第255話 クリスマス5 ~菰野駅18時22分発~
現在俺と海織は菰野駅に手待機中。
一度家に向かった斎宮さんと柊を待っている。
とりあえず……寒いです。寒い駅のホームは風が抜けています。
ちなみにこの後の予定は難波先輩からのヘルプというのか。年末年始の神社のお手伝い?のためというか。えっと――そうそう話をしに行く?途中です。って俺はお供か。メインは女の子2人ですからね。何度も言うが巫女になるのは女の子2人です。
あと忘れているかもしれませんが。世間はクリスマスです。1年に1回のクリスマスなのだが……今ここはクリスマスの雰囲気はないかな?
いや――ちょっとあるかな。
「楓君がニヤニヤしてるー」
「……」
何だろう。ちょっとくっついてきているお方を見たらそんなことを言われました。
いやこの言い方は良いのかはわからないが――うん。海織の行動はこれでも何となくだが理解しているというか。まあわかっているはず。なので……こうやってくっついてくるのもよくあることなので――。
「ニヤニヤしているのは海織だよね?」
「えー、ニヤニヤしてないよ?ニヤニヤしてるのは楓君でしょ?」
まあぱっと見いつも通り海織は笑顔なんだけどね。
「とりあえずニヤニヤはしてません。なんか身体の半分が重いなー。って思っただけです」
「なるほどなるほど。楓君はクリスマスに彼女さんにマッサージを希望と……これはツボを押しまくらないとね」
「マッサージとか一言も言ってないんだけど……」
「あれ?そうだった?」
「うん。全く言ってないし……あれは……うん。当面見合わせしましょう」
「私は毎日してもいいよ?楽しいし。楓君が騒ぐし」
「……」
「あー、楓君が無視してきたー」
「いや話し続けるとそのうちどんどん海織のペースになるかと思いましてね」
「最近の楓君は私がくっついても反応が薄いんだよねー。むー」
「海織が人目を気にせずどんどんいろいろやってきちゃうからですねー。慣れって怖い」
「じゃ?しっかりホールドした方がいい?正面からギューって」
「目立つことはやめましょう」
うん。想像しただけで――それはダメですね。
「ニヤニヤー」
「ニヤニヤ言わない」
「まあ今は腕で我慢しておいてあげよう」
「……なんというかありがとうございます?」
「でもちょっとさすがに指も冷たくなってきたから。楓君の手から熱をもらおう!」
とか言いながら俺の片手を握って来た海織。うん。なんかちょっとくすぐったいんですが……。
「あっ、なんか楓君がいい反応しそう」
「変な発見をしないでください」
「うんうん。そーっと撫でるとかの方がいい?」
と、撫でるふりをする海織。って、それを見ただけでなんかぞわっとした。」
「それ絶対くすぐったいやつだし。海織は冷たいからって言って握って来たよね?撫でる必要ないよね?」
「そうそう、冷たいんだよー」
「なので大人しく手を繋ぐので冷たさをしのいでださい」
と、言うことでこれ以上海織が何か行動をしようとしないようにがっちりと両手を掴んでおいた。
――うん?なんでこうなったんだ?これおかしくないか?
駅のホームで向かい合って……がっちり両手で握手?みたいになっているのだが……。
と、思っていると。
「海織ちゃん。楓くん。おまたせー。何だけどー。2人で何ホームでイチャイチャ握手してるの?」
「沙夜ちゃん楓君が寒いからってなんか握って来るんだよ」
「あら。大胆」
「ちょっと待って俺の話を聞いて」
と、言うことで海織との握手は解除されました。
はい。斎宮さんが家から戻ってきました……って何か人が減った気がするのだが――。
「って、斎宮さん柊は?」
「うん?」
「あー。私が部屋に荷物取りに行っている間に自分の部屋入っていったみたいだったから……そーっと出てきた」
「……つまりほって来たと」
「イエス!」
「……」
と、そのとき。
「なんで1人でとっとと行くんだよ!」
はい。柊が遅れてやってきました。あれは走ってきた感じですね――寒い中お疲れ様。
「なんだバレたかー」
「バレるからな?って俺が後ろ姿気が付かなかったら電車乗り遅れてたし」
「乗り遅れればよかったのにー」
この2人は……何をしているんでしょうね。
とか思っていると駅の踏切が鳴り出した。
「あっ。もう来るんだね?意外と家行って帰って来ただけなんだけど……時間かかってたんだー」
斎宮さんがそう言いながらスマホを取り出して画面を見た。
「あー、もう21分だ。結構私戻ってくるのギリギリだったんだ」
「こっちも話していたからあっという間だったね。楓君」
「まあ海織が楽しそうでしたからね」
「えー。楓君だよね?くっついてくるし。手を掴んでくるし。あっ握手だった?」
「楓くん駅で抱きついてたの?毎度ながら……」
「斎宮さん俺に説明をさせてお願い」
「ふふふー、まあまあ楓くん。そんなに必死に言わなくてもわかってるよ。全部反対で海織ちゃんがいつも通り甘えてたんでしょ?」
「正しいご理解ありがとうございます」
「沙夜ちゃん」
「どうしたのー?海織ちゃん間違いあったかな?」
「ないけどーさー」
「素直に認めたー、ってこれが海織ちゃんだよねー」
と、斎宮さんが言ったあたりで菰野駅に18時22分発の湯の山温泉行き普通電車がゆっくりと入って来た。
車内はまあ半分くらいの乗車率かな?普通にロングシート1列が空いていたため。そこに俺たち4人は座った。
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