたが――」


七菜はそう言いながら食堂がある方向を見たが……。


「……いや――」


うん。どうやら七菜は海織が話す俺の事というか――うん、海織が勝手にいろいろ言っている。ということをちゃんと理解してくれているので――俺的には大変助かる。だったが――さて、俺は柊が今七菜を探しに行っていることをどう伝えようか。と考えていると、少し離れたところから……。


「海織ちゃん海織ちゃん。楓君と七菜ちゃんがコソコソ話してますよ?」

「だねー、後で楓君にはゆっくり聞かないとね。あっ、七菜ちゃんもお隣だからー。聞けるかな?」

「私も参加しようかなー。事情聴取って面白そうだからね」


なんかうん。悪い顔をした2人がこちらを見つつ――楽しそうに話していました。はい。


「「……」」


俺と七菜は――とりあえず……2人の方へと近づいて――文句ではないが――いろいろ言おうとしていた――その時だった。


「あれ?七菜ちゃん居るじゃん」


もうほんとに……次から次へと――ってまあ柊が戻って来るのは――わかっていたが。タイミングがね。と俺が思っていると――。


「—―なんで白塚先輩が……」


七菜はまだここに柊が居ることを知らなかったので――


その後――ワイワイしてましたよ。ワイワイです。


まあワイワイしていたことにより――。

海織と斎宮さんがコソコソ言っていたことについて――俺と七菜が何かを言うという機会が無くなってしまったのだが――うん。大丈夫かな?今夜大丈夫かな?と思いつつ――なんか隣でワイワイしているが――うん。関わると大変なのと――俺もそろそろお腹空いたから――というのでベンチに座り先にお昼とさせてもらったのだった。


うん。現実逃避ー。みたいなものである。

お昼ごはんはゆっくり平和に食べましょうよ。である。せっかくいい天気で――いい気候なんだから。と俺が思っていると――。


「楓君楓君。七菜ちゃんと白塚君の会話に参加しなくていいの?ニヤニヤ―」

「……」


いつの間にか海織と斎宮さんが隣へと来ていた。って斎宮さん既にほぼ完食――うん。海織とコソコソ話している時からそういえば食べてましたからね。って――なんで俺があそこに参加?と思いつつ。


「お食事中です」


と答えておいた。


「にしてもー。揉めるねー」

「だねー」


俺が答えた後海織と斎宮さんは柊と七菜の方を見つつそんなことをつぶやきながらお昼ご飯を食べていた。

視線の先では――。


「七菜ちゃんも今夜どう?結構みんな参加してくれるんだけど」

「結構です」

「みんな来るって言ってたし。あっ楓が必要なら楓も」

「勝手に他の人を巻き込まないでください。迷惑ですよ」

「楓ー。なんか言ってくれー」

「ほら、そういうことです。加茂先輩を巻き込んでも私は行きません」

「そこを何とか」

「お断りします」


うん。柊は――何が何でも七菜と仲良くなりたいというか――今は集まりに参加してほしいというか――うん。ってか七菜も柊の時相手は――厳しいというか――はっきり言うな―—と俺が思っていると。


「チビと言ってきた人とは関わらないことにしているんです」

「いやいや七菜ちゃん小さくてかわいいから、仕方ないよ」

「むー」


あー、何だろう。このやりとりというか――。

また……七菜のお怒りゲージが溜まってそう。と俺は思いながら――ちょっと騒がしいいつものベンチでお昼ご飯を食べていたのだった。

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