第284話 餅つき大会11 ~これが楽しみの人もいる3~

「とまあ……以上です」

「えー、楓君。誰か知らないで話してたの?」

「いや、知らないというか。まあ前にも会った人というか。うんたまたま会いまして」

「でも名前も知らないんだよね?」

「……はい」

「えー。情報不足ー。大切な事隠してない?」

「いやいやホントです。ホント。話し終えた後に――あっ。って気が付いて……ですね。はい」

「怪しいなー」

「怪しい言われても……ホント。さっきも言ったけどオープンキャンパスで会っただけで。今回も偶然……」

「オープンキャンパスの時私は見てないからなー。わかんないし。今日も私は裏には言ってないからな。それにお餅配っている時にそんな子見たかな……」

「まあお餅は裏で食べてたからもらいに行かなかったかもしれないし」

「うーん。楓君に有罪の雰囲気」

「なんで?」


とか海織と話していると――。


「あの子もべっぴんさんだったからね」


おばちゃん。いろいろ付け加えないで。海織のニヤニヤがやばいから。これこの後なんか起こるから。家に帰ったら……怖いから。お願い。お静かに!

とか思う俺だが……まあおばちゃんたちはお話し好きなので――。


その後も――大変でした。

お片付けはどこへ。って感じでしたね。部屋の方から別の人が空いたお皿とかを持って来てくれるまで質問攻めは続きましたとさ。


でもまあ俺も知らないというか。わからないんだから……。

うん。説明できないという。


ホント……誰だったんだろうね。って感じです。はい。


それからしばらくして片付けは終わり――。

宴会。どんちゃん騒ぎ組は……酔いつぶれている方やら。まあ大変なことになっていましたが。慣れているおばちゃんたちがぱっぱか追い出して行ってくれたため。

部屋の片づけはスムーズに進んだ。


「で、楓君。誰と浮気してたの?」

「……なんでもう斎宮さんにもその話が広がってるわけ?ってそれ嘘情報かと……うん。ただ話していただけという」

「まあまあ。ちなみに今海織ちゃんが笑顔で愚痴ってたよー」

「海織なぜもう広めている――」

「楽しそうだからねー。あと情報収集だよ」

「楓もすごいな。宮町さんが居て」

「だ・か・らー」


と、そこに柊まで参加してきた。この3人は何なんですかね。とか思っていると。


「柊は柊でおばちゃんたちと楽しんでたよねー」


斎宮さんが柊にぼそりと……。


「沙夜は沙夜でおっちゃんたちとカラオケで盛り上がってなかったか?」


うん。ここの2人もなんか始まった……と、思ったのは一瞬の事だった。


「まあそんなことより。楓君の浮気の方が重要か」

「だね」

「おい。早いな。そっちの話が終わるの」


うん、2人ともこっちに戻って来るのが早すぎる。


「でもな。俺もそんな子見てないんだよな……帽子に眼鏡。背丈は低め……まあ小さい子はたくさんいたが。帽子に眼鏡かー。居たかな?」

「そんな真剣に考えなくても……」

「面白そうじゃん?」

「—―」


うん、柊も楽しそうですね。正月から。


「私も気が付かなかったんだよねー」

「おばちゃんの話によると。かなりかわいい子って言ってたんだけどね。髪が長くて」

「うーん。楓くん本当にどこの子か知らないの?」

「だから。知らないんですよ。2回会って少し話した」

「海織ちゃん。これ有罪でいいんじゃない」

「だよね。家に帰ってからゆっくり聞くよ。楽しみー。ニヤニヤー」


……って海織いつの間に後ろに居たんですか?かなりびっくりですから。いつの間にか海織が俺の後ろに居た。


「……って、なにこれ」

「楽しそうだな。楓」

「どこが?これ全くこの後も休める未来予想図が無いんだが――」

「大丈夫だ。正月休みはまだあるさ」


そんなことを話しているとお開きというか。まあ宴会?お疲れ様会は終了。

いつの間にか戻ってきていた難波先輩のあいさつで終了。解散となった。


「うわー、真っ暗ー」


外に出たころには時刻はすでに20時過ぎ。


「あと寒いー」

「だね。やっぱり冷えるね。中は暖かかったけど」


俺の前を女の子2人がキャッキャッ言いながら。うん。歩いています。

ちなみにこちらは……。


「っかまだ新年始まって2日か」

「まあ一応2日目」

「なんかもうめっちゃ今年過ぎた気がしてる」

「それはまあ、いろいろあったからかと」

「普段なら実家とかでダラダラなんだがな。明後日くらいに帰るか」

「まあそれは自由化と」

「楓は帰らないのか?」

「まあいつでも行けるし――バタバタでなんか疲れたから残りはのんびりと計画を……」

「まあ楓は今から取り調べだろ?」

「海織。大人しく帰らないかなー」

「宮町さんめっちゃ楽しそうな顔してたからな。良いなー。正月から」

「まあいい顔はなんかしてた……めっちゃあとが怖いが……」

「ホント良いな。楓は」

「どこが?」

「楽しいだろ?帰ったら大騒ぎで」

「……大騒ぎはないな」

「じゃ――ベタベタ」

「どういうことだ!?」


とか。まあ男同士で会話中。

ってか。今ふと気が付いたが……柊って手ぶらで来ていたんだな。

まあこういう時だから身軽にの方がいいのか。必要最低限とか言うのか。


……あれ?でも柊って――朝カバン持っていたような――?


とか歩きながら思っているうちに俺たちは湯の山温泉駅へと帰って来た。


「あっ、20分行ったばかりだ」


と、前を歩いていた斎宮さんの声が聞こえた。

俺はスマホで時間を確認してみると。現在は20時22分だった。


そしてそこで俺と柊も時刻表を見ている海織と斎宮さんに追いついた。


「次は――あっでも38分にあるよ」


海織が時刻表を指さし言った。


「でも10分ちょっとの待機かー……寒いね」

「まあそれは仕方ないね」

「とりあえず。改札入ろっか?」


と、女の子2人がそんなことを言いながら改札を抜けていく。

それに続いて俺も抜けていく。


すると――。


「—―あれっ!?」


そんな声が後ろで聞こえた。


「どしたのー。柊」


その声に初めに反応したの斎宮さんだった。


「俺—―カバンどうしたっけ?」


うん、やっぱりか。柊カバン公民館に置いて来たか。ってもう少し早くにというか。気が付いたときに確認すればよかったな。とか俺は思いつつ。


「「やっぱり忘れてたのか(ねー)」」


うん!?今なんか斎宮さんと声が被ったような……。


と、俺が斎宮さんの方を見ると。


「あれ?楓君も気が付いてたの?柊が手ぶらって」

「いや、まあついさっきだけど。なんか柊……身軽だな。って話している時に思ってはいたんだけど……」

「私は公民館からね。あれー。何も持って来てないんだー。とは思ってたよ?でも確か私の記憶的には……朝柊はカバン持って出かけたからね」

「なんで2人ともそれ早く行ってくれないんだよー!荷物全部カバンの中だ!」

「いや、まあ確証がなかったというか。うん」

「私はいつ気が付くかなー。って」

「ちくしょー。沙夜は確信犯かよ!ってか、公民館まだ開いてるのか?」


とか思った時だった。


♪♪~


「うん?」


俺のスマホが鳴った。

カバンからスマホを出して確認してみると――。


「難波先輩だ――もしもし」


俺が難波先輩からの電話に出てみると――。

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