第341話 メッセージ3 ~七菜途中海織~

「いや、その私今素っ裸でカピバラ着ちゃってるんで」


この後輩なんでこんなことカミングアウトしているんだろうか……と思いつつ。


「その情報わざわざ言わなくてもいいかと」

「そうですか?」

「そうです」

「なら忘れてくださーい。あっ別にみられているわけじゃないんで妄想するくらいはいいですよ?」

「謎な言葉がなんか多いな……」


電話の向こうで七菜はそんなことを言っているが――うん。忘れようとしてもしばらく頭に残りそうであった。


「っか先輩」

「うん?」

「宮町先輩なかなかグイグイ来ますね」

「はい?」

「いや、だって私がお風呂に入る時一緒に入ろうとしてきましたからね」

「なんか悪い。暴走娘で」

「先輩。いつも一緒に入ってるんですか?」

「いやそれはない」

「なんだ。無いんですね。ってまあ今日もいきなりじゃなかったらですがー、いろいろ準備なしで一緒は恥ずかしいですからねー」

「うん。なんでそんなことを俺に報告しているのかもわからないが……」

「確かに」

「言葉選んで話してくれ」

「っか先輩先輩。本当に2人は付き合ってる――きゃあああ」

「—―!?!?」


いきなり悲鳴が……かなりの大音量。って何があった!?と思っていたら。って耳が痛い……。


「—―す。すみません先輩。大きな声出して――あっ」

「いや……えっと。何があった?」


すると声が変わった。


「楓君ー。何何?後輩ちゃんにこっそり電話かな?」

「……悲鳴は海織が原因か」

「……宮町先輩ー。スマホ返してくださいよー。くぅぅ――届かない……」


と、ちょっと小さな声?で七菜の声も聞こえてきている。って何しているんだろうか。


「海織、先に行っておくけど、電話を掛けてきたのは七菜だからな」

「うん。知ってる」

「……」


さらっと知ってるという海織だった……うん。とか思っていると――。


「だって少し前からお風呂場からチラチラ見てたからね」

「後輩をいじめないように。ってこのスマホ七菜のでしょ」

「だね。今もふもふしてる」

「うん。なんかおかしいね」

「先輩ー。私捕まって?うん。なんか揉まれてます」


とかいう七菜の声が聞こえたってはっきり声が聞こえたから……海織が話させたか。とか思っていると。すぐに海織の声が聞こえてきた。


「楓君聞いてきて。七菜ちゃんね。めっちゃ肌綺麗だよ」

「うん。変な情報はいらないからね」

「ちなみに今どんな姿してると思う?ヒントはめっちゃ可愛い姿してるよ?」

「カピバラ」

「……あれ?なんで楓君わかったの?もう聞いた?」

「……まあ聞いた」

「画像送りましたー」

「—―七菜!?」


うん。平和に進まなかった。


「楓君……まさかえっちーな画像送れとか言っちゃった?」

「七菜が勝手に送ってきたんです。だから知ってるんです。あとでメッセージ履歴でも確認してください」

「はーい、ってもっとすごい情報もあげようか?楓君」

「結構です」

「えー、楓君がニヤニヤできる情報だよ?」

「結構です」


うん。これ絶対嫌な予感しかしないからね。うんうん。聞かないのが正解。とか思っていたら――。


「—―ってか宮町先輩。服くらい来ましょうよ」

「あっ。ばらされた」

「……」


うん、七菜により海織の状況がばらされた。って――。


「海織。服着て大人しくしなさい」

「えー、いつもだよね?」

「待て待て七菜に変なことを言うな。嘘情報を流すな」

「先輩。そんな濃厚な……」

「七菜。勝手に話を進めるな」


って今気が付いた。向こう2人でスマホ取り合っているとかじゃなくて――ハンズフリー?にでもして話してるな。2人の声がちゃんと聞こえているんでね。


「っかちょっと冷えてきたから服着てくる」

「いやいや、着るのが普通だから」


と、海織と話すと……そこからは七菜の声だけになった。


「いやー、いきなり後ろから押し倒されるとは思いませんでした」

「暴走娘でマジすみません」

「先輩たちいつもあんな感じなんですよねー」

「違うからね?」

「でも一緒に寝てるとか。基本抱きついているとか聞きましたよ?」

「……海織—―」

「ってか先輩。あまりテンション高くないというか。彼女さんが素っ裸の想像とかしてないんですか?」

「七菜も何を言っているのかな?」

「いや、先輩のトーンがずっと一緒なんで。なんかいつもの事なのかなー。って」

「……まあうん。海織が暴走はよくあるから。お気をつけて」

「そうなんですか。じゃ、今度またいろいろ教えてくださいよ。遊びに行きますから!頻繁に」

「うん。頻繁にはいらないかと――」

「えー、だってもうすぐお隣さんですよ?宮町先輩も来ていいって言ってましたし」

「……俺の平和が……」

「ってか多分先輩方に助けてもらわないとなので。よろしくお願いします」

「—―えっ?」

「そのうちわかりますよー」

「何が?」


とか七菜と話していると……。


「そうだ七菜ちゃんマッサージしてあげようか?私得意なんだよ」

「えっ?いいんですか!?してもらいたいです!」


とか言う声が聞こえてきたので……やめた方がいい。と俺が言おうとしたら――。


「先輩、おやすみなさいです!。今から宮町さんのマッサージ受けるんで」


と俺が返事をする前に通話が終了した。今日何度目かの通話終了の画面を見た俺だった。


「—―今頃悲鳴じゃなきゃいいが……」


とか思いつつスマホを机に置いた俺。ってメッセージや通話で電池が結構減っていた。


まあなんやかんやで結構話していたからな。俺は充電ケーブルとかを探して……スマホを充電して……再度飲み物でも飲むかと冷蔵庫へと向かった。


それからは俺のスマホもならず平和な夜になった。うん。

朝にはまた平和は崩れたが――ね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る