第417話 最終学年始まる

3月末—―。


現在俺は海織とともに大学への道を歩いている。もう何十回何百回と歩いた道だ。


今はちょうど桜がいい感じに咲いている。うん。ほぼ満開という感じだな。

まあ大学は山だからか。ちょっと。アパートとかの方よりまだ咲き方が……だが、でも綺麗な桜が咲いていた。

おまけに今日は天気も良いのでね。所々で写真を撮っている学生が居た。


そうそう、大学への道を歩いていると言ったが。

今日は在学生のオリエンテーションの日である。

この後講義室で……まあ毎年というか。4回目になるのか。うん。とりあえず今年度のお話とかそんなことですね。はい。


「暖かい日が増えてきたね」

「確かに、ってかそのうち暑い暑いとか言ってそう」

「だね。最近すぐに暑くなるもんね。でも。七菜ちゃんの入学式の時桜は満開で綺麗そうだね」

「1日だったから……うん。多分大学近辺も一番いい頃なんじゃないかな?」

「七菜ちゃんと登校できるのかー。楽しみ」

「海織。七菜が嫌がったらやめるように」

「えー、だって七菜ちゃんホントいい抱き心地なんだよ?」


海織はそう言いながら……今は居ないが。七菜が居る感じで抱いた真似?をしつつ歩いている。

ホント海織はよく七菜を抱いているな。まあ七菜も慣れたのか。海織と居る時は抱かれているのが当たり前と言うか。一緒に動いている感じだからな。


ちなみに七菜は今日は家だ。まだ入学式が終わってないんでね。春休み中である。でも数日後には今の俺と海織みたいにこの道を毎日歩くことになるかと思う。とか俺が思っていると。


「あっ、海織ちゃん、楓くん」

「あっ、沙夜ちゃん発見」


電車の中で見かけなかったな。と思っていた斎宮さんが先に講義室で他の生徒と話していた。ってこれだけ人が居るのによく俺と海織見つけたな……と俺が思っていると。海織は斎宮さんの方へと歩いて行ったので……俺は席でも取っておくか。と適当に空いている席に座った。


ちなみに柊は……多分どこかに居るはず。


そうそう。結局。柊と七菜はいまだに微妙な関係である。

でも柊はよく俺の部屋にやって来て……七菜が居れば話しかけて……相手にされず。それを見ていた斎宮さんが楽しんでいる。うん。そんな光景をすでに数回今週だけでも見た。というか。春休みだからと。俺の部屋にみんな集まりすぎというね。うん。まあもうすぐここでの生活が終わるとはいえ……。

俺の平穏が無いんだよ。うん。柊と斎宮さんが帰った後は後で。七菜のクレーム対応しないとだし。


いやー。柊もね。一言多いというか。まあ七菜をほめてはいるのだろうが……いつもNGワードが含まれているんでね。うん。

それに関して七菜がしばらく……海織に抱かれながら俺にクレーム。それも柊と斎宮さんが俺の部屋に来たのと同じ回数あったな。うん。


とか俺が思っていると――。


「楓。おつかれー」


柊が俺の前に座った。


「おつかれ」

「あれ?宮町さんは?ってか沙夜ももう来てると思ったんだけど……」


柊が俺の周りを見つつ言う。


「入り口あたりで他の学生と話してる」

「さすが人気者」

「ってか。柊。七菜からのクレームが半端ないんですが」

「ホント七菜ちゃんの攻略難しんですけど」

「斎宮さんに怒られる……うん。怒られるね」


俺は柊の後ろにやって来ていた1人の影に気が付いて忠告はしたんだがな。うん。

柊は気が付かなかったらしい。


「大丈夫大丈夫。いつもボロボロにいろいろ言われつつも沙夜。最後は甘えてきて……ぐはっ……」


――バタッ。


「……ご愁傷様」

「余計なことを言うな!」


斎宮さんが柊の頭に持っていたカバンをヒットさせて……うん。柊を乗り越える形で柊の隣の席に座った。そしてこちらを見てきた。

なお、柊は机に伸びているというか……俺の前でつぶれているから邪魔なんだが……と俺が思っていると。


今度は横から声がして――。


「沙夜ちゃん甘えてるんだー」

「海織ちゃん!」

「ふふっ」


ニコニコと海織が俺の横に来たので俺は1つ横にずれた。ちなみに斎宮さんは少し照れていた。すると俺が座っていたところに海織が座り……それと同時に柊が復活。


「あれ!?楓が宮町さんに!?」


とかなんか寝ぼけていたが……あれ?本当に頭に斎宮さんのカバンが当たったから?気絶してた?と俺が思っていると。そこで講義開始時刻。まあ今日はオリエンテーション開始時刻となったため。俺達は座り直したのだった。


オリエンテーション中はまあ特に問題なく。

1時間ほどの説明会?まあお話は順調に進んで行き……。


「あー。卒論……忘れてた」


と。いう柊の声が途中で聞こえた気がするが……うん。俺もあまり進んでないな。ヤバイ、やらないとな。とか思いつつ。オリエンテーションの時間は過ぎていったのだった。


まあこの卒論の事でもちょっとした騒動が起こるのだが……。

まあそれはまだ先の事—―。

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