第316話 そうだ旅行へ行こう!17 ~夜中2~
夜中に海織とともに自動販売機に飲み物を買いに来ている俺。
「あっ楓君も飲む?」
「えっ?」
「美味しいよ?」
と、今海織が飲んでいた飲み物がこちらへと差し出される……ってまあうん。よくあることなのだが……慣れって怖いね。
「……じゃあ少し」
「おお、楓君が間接キス積極的に希望」
「—―やっぱりいいです。はい」
この子夜中になるとちょっとテンションおかしくなるのかな?こういう姿夜はよく見る気がする。
「嘘嘘。いいよ。飲んで飲んで」
「なんか飲みにくくなったんですが……」
とまあ結局もらったんだけどね。海織がずっと差し出してきていたので。
で、その後はまた海織に戻して……自販機があったところに椅子があったのでそこに座り残りのお茶を飲んでいる海織。それを見ている俺という感じだった。
すると――。
「そうだ。楓君」
「うん?」
「楓君ってさ、前に沙夜ちゃんと京都来たよね?」
「えっと……うん来たね」
「その時東寺ってどうやって行った?」
「……東寺?あー、京都駅のところというか次の」
「そうそう」
「えっと……」
ちょっと昔の事を――思い出した俺。
「確か近鉄で東寺駅に行ってそこから歩いたんだったかな?駅からはそこまで遠くなかったね。見えてた気がするし」
「近鉄に乗り換えて。うーん……でも地図で見るとあれくらいなら――」
「もしもーし。何を企んでいるんですか?」
「なんでもありませーん」
「……あきらかに怪しいんだけど」
「まあまあとりあえず明日は。別行動だよ」
「まあ……海織の作戦通りですね」
「楓君が適当な事言ってきますねー」
「いやいや……なんかあるんでしょ?」
「……にひひー」
うん。怖い怖い。なんかありそうだが――。
と、その時俺はふと思い出した事があった。
そうか。明日。いやもう今日だ。今日が斎宮さんの誕生日だから……海織と柊の方が何か考えている可能性もあったか。と、先ほど俺は斎宮さんと海織が組んでいると言ったが。その時の海織の態度があからさまだったからな。なるほど……その可能性……ありか。柊が海織に協力を依頼—―まあなくはないか。一緒に行動していたら……まあ難しいかもだし。海織と斎宮さん2人が一緒なのは当たり前と言うか。まあよほどのことが無いと別行動はこの旅行ではないから……なるほどなるほど。
と、勝手に予想している俺だった。
「うん?どうしたの楓君?」
「えっ。ああ。ごめんごめんこっちのこと」
「うん?なんかよからぬこと考えちゃったかな?」
「いやいや、なにもです」
「どうかなー」
「なにもです。ってか飲み終わったならそろそろ戻ろうか?寝ないと明日辛いかと」
「うーん、楓君がなんか勝手に考えてそうだけど……まあいいかー。だね。明日も夜まで動くよー!」
「……合流時間お忘れなく」
「大丈夫大丈夫、頑張るから」
「……頑張る?」
「たくさん見たいからね」
「そっちは柊の希望的に京都タワーと清水寺では……」
「ふふふー」
あれ?なんか違うのかな?海織のここ顔は……柊。ご愁傷様。
「……まあいいか。とりあえず戻ろうか」
「うん。じゃ、おんぶ」
うん?なんか今変な言葉が聞こえた気がするが――。
「—―はい、歩く」
「あっ、ひどーい」
「いやいや、いきなり何を言いだすのかと思えば」
「明日は楓君にくっつけないからねー。今のうちに甘える?」
「……」
このお方。ホント楽しそうです。なので……ほっていきましょうか。と俺は歩き出すと……。
「あっ。ちょ、楓君が見捨てたー」
とか後ろで声が聞こえたと思ったら。なんか後ろで足音がして――。
「……とうっ」
「—―ちょ!?」
いきなり後ろから衝撃が……って……軽っ。でも危なっ。こけるところだったが……セーフ。
「……海織」
「にひひー。さすが楓君。こけなかったね。ちょっと勢いありすぎたみたいだけど」
「……何をしてるんですかね?」
俺は背中に飛び乗って来た……お軽い方に一応聞いた。ってか。ホント軽いというか……大丈夫かな?この子って思うよ。
「いい乗り心地の物が正面を歩いていたのでね」
「……はあ」
俺は……まあ周りに視線はないし……ってかとっとと部屋に帰った方がいいか。ということで海織の足を持って……ちょっと持ち直す。
「えへへー。運んでもらっちゃったー」
「いつでも落とせますが」
「楓君はそんなひどい事しないでしょ?」
「……」
「ほらほらレッツゴー」
まあ……しないかも。と、海織を乗せて俺は部屋へと戻った……すぐだからね。もう部屋の前。
「で、海織さん。到着したんで降りませんか?」
「まだ中じゃないよ?」
「……」
まあ降りる気がない様子なので……俺は片手で鍵を開けて……そっとドアを開ける。途中からは海織もドアを持ってくれたのでそのまま中へ。室内は……静か。うん。
ってかまだ降りる気のない海織。多分ベッドまで……という事だろうと思いつつ。部屋の中に入ると――うん?
「あれ?ここ俺の場所……」
「沙夜ちゃん移動してきたんだね」
「……どうやってよ」
と、少し前の事。というかほんの数十分くらいの事だと思うのだが……。
一番端に居たはずの斎宮さんが……俺のベッドと柊のベッドを使っているというか……。
うん。目の前では柊が何故か床に居て――多分床で普通に寝ている。
で、俺の使っていたベッドと柊が使っていたベッドに橋を架けるかのように斎宮さんが寝ていた……ってか。室内は暖かくしていたが……ちょっと寒そうに見えるんだが……って柊はなんで床で寝ているのか……ってまあ落とされたのか。でもなぜ起きてないか……いろいろ確認したいことがあるんだが――。
「これ――ドッキリ?」
と、俺が聞いてみると……海織はやっと俺から降りて……斎宮さんの身体を突っついた。
「—―うぅぅ」
「寝てるよ?」
「……横断してきたのか……」
「みたいだね。でもこれだと沙夜ちゃん風邪ひくから楓君。移動してあげないと」
「……えっ?」
「抱っこ抱っこ」
「……」
ということで――なんか斎宮さんをもとの位置に戻して……布団をかける。まで俺はしましたとさ……何してるんだろうか。ってか斎宮さんも軽っ。ってか斎宮さん今度は横断しないでくださいね?とか俺が思っていると――。
「楓君楓君ベッド交換してくれる?」
「うん?」
「楓君の壁?が必要かもだから」
「……おやすみなさい」
「ちょちょ」
と、俺は先ほどまで俺が使っていたところに倒れ込む。
「あっ、もう。じゃ、私は楓君と寝よっと」
とか言いながら何故か俺のベッドに侵入してくる海織。ちなみに壁というだけあって海織は柊側に寝転んできた。っていやいや、周りに他の人居ますから……とか俺は思ったが……まあ海織も小声だからそれはわかっているみたいだが。うん。さすがに一緒は……だったので俺は結局海織の使っていたベッドへその後移動してで寝た。
あっ。柊は……床だったが。とりあえず海織が布団をかけていたので……大丈夫なはず。よく寝てたし。うん。
そして翌朝—―。
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