第325話 そうだ旅行へ行こう!26 ~大和八木駅22時05分発~

京都駅を出発して大和八木駅までの間はフルーツサンドを食す。

という時間となっていた俺たち4人。まあ外も真っ暗だったのでね。車窓が楽しめないので……これが正解だったのかな?そして話していたらあっという間だったし。


間もなく電車は大和八木駅に到着。ここで名古屋方面の電車に乗り換えである。


「次の電車は階段。エスカレーター上がってだから」

「はーい」


俺が言うと斎宮さんが反応してくれた。


乗り換え時間は3分ほど、まあ余裕である。荷物を持って俺たちは降りる準備。そして電車は22時02分に大和八木駅に到着した。


ドアが開いて俺たちは外へ。うん、寒い。いやめっちゃ寒いな。いや京都散策中も寒かったがまあ日差しがあったし、そこそこ動いていたからまだよかったが……電車で暖まっての外は……寒かった。


「さむっ」

「だね。早く移動しよう」


俺が思っていると。前を歩いている女の子2人がそんなことを言いながらスタスタ移動。それに付いてく男性陣。

名古屋、伊勢志摩方面のホームは京都線の上。真上である。そのためエスカレーターで上に上がると――。


「—―あれ?楓くん楓くんこの止まってる電車?」


前から斎宮さんが俺に聞いて来た。斎宮さんの指さす先にはアーバンライナーがすでにホームで待機中。


「あっ、そうそう。確か22時にこの駅付いてるはずだからそれ乗っていいよ」

「何号車だっけ?」


斎宮さん海織と話しつつ――号車を確認して俺たちは車内へ。


次に俺たちが乗る電車は近鉄名古屋行きの特急。

大和八木駅22時05分発である。この電車は22時に大和八木駅に着いているので……この駅でそこそこ長めに停車している。

何度も言っている気がするが。これが特急では……ってか多分名古屋へ行く最終連絡の電車じゃないかな?うん。それは調べないとだが。多分時間的にはこれが最後だと思う。ってか何度も言うのは俺たちはどこかで乗り換えミスをすると帰れなくギリギリの移動をしているのでね。

最終電車とか注意ですからね。


俺達が電車に乗り込み席に着くと電車は大和八木駅を発車した。

ここからは1時間15分くらいだったかな?近鉄四日市までの……おやすみ時間です。はい。


座席は乗り込んだ車両の一番後ろで通路を挟んで、だったため進行方向左側に海織と斎宮さん。右側に俺と柊が座った。


「楓君楓君」


するとすぐに海織から声をかけられた。


「どうしたの?」

「私はどこまで乗っていいの?」

「えっ?」


と聞かれて海織が確認したいことをすぐに理解した俺だった。

いやまあ普段なら自分の家に帰りましょう。とか言うんだが……まあ時間が時間だし。じゃなくても買う時に特急券は近鉄四日市まで大人4枚。で、乗車券は2枚菰野駅。とかまあうん。ややこしい買い方というか。いろいろありましたので……本日ICカード持っているのに使う気のない女の子2人というね。うん。ここでバラしておく。声には出してないけどね。


「本日は……伊勢川島まで2人ですので」

「それは来いってやつだね」


海織めっちゃ笑顔だよ――うん。


「……まあ……白子駅で名古屋行きの普通……いやこの時間だと富吉行きの普通かな?多分最終連絡はあると思いますが?その選択もまだ一応……」

「乗らないよ?」

「ですよねー」

「じゃあ私もゆっくり寝てていいよね」

「今日は――ご自由にどうぞです」

「はーい」


と海織と話していると――。


「なんか楽しそうな会話してるねー」


斎宮さんが海織にのしかかるようにこちらに顔を伸ばしてきていた。


「こちらは……業務連絡?事務連絡?的なことですので」

「楓君が今日は家に来い。とか言うからね」

「あらま!」

「ちょちょ、そこ。話をおかしくしない」

「仲がよろしいことでー。ってか楓くんしばらく乗り換えなしだよね?」

「うん。乗り換えは四日市までないよ」

「じゃ、海織ちゃん枕にお休みなさい。お腹いっぱいで眠くなったー」

「じゃ私も沙夜ちゃんにもたれて……」


仲良しのお2人さんはそれから少しすると静かになりましたとさ。

ちなみに俺の隣では――。


「……7マジで金使われたな」


自分の財布の中身を確認しているお方が居ました。


「電車代だけでもかなり減ったな……柊が逃げたから」

「おかしいな。俺楓が何話してるか。言葉がわからなくなったな」

「日本語わからなくなったか」

「わからなくなったのかもな」


笑いながら柊が答えた。うん。こやつ……。


「まあ、全部……もだけど。にしても……斎宮さんの誕生日すごい」

「豪華すぎるよなー。っかこれにプレゼントよこせとか言ってたよな」


そういや……俺も言われたような……と思いつつ。


「でもまあ……いろいろまわれたし」

「まあ確かにな。宮町さんとぶらぶらできたし」

「振り回されてたねー」

「っか楓。またそこの寝てるやつが騒いだらパスするから」

「ご遠慮します。そちらで対処してください」

「宮町さんはいつでも楓を使っていいと言ってたんだがな?」

「……知らぬ間に……って海織そこらじゅうで俺を使っていいと言ってないか?」


と、通路を挟んでお隣で寝ている2人を見ると……うん、めっちゃ爆睡中でした。うん。結構歩いたからね。


それから柊と本日の出来事をまあ話しつつ……電車は進んであっという間に近鉄四日市へ。


――23時22分。

近鉄四日市駅に到着。大和八木駅の時も感じたが……電車で暖まった後の後は……寒い。うん。そして地味にここでの乗り換え待ちの時間が長かった。


次の湯の山温泉行きの普通電車は23時42分発。最終列車である。駅で20分弱の待機時間がありまして……待っている時の寒さね。待合室も最終列車だからかそれを待つ人でそこそこいたので結局外で待機していたのでね。ずっと隣で女の子2人がくっついていました。


そんなことがあって、電車が来たら乗り込んで……伊勢川島駅へと着いたのは23時51分。もうすぐ日付が変わるという時間。


「じゃ、海織ちゃんまたねー」

「うん。バイバーイ」


と、今柊と斎宮さんと別れた俺と海織。数人の人とともに伊勢川島駅へと降りて……電車を見送った。


そして――歩く。


「真っ暗だね」

「2日間満喫というか。早朝出発で最終帰りか」

「だね。でも私ほとんどお金使ってないよ」

「……男性陣頑張りましたねー」

「ありがとう。あとでマッサージでもしてあげるよ」

「—―本日はゆっくりお休みください」

「えー、電車で寝たから元気だよ?」

「寝ましょう」

「楓君が拒絶反応だー」


とかまあ海織にいろいろ言われつつ俺たちは家へと帰りましたとさ。

はい。その後なんやかんやと俺が悲鳴をあげていたのは別の話。うん。

なんでこの子は元気だったのか。体力の回復が早いというか……ホント元気な子でした。


まあ無事に帰って来たから良しか。財布は軽くなったが――。

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