第347話 御朱印巡り2 ~まだ歩きます~

七菜のお見送りに来ただけだったはずが……。

何故か途中から津駅周辺で御朱印巡りというかぶらぶら観光をしている俺と海織。


すでにかなりの距離を歩いたので……俺は疲れています。が、海織はまだまだ大変元気です。


現在は津城址を見ているのですが……うん、噴水があったり――ってここが本丸の跡地らしい。


そしてあー、そうそうその前に像があったんだが。あれは藤堂高虎。だったらしい。ちゃんと紹介されていました。


その後は天守があった跡地とかを回り……そういえば建物はないのかと思っていたら一部だけ建物がありましたね。もしかしたら復元?だったのかもしれないけど……ちょっと詳細は不明。ってか石垣は……昔のままじゃないかなー。とか思いつつ見ていた俺です。


津城址をぐるりとまわった後は……ってこの時点ですでに15時過ぎ。とか俺が思っていると海織が――。


「そろそろ帰ろうか?さすがに疲れてきたね」

「お昼ご飯の後ずっと歩いてますからね。って海織に付かれは見えないけどね」

「まあまだ歩けなくもないよ?でもいい運動したー。ってことで――帰りはバス乗ると見せかけて……津新町駅まで歩こうか」

「……海織が元気すぎる件について」

「ほらほら多分15分くらいだよ」


うん。俺が何を言っても――みたいですね。


「いやいや絶対近くにバス停あるよね?さっき看板あったけど。津市役所や津警察署とか書いてあったから。バス停絶対あるかと思うんだけど」

「まあまあ今日は歩く日なんだよー。楓君」

「……」


そう言いながら海織は自分のスマホをカバンに入れて――。

俺の腕をまた確保って……もしかしてこの子……単にくっつきたいから歩いている?ってそれ歩きにくくないかな?とか俺が思っていると……。


「楓君。ほらほら行こう。行くよ」


と、歩き出す海織。


「マジですか」

「マジマジー。ここまで歩いたら最後まで歩こうよ。で、夜はのーんびりしていいから」

「……」

「あれー、楓君がなんか。それ絶対嘘でしょ。みたいな目をしてる」


とか海織が俺を見つつそんなことを言っていたが……いや、海織が大人しく自分の家に帰るのなら――まあ俺は夜平和かもしれませんが……この子ね。昨日は七菜の相手してて自分の家に帰ったから――今日は住み着きそうなんだよね。

とか思っている俺でした。はい。


そんな中も俺は海織に引っ張られるように歩いています。

ってか、この時海織は歩く向きを間違っていたため――。


「あっ。間違えた。こっち国道だ。駅は……反対だね」

「ならバス乗ろうよ。って今バス停なかった?あったよね?」

「私には見えなかったなー。それに運動は大切だよ?」

「なんで今日の海織はこんなに歩きを押すのか」

「そりゃ――夜に楓君へのマッサージを絶対するためだね」

「……なんか恐ろしい計画が進んでいた」

「楓君もう疲れた何回も言ったから。今日はスペシャルコースだね。で、七菜ちゃんとイチャイチャしていた分をいじめて……」

「イチャイチャしてないし」

「えー。楽しそうに話してたよねー。彼女の前でこれはお仕置きコースだね」

「……これからの日々が怖いんですが。ってかなんか海織……めっちゃ楽しそうにしてない?」

「にひひー。まあ大丈夫だよ。七菜ちゃんにはいつでも楓君ところ来てね。って言ってあるし」

「なんかおかしなことになってない?って海織が七菜がこっちに来るようにしてるよね?」

「かわいいわかいい後輩ちゃんの面倒は見るべきだよ?楓君。そして私にいじめられるの」

「……今日の海織はおかしいと……いや……いつもか」


うん。なんか今後がいろいろ大変な未来予想図しかなくて……嫌なんですが。とか俺は思いつつも。まあ海織に捕まっているので逃げることはもちろん出来ず。そのまま気が付いたら。なんか線路。踏切が見えるな……と思ったことには俺達は津新町駅へとやって来ていました。


