第283話 餅つき大会10 ~これが楽しみの人もいる2~

♪♪~


♪♪~


「凄いね。これはレアだよ」

「うん。だね。ってか周りもみんな大盛りあがりだね」


現在俺と海織はステージというか。歌を歌っている人たちの方を見ながらくつろいでいる。


もう完全に公民館は宴会場ですね。

ちなみに……今中心で歌っているのは斎宮さんだったりする……うん。歌上手。そして――おっちゃんたちのアイドルとなっていた。斎宮さん今人気の曲を選んだからか。おっちゃんたちも反応しているやらでまあそれはそれは盛り上がっています。


ちなみに、柊はおばちゃんたちのアイドルのまま。

ふと後ろの方を見れば今もおばちゃんたちに掴まっている。先ほどは料理を勧められながら話に掴まっていたが。今はフルーツを進められながら話に掴まっているという感じか。


で、再度向きを変えれば……斎宮さんがマイクを持って楽しそうに歌っている姿。

ちゃっかり海織はスマホで斎宮さんの動画を撮っていたりした。

まあちょっとお酒の入った斎宮さんというか。うん。まあ楽しそうに今はしているからいいが……これ……あとでどんな反応になるのかな?とか俺は思っていたりした……うん。


「海織」

「うん?なに?楓君」

「それ後で斎宮さんに見せるの?」

「かなー。楽しんでるからね」

「お酒の力では……まあそこまで飲んでなかったと思うけど――」

「まあまあこういう弱みも必要なんだよ。楓君」

「怖い怖い」

「楓君も歌ってきたら?」

「遠慮します」

「えー、行ってこようよ。撮ってあげるよ?」

「大丈夫です。遠慮します。ってそろそろ片付けの方でも手伝ってこようかな」

「あっ。楓君が逃げたー。って私も手伝ってこようかな」


宴会場……ではないが。部屋の方ではまあいろいろなところで盛り上がっているが。厨房の方では確か片付けをしている人もいたので俺と海織は料理や飲み物をもらったということもあり。そちらのお手伝いへと向かうことにした。


そういえば……あの目立つ難波先輩の姿が無いような――とか思っていたら。片付けの途中におばちゃんが教えてくれた。


臼と杵か。あれとかまあ今日のイベントで使ったもの。借りた物を何人かで返しに行っていると。

途中までは室内でいろいろなところで話しているな。とは思っていたが。いつの間にか外に出て行っていたみたいです。ホント忙しい人だ。


まあそんなことを思いつつ。俺はおばちゃんと皿洗い。すると――。


「そういえば加茂君加茂君」

「はい?」


おばちゃんの1人が俺に話しかけてきた。


「加茂君の彼女さんはどの子?」

「……えっ?」

「にひひー」


うん。なんか隣で一緒に皿洗いをしていた海織がニヤニヤ悪い顔をしているんですが……ってまあ普通に答えないとですね。


「……今隣でニヤニヤしています」

「あら。そうだったの。私はハズレね」


うん?どういう事だろうか。と俺が思っていると。他のおばちゃんたちも――。


「残念」

「可愛い子ばかりで難しいわよ」


そのあとおばちゃんたちの話を聞いていると……おばちゃんたち数人は事前に誰が誰と……というのを予想しあっていたらしく。って……あれ?じゃあ俺は斎宮さんとペアとか思われていたのだろうか。とか俺が思っていると――。


「楓君は沙夜ちゃんとペアの方がよかったのかなー?」

「何も言ってないのですが……」


……ちょっと頭の中で思いましたけど。ってホント海織は何故こんなに的確についてくるのか……怖い。想像するだけでもアウトとか。って――なんか楽しそうな顔してるな。お隣に居る方。


「まあ私が居ない時に沙夜ちゃんと楽しそうに話していたもんねー。私の知らないところで他にも楽しんでいたのかな?」

「普通にいつも通り話していただけなんですがね……」


とか、海織といつも通りやり取りをしていると――。


「私はあの外で会っていた髪の長いかわいい子と思ったんだけどね。こっそり会いに来た感じに見えなくもなかったからね」


1人のおばちゃんが言い――。

うん?あれ……?誰だそれ……と俺がなっていると――。


「ほほー。楓君。どういうことかな?その特徴。私たちじゃないよね?」

「あらあらー。大変」


ボソッと言ったおばちゃんは楽しそうに……うん。楽しそうに笑っていた。危ない爆弾落としてくれたよ。おばちゃんが。そして周りのおばちゃんたちも楽しそうにしている。何だこの空間。


「おばちゃんおばちゃん。それどんな子だったんですか?」

「えっとね」


海織は興味深々というのか。俺を挟んで隣に居たおばちゃん。ボソッと言ったおばちゃんに詳細確認を始めた。いやいや俺を挟んでそんな会話をしなくても……。


「確かね。お餅を裏に持って行った時に見たんだけど。背の小さい子でね。かわいらしい帽子をかぶって。はじめは誰かの妹さん?とか思っていたんだけどね。よくよく見たら。しっかりしている感じの子でね」

「うんうん。誰かなー」


うん。海織さんの視線が怖いですね――っかめっちゃ楽しんでるよこの顔は……。


「でもあの子……あれ以来見なかったわね。居たかしら?」

「さあ?私は外に出てないからね」

「でも。このあたりの子じゃなかったから――誰なんだい?」


と、早々に俺に質問がまわって来た。

うん、おばちゃんたちも情報不足だったらしい……ってこの空間俺1人で全員の相手をするような感じになっているのですが……。


「さてさて。楓君の言い分を聞きましょうか?」


海織るがめっちゃニヤニヤ楽しそうな顔を隣でしています――誰か助けてですね。はい。


「……なんか裁判になってる?」

「回答次第では処刑だね」

「処刑!?」

「うそー。まあでも覚悟は必要かもだねー」

「……」


うん。海織さんが――めっちゃ楽しんでいます。ホント誰かお助けください……ってそうか。この厨房には俺の身方の人は居ないのか。


なんで俺……皿洗いに来てしまったのだろうか……と数分。数十分前の自分に言うのだった。

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