第269話 お手伝い7 ~撮影会~
「……いや、斎宮さん何してるの?」
「あー、ちょっとね」
現在俺の視線の先では何故か撮影会が行われている。
斎宮さんを中心に多分参拝に来た人だろう。老若男女問わず。というのはこういう時に使うのだと思いつつ。海織に確認する俺。
「何が起こったの?コスプレ……じゃないけど撮影会?みたいになってない?」
「楓君も白塚君と同じようなこと言うねー」
「えっ?」
「10分くらい前に白塚君が様子見に来た時も――「なんでコスプレ撮影会が行われてるんだ?」って言って沙夜ちゃんにつねられてたからね」
「……俺……なにも言ってないということで」
「えー、どうしようかな」
「ってかさ。なんであんなことになったの?」
再度斎宮さんの方を見ると――次は小さな子供2人が斎宮さんの両サイドに並んで親?が撮影。ちなみにその次?に並んでいるのは結構ちゃんとしたカメラを持っている人。そしてその次は……おじいちゃん2人だな。うん。ご高齢の方が並んでいる。
……うん。なんでこんなことに?
「実はね。私たちがここに立ちだしたら。写真いいですか?っていきなり聞かれてね」
「……まあ2人とも巫女さんの姿似合ってるから」
「でしょでしょ。めっちゃ寒いけどね」
「あはは――」
「で、はじめは沙夜ちゃんとどうしようか。って言ってたら。おばあちゃんが来てね。どんどんやっちゃって。みたいな感じで言ってね。そしたらおじいちゃんも頷きながら……って感じで。今の状態」
「でも海織は普通にここに……ってあっ、そっか。お守りとか売る人が居ないとだからね」
「それが違うんだよねー」
「えっ?」
「なんかね。みんな元気でかわいい巫女さんが居る。ってちょっと広がったみたいでね。沙夜ちゃんばかりご注文が来てるんだよ」
「……なるほど」
うん。ちょっと海織が……拗ねてはないと思うけど。うん。残念がっているというか。皆さん。海織もかわいいですよ?ちょっと中身を知っている人間としては……うん。でも大変いい子でかわいいお方ですよ?はい。どうぞ声かけてあげてください。とか思っていると――。
「楓君なんか変なこと考えてないかな?」
「考えてない。考えてない」
「ほんとかなー。2回いう時は怪しいな……ってか楓君1人で移動中ぶつぶつ語ってたんじゃないの?ニヤニヤー」
「……なんの事でしょうか……」
なんで海織は的確に当ててくるのか……普段から俺ぶつぶつ言っていたっけ?
「楓君1人で行動してると寂しいのかぶつぶつ言う癖があるからねー」
「……ホント?」
「うっそー」
「……」
「あっ、怒った怒った」
「怒ってません」
「まあでもとりあえずこっちは大丈夫だよ。沙夜ちゃんが頑張ってる。って感じだけど」
「……まあおじいさんおばあさんがいいなら……」
「ちなみにおじいちゃんも沙夜ちゃんと私とすでに撮影済みだよ?」
「—―そりゃ許可するわ」
うん。なんか思っていた感じと違うと言いますか。うん。でも……まあいい雰囲気みたいだからいいのかな?とか思いつつ。俺はまた忘れかけていたので――。
「あっ。海織荷物持ってきたけどどうする?」
「あっそうだったね。もらうよ。ありがとー楓君」
ということで海織にポーチとカイロを渡した。
「カイロちゃんと見つかったんだね」
「まあ普通に見つかったよ?」
「もっと際どい所に隠しておけばよかったなー」
「……何を言っているのでしょうか?」
「にひひー」
「巫女さん?」
「はーい」
うん。海織。なんやかんやでいつも通りみたいです。
「じゃ俺—―柊の方戻るから」
「うん。あっ後で楓君とも記念撮影してあげるね」
「あ、うん」
「あー。撮りたかったんだ。断らないってことは」
「……やっぱり大丈夫です。はい」
「えー、ちゃんと撮るからね?」
「……はい」
と、海織との会話を終えた俺は――まだ撮影の方を頑張っている斎宮さんには声をかけることなく。いや、あっちはあっちで結構バタバタというか。大変そうだったんでね。あとで声かけようと。
ってか。うん。巫女さんバージョンの斎宮さんがこんなに人気なるとは……と思いつつテントの方へと向かった。
「どうだったよ?沙夜」
「……なかなかの人気だね。ちょっと海織が声かからなくて拗ねてる感じだった」
「マジか?拗ねている宮町さんとか見たことないんだが。今見に行ってわかるか?」
「……さあ?どうだろう」
柊とそんな会話をしつつ。俺もテントの方を手伝うことに。
柊とともに作業をしていると――雪が強くなる。
うん。途中でおじいさんおばあさんもこちらに様子を見に来たのだが……2人ともが斎宮さんを褒めていた。まさかの集客効果というか。来年もお願いしたいとかなんやらと。
「まさかの沙夜がこんなに活躍するとは……」
「でも斎宮さんの巫女さん姿なかなかいいからね」
「あまり沙夜ばかり褒めると宮町さんに怒られるんじゃないか?」
「……多分大丈夫かと」
「っかさ。この雪なんだよ。どかどか来るな」
「……確かにどんどん降って来たな」
「でもみんなお参り来るんだな。こんな天気でも」
「まあ雨から見たら――雪なら動くかな。うん」
と、俺と柊は神社の入り口の方を見ると……うん。ひっきりなし。という感じではないが。それでも誰かは境内に居るという感じが続いている。
その後も俺と柊が話しつつ作業をしているとその後おばあさんがやってきて「交代するからちょっと2人とも中でおにぎりでも食べておいで」と声をかけられたため俺と柊は一度室内へと向かった。
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