第399話 男子グループ

「楓ー。俺は何をミスったんだー。何であんなかわいい後輩にいきなり嫌われたんだよー」


柊はそういいながら缶ビール……ではなかった。カクテル?を飲みながら俺に聞いてきたが……俺の家にはないものなので……個人的にちゃっかり持って来ていたらしい。まあ別に何の問題もないけどね。と俺は思いつつ。


「……いつの間にかお酒出してるし。一応未成年居るのお忘れなく」


うん。七菜はまだ高校卒業したばかりだぞ。と俺は思いつつ……まあなんか。即後輩に嫌われた柊のお話を聞いていたのだった。


「仲良くなるって難しいな……俺は何をミスったんだ」

「いや、どう考えても……あの言葉が原因かと」


うん。今同じ部屋に七菜がいるので、俺はその言葉を声には出さなかったが――なんか視線もあった気がしたのでね。ってこんな狭い部屋だとそれぞれが話していることがよく聞こえるので……。

っかいや。これでなんか言われてもなんでね。うん。ここで七菜を敵に回すと……海織からもなんかいろいろ言われそうだし。なので俺が助けを求めるとなると……。


「……斎宮さん。そろそろこのお方連れて帰ってもらえます?時間的にも」


先ほどからずっとこんな話ばかりを俺は柊から聞く。ということになっていたので、斎宮さんにヘルプ要請をしてみたのだが……いやほんと時間的にもそろそろいい時間なのでね。と思いながら、ふと隣を見てみたらお隣で女の子3名が楽しそうに……今はなんか撮影会していた。


「……」


ここも……帰る気あるのかな――と俺がちょっと心配になっている近くで、ホント楽しそうに七菜を挟んで斎宮さんと海織は撮影をしていた。


すると写真撮影がちょうど終わったのか。俺の声に斎宮さんが反応してくれて…。


「楓くん。酔いつぶれたら今日柊の事よろしくねー。それ連れて行くの大変そうだし」

「……お断りします。連れて帰ってください」

「だってー。どう見ても連れて帰るの大変そうだもん。ウザそうだし。そもそも私運べないし」

「それはわかるけど……」


うん。酔いつぶれてはないが……そんなことになったらね。斎宮さん1人じゃ大変だよな。っか今の七菜に嫌われたショックの柊は……大変そう。と俺が思っていると…。


「沙夜ちゃん。それは困るよ。私も居るんだよ?」

「あっそっか。なら海織ちゃんは七菜ちゃんところで」

「あっ。それもありだね」


――うん。なんか話が広がって行く。

ということで。このままだと七菜。後輩にもいろいろとご迷惑がかかりそうなので……っか七菜は自分の部屋に海織が来るかも……という状況になりかけているのに……あれか。今撮った写真を見ているのだろうか。自分のスマホと必死に、にらめっこ?をしていた。

もしかしたら今の会話……聞こえてないな。と俺は思いつつ。さて、どうするか。と思っていると……。


直後に意外なところから助け船?が来た。


「……白塚先輩。私の先輩を困らさないでくださいよ。困らすならお帰りください」


うん。話を聞いてないかな……と思っていた七菜がささっとこちらに移動してきていて、そんなことを言ったのだった。


それを聞いた俺がちょっとびっくりしていると……。


「楓!?なんで 俺こんな扱いされてるんだ!?マジで何したんだ!?心当たりがないんだが!?」

「……さぁ……?」


何が起こった?と思いつつ俺がとりあえず柊の言葉に返事をしていると……。


「はっきり言いますと。私白塚先輩の事雰囲気的に無理です。チャラいのムリです」

「あははは。柊。ホント嫌われてるね!あははは」


うん。斎宮さん爆笑していた。って七菜よ。先輩をこれ以上いじめるなである。あと斎宮さん。そろそろ彼氏さんを助けてあげても良いのでは?と俺が思っていると…。


「加茂先輩が助けてくれなかったら。私生活できませんからね。そのうち流血事件か爆発事故起こすかもしれませんし」


うん。ここ最近よく聞くような気がする。危険なワードがどんどん七菜の口から出て来た。いやでも。見ている限り……慣れたら大丈夫そうなんだがな……と俺は思いつつ。


「……七菜。マジでそれはしないでくれよ。特に爆発。あっ。流血もね」

「だから加茂先輩に見ていてもらわないとですからね。なので加茂先輩を困らす人には退場してもらいます」


と。言い終えた七菜はふと視線を落として……なんか頷いて……再度。


「って、言う事を宮町先輩から言うように先ほどメッセージ受けました」


と。こちらに七菜が笑顔で言ったのだった。ちゃんとスマホの画面を俺と柊に見せつつね。


「—―はっ?」


うん。七菜何言ってる?と俺が思いつつ。七菜が見せてくれたスマホの画面を見てみると……うん。ほぼ同じ事。今七菜が言ったことがメッセージアプリの画面に書かれていた。

なので俺は……斎宮さんの横で楽しそうにこちらを見ていた海織に聞いてみると……。


「……海織さん?」

「うん。送ってみた。どう?」


と。自分のスマホを手にしながらこちらを見ている海織だった……何してるんだよ。であった。


「ちなみに沙夜ちゃんも加担してるよ?」

「ホント何してるの!?」


と、俺が斎宮さんの方を見ると……。


「いや。だってなんか楽しそうだったし」

「楓……ここの女子は……怖い。が。今の後輩ちゃんの笑顔は惚れる」

「……柊あとで斎宮さんに蹴とばされると思うよ」

「うん。楓くんの許可もらったからあとで蹴とばしとく」

「いやいや斎宮さん許可してませんよ?」


俺が言うと――。


「あっ。白塚先輩。言うように言われたとは言え。いろいろすみません」


七菜が俺の隣で柊にそんなことを言ったら……。


「ってことは。七菜ちゃん別に俺を嫌ってないと!じゃあそのうちこの近辺の案内するよ」


うん。柊が完全復活した……と思ったら。


「いえ。苦手なのは本当です」

「えっ……」

「ぎゃはははー。最高!ってか。本当に蹴とばす」


うん。俺の部屋に斎宮さんの爆笑がまた響いたのだった。あっ後柊が蹴られることが確定しました。


「斎宮さん声のボリューム下げて。夜だから」


うん。時間的に怒られるから。と元気な方々を止めるのが大変な俺でしたとさ。

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