第447話 後輩の初講義2

ということで、とでも言うのだろうか。


なんか四年生の初講義を待っている際に、講義棟の前で目立ってしまったが……斎宮さんは俺と同じ講義を取っていたためそのままこの場。講義棟の前にとどまり。柊の方は別の場所だったのでここで一時別れましたとさ。である。


柊が居なくなった後は、斎宮さんと二人で一限の講義が終わるのを建物近くで待ちつつ――。


「あー、ホント、アホだね。柊は。いきなり後輩の子に迷惑とか」

「ははは……」


うん。まあ普通に会話をしていたのだった。


「ってか。まさか楓君と同じ講義がゼミ以外にまだ四年生でも何教科かあるとはね」

「ホントだよ。偶然というか。まあでも一年生から三年生で必須科目とかと重なっていて取れなかった科目で……ってなると……まあ同じようなのになるかな。このタイミングでしか受講できない科目結構見ているとあったし」

「だねー。うちはせっかく授業料払っているんだから。しっかり勉強してこいって感じでね。予想していた平和な4年生じゃないかもー。地味にチェックされたし」


斎宮さんはそんなことを言いながら……ガックリというポーズをしていた。

まあその気持ちわかるというか。

なんかね。一年。二年次はまあいろいろと講義があって。あと実習というのか。まあ資格とかを狙う人はいろいろあって――で、楽しい楽しい大学ライフでも言うのか。ゆとりある感じの……というのか。ちょっと想像していた大学での生活は……あまり味わうことなく終わりそう……ってでもいろいろあったから。うん。それなりに普通の大学生活しているか。と俺が頭の中で勝手に訂正などいろいろしている間も会話は続くので……。


「……まあこっちもなんだけど……履修科目減らしても授業料は同じなんだから。全部取ってこい。頻繁に帰って来なくていいから的な感じだったんだよな」

「あら。奇遇なことで」


斎宮さんは仲間発見。見たいな感じで俺を見てきた。って今なんか変な言葉言いませんでした?ってうん。何か斎宮さんらしくない言葉が聞こえた気がしたような……と俺は思いつつ。

いや、斎宮さんの口から「あら――」という言葉がね。なんか聞いたことないというか。何というか。うん。でもあれだ。ここで変なことを言うと俺も蹴られかねないので……普通に普通にである。


「ま、まあお金出してもらってるからね。無駄にできないというか。既に払っているから――」

「まあねー。それによくよく考えたら。今しか勉強ってできないかもだしね。何か資格の勉強……ともちょっとは思ったんだけど――資格ならなんか通信とかで。この先も取れそうだけど。大学の授業だと今だけかもー。って、思ったら……まあ普通に講義取っちゃったー。だね」

「斎宮さんがなんか……珍しい事言ってる――」

「おお?楓くんもキックしてほしいのかな?」


おっと、ミスったというか。口に出てしまった。

そうそうこういうのが余計な事というか。うん、余計なことを言うと……いろいろ起こっちゃうんだよ。ってこんなこと思っている間にすることがあるか。うん。こういう時はすぐに――。


「いやいや何も言ってません。はい。忘れてください。何もありません」


うん、すぐに訂正というかなかったことにする。これが一番である。

まあ――できればいいのだが……一度言ったことはね。と俺が思いつつ斎宮さんの様子を見ていると……。


「ふふふー、まあ楓くんにはいろいろお世話になってるし。今年もお世話になるからー。そこの自販機の紅茶一本で許してあげよう」

「……了解です」

「うんうん」


うん。ホント言葉は注意ですね。

ってことで講義前に俺は斎宮さんに飲み物を一本奢ることになりまして……って、ちょうどそのタイミングで一限の講義が終わったらしく。

講義棟の周りは……人人人。となった。

二限の講義を待っていた人のところにさらに人が増えたので……うん。ぐちゃぐちゃというか。うん。ぐちゃぐちゃでいいや。めっちゃあたりが人でいっぱいとなった。


ちなみに一限の講義は一年生の科目というか。受講生に一年生が多かったのか。

入り口近くなどで、まだキョロキョロしている学生や。

ちゃんとオリエンテーションでもらった資料。冊子を見つつ動いている学生がまだ結構いた。そうそう無駄に広いからね。わからなくなるというか。それに講義と講義の間の時間もそこまで長くはないんでね。ちゃんと確認しないと迷子というか。この時期には見る光景でそういえば自分も……まあでもこの光景が見れるのもある数週間だけだろうがね。うん。そのうちみんな慣れてきて普通に動き回るというか。オリエンテーションの冊子とかは家でお留守番になるんだよ。

とにかくこれは今しか見れない光景であり。俺達四年生は留年にならない限りもう見る事のない光景だろう。と俺が思っていると――。


「あっ。斎宮先輩に加茂先輩」


人、人、人の中でどこからかそんな声が聞こえてきたのだった。

まあ声で誰がこちらへと声をかけてきたのかはすでにわかっているんだがね。

でも一応姿を見て姿を確認しないとなので俺はあたりを見回したのだった。

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