第369話 離れたところから参加
♪♪~
「楓君。スマホ鳴ってるよ」
「うん。大丈夫ちゃんとわかってる。ただ……誰かなー。とね。
今日はよくかかって来るので」
俺はそう言いながら飲み物を一度置いて立ち上がり。スマホを手に取った。
スマホの画面には柊からの通話表示が出ていた。
「柊か」
「うん?白塚君?」
「みたい……もしもし?」
俺は海織と話しつつ。通話ボタンを押して電話に出た。
「おっ、楓ー。無事か?」
「いきなり安否確認されたよ」
「いや、今日沙夜の相手してくれたんだろ?」
「まあ……財布が軽くなったよ」
「おつー。っか。沙夜から聞いたんだが。難波先輩の妹ちゃん。もうこっちに居るの?」
「えっ?あー、七菜の事?」
俺が言うと。近くに居た七菜がこちらを見て「なんですか?」という表情をしていた。まあそうだよな。いきなり自分の名前が出てくるとかびっくりするよな。悪い。とか俺は思いつつ柊と電話を続けた。
「そうそう。あの難波先輩の妹ちゃんとは絶対わからないかわいい子」
「……柊、斎宮さんに蹴られないように」
「大丈夫大丈夫。満腹ー。とか言って。さっきから人のベッドで寝てる」
「そちらも乗り込まれているのね」
「うん?あー、楓のところは宮町さんか」
「あと1人居る」
「えっ?」
「七菜もこの場に今居る」
「おー。じゃナイスタイミングじゃん。ちょっと挨拶を」
「……まあ聞いてみるけど……」
と俺は柊に言いつつ七菜に。
「七菜。柊が話したいって言ってるけど?」
「えっ?私?柊?」
「あー、ほら。ケーキ食べいに行く時に話さなかった?斎宮さんが蹴るとかの話したじゃん」
「あー、はいはい。斎宮さんの彼氏さん。ってなんで私に?」
「まあ難波先輩つながりというか……挨拶したいんじゃないかな?」
「あっ。はい。では」
と、俺が言うと七菜は誰かわかったらしく。手を伸ばしてきた。
なおこの時に電話口からは……。
「おい楓。どんな紹介の仕方だよ。なんで俺が蹴られるとかで通じるんだよちょっとー」
とか言うような声が聞こえたような聞こえなかったような……うん。多分気のせいかな?まあもう俺にはわからない。だったスマホは七菜が持っているからな。
「もしもし?電話代わりました」
七菜が俺のスマホで柊と話し出すと――。
「楓君楓君」
「うん?」
「七菜ちゃんの秘密何が知りたい?」
「……チョップ」
「……痛い」
うん。今日の海織は本当にテンションが高いというか……いやまあテンション高いのはよくあることか。でもね。まあ後輩をいきなりいじめてもなのでね。軽く頭にチョップしておきました。
「暴力だー。暴力」
「拗ねたか」
「拗ねてません。ってか楓君」
「うん?明日は七菜ちゃんの部屋に荷物届くからそのお手伝いなんだよね?」
「ですね。そんな予定」
「じゃ。私も参加だね」
「海織先に言っておくけど」
「うん?」
「七菜をいじめないように」
「えー。七菜ちゃん弱っているとさらにかわいいよ?」
海織はそんなことを言いながら……何故かくすぐり?をするような手の動きをしていたのだが……うん。大丈夫かな……これ。
「なんかすでに手遅れな気がしてきたが……」
「そうだそうだ」
「うん?」
「楓君白塚君で思い出したんだけど。この前ランチの話してたじゃん」
「あー、あの柊の財布すっからかん計画?」
「楓君なかなか面白い覚え方してるね」
「いや、柊がかわいそうだなー。と思いましてね」
「で、その時なんだけど。沙夜ちゃんが楓君借りて大須?だったかな?うん。大須行きたいって言っていたからOKしておいたよ」
しておいたよ。って俺何も聞いてないんだけど……と俺は思いつつ。ちょっとシンキングタイム。
「……」
「あれ?楓君?」
「いや……なんかいろいろ勝手に決められるなー。って」
「本当はね。沙夜ちゃんも一緒にランチだったんだけど。白塚君が本当に破産する。2人は無理。金額がおかしい。とか言ってね。実はあれかな?私を楓君から取りたいとか?ニヤニヤ」
「海織は何を目指しているのか。ってそういえば最近コンビが良く変わるよね」
「だね。でもそれはそれでいい事だと思うよ?いろいろ話を聞けるからね」
「……もしかして柊からも何か情報が……」
「にひひー」
あー、ちょっと油断していたというか。
そうか京都に行った時とかも。柊と海織が行動したりしていたが……そうか。別行動をすることで情報を聞き出す……って、うん。俺の情報がいろいろなところから漏れている可能性がどんどん出てくるので……柊にも一応情報漏洩しないように。とか言っておかないとな。なんか。柊は海織に弱いというか。弱みを握られている感じがあるんでね。海織がなんか言ったらすぐに言いそうだし。
まあでも柊がそんなに俺の情報を持っているとは……だが……うん。でも用心しておいて損はないか。と俺が思っていると。
「でわ。失礼します」
と七菜が言い。スマホを俺に返してきた。
あれ?海織と話していたからあまり七菜の方の会話は聞いていなかったのだが……なんかいきなり終わらなかった?とか俺は思いつつスマホを受け取る。
「加茂先輩。ありがとうございます」
「あっ。うん。えっと……柊はなんだって?」
「白塚先輩?は私的には要注意人物になりました」
「えっ?」
急に七菜から……ちょっと暗い?黒い?オーラが見えた気がしたのだった。
そしてそれは海織にも見えたらしく……。
「あれ?白塚君何かNGワード行っちゃったかな?」
とか俺の横で言っていた。
気のせいかな?とか俺は思っていたのだが……どうやら気のせいではないらしい。ちょっと七菜が拗ねているというか……傷ついた?というのだろうか。なんかちょっと表情が……と俺は思いつつスマホを受け取ると……うん。通話は切れていたのでそのままスマホの画面を消した俺だった。
とか思っていたら。
♪♪
今度はメッセージが来た……ってまた柊からだった。
「楓ー。なんか妹ちゃんに小さくてかわいいよね。って言ったら「でわ。失礼します」って電話切られたんだけどー。かわいいって言っちゃダメだったのか?」
と。いうメッセージが来ていたのだが……うん。まあ確かに七菜は……見た目小さいというか。幼く?見えるかもだが……どうやら今海織の言っていたNGワードとやらは……それか。と俺が思っていると。俺の隣に居た海織がスマホを覗いて来て――。
「あー、なるほどなるほど。白塚君。この前写真見て七菜ちゃんの見た目は知っているからね」
とかつぶやきつつ。七菜の横に移動して――。
「七菜ちゃん小さいって言われちゃったんだね。よしよし」
「なー、宮町先輩。なんですか。急に」
海織が七菜を抱きしめにかかったのだった。うん。ここ俺の部屋。
2人の世界を作りたいなら……移動をお願いしたいんですが……まあそれは無理か。と思いつつ。俺は柊に――。
「NGワードがあったみたいだよ」
と、返事をしておいたのだった。
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