なんかかなり遠回り?してになるのかな?うん。多分遠回りしてだよね。とりあえず俺たちは津駅から津新町駅へとやって来ました。


津新町駅に到着後は2人で改札を抜けて時間を確認すると16時08分。

そして駅の時刻表を確認すると――。


「16時11分に普通電車。14分に急行。なかなかいいタイミングで」

「ってことは急行の方が早く四日市に着くね」

「海織は急行に乗った場合途中で乗り換えになりますが?」

「—―えっ?」

「いやいや、えっ?じゃなくて普通海織が家に帰る場合は普通電車に乗るよね?まあここからだと急行に乗って途中で乗り換えもあるかと思うけど……」

「いやいや今日は楓君の家に訪問の流れだと思うよ?」

「なんかたまにしか言ってませんみたいな感じで言ってるけど、海織最近うちに居る頻度すごいからね?」

「そうかなー、ってか昨日は七菜ちゃんのお世話で途中で帰ることになっちゃったんですけどー」

「あれはイレギュラー……うん?」

「どしたの楓君?」

「いや……やっぱりなんか忘れてる――」


そう、なんか俺忘れてるよな。と七菜関連の事でと思っていると。

これをタイミングよくとか言うのか……。


♪♪~


俺のスマホが鳴った。俺のスマホによく連絡してくる人は隣に居るので……別の人。俺はそんなことを思いつつスマホを確認すると――。


「……まさかの噂をすればか」


電話は七菜からだった。


「七菜ちゃん?」

「です」

「ホント楓君気に入られてるねー」

「……もしもし」


なんか海織に脇腹を突っつかれているがそれは我慢して――電話に出てみると……。


「あっ先輩!無事着きましたー」

「それはよかった」

「で、今更なんですけどー。気が付いた事言っていいですか?」

「どうぞ」

「特急券代出してもらってありがとうございます」

「……そうだ。それだ、特急券代七菜からもらわなかったんだ」

「あれ?先輩の優しさじゃなかったんですか?」

「……いやなんかずっと忘れてるって感じで、引っかかっていたんだが……で、今言われて気が付いた」

「ありゃー。言わない方がよかったですか」

「いや。家に帰ったら財布の中身見て思い出していたと思う」

「まあじゃ今度なんかお礼しますね」

「まあ……うん。お礼とかはいいけど」


と、七菜と話していると――。


「楓君楓君」


隣から海織が話しかけてきたので……。


「あれ?まだ宮町先輩と一緒に居るんですか?」

「……居ますね。あれからちょっと津駅のあたりぐるぐるまわっていて……やっと今駅に戻って来たところというか……まあ違う駅に戻って来たけど――」


と七菜と話していると。電話の向こうで七菜が呼ばれている声が聞こえた。


「先輩たちホント仲良しさんですねー。って――あっ。ごめんなさい。外でお母さんが呼んでるのね」

「ああ、わかった」

「じゃ、また連絡しますねー」

「……了解」


と七菜との会話は終了というか。うん。俺なんで特急券代をもらい忘れたのだろうか……上本町まではそこそこするからな。うん。とか思っていると。


「楓君がお話し中に電車行っちゃったねー」

「はい?」

「ほら」

「……あっ」


俺がホームの方を見ると……ちょうど名古屋行き急行と書かれた電車が……ホームに止まっていた。うん。ここからだと乗れないな。って今ドアが閉まったな。っか急行が発車するということはその前の普通はとっくに発車しているという事だ。


「私ちゃんと声かけたのにー」

「さっきの呼びかけはそれか」

「まあ七菜ちゃんに一緒に居るアピールだけどね」

「—―電車が来たの声かけではないね。それは」

「えへへー。まあ私は何時でもいいからねー」


うん。まあとりあえず普通と急行が津新町駅をすでに発車したようです。

こういう場合は……とりあえずホームに行きましょうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る