第243話 空港デート延長戦?3 ~お風呂~

早く時間が過ぎてほしい時ほど……。


時間が進むのってゆっくりなんだよね――ホント。

時間がゆっくり流れてほしいと思う楽しい時とかはめっちゃ時間の進みが早いのに。


……今の俺は前者の状況である。


とりあえず。とにかくこの時間が早く過ぎてほしいのだが――。

実際は。まだ海織を風呂場にほぼ強制的に押していってから。数分しか経っていない。ちょっといつも以上に時間の流れが遅くないかな?気のせい?気のせいじゃない気がするんだが……と、先ほどからおかしなことを考えつつ気を紛らわせている。


ちなみに……多分、海織はまだ洗面所に居るだろう。いや普段から見ている――というと誤解を招く気もするが。俺の家に泊まる時の海織の流れというのを知っているのでね。


風呂場に向かい。しばらくは洗面所でいろいろと……で、その後風呂場へなのでね。いや覗き見ているとかではなく。音がね。聞こえてくるので。そして何回も何回も経験していれば覚える。うん。海織も毎回同じサイクル。同じくらいの時間をかけているのでね。


とにかく今のこの時間の流れはゆっくりだと思う。眠たくなる堅苦しい講義の時のように……まあ今は眠くはないが。気にしないようにでも気になるので――。


そんなことを思いながら別の事をしようとスマホを手にとり。そういえばマナーモードのままだということに気が付きマナーモードを解除した。


ちなみに俺のスマホには特にメッセージとかは届いていなくて……。

平和な画面である。まあもう0時だからな。誰からも連絡とか来ないか。ってそもそもそんなに普段から誰かと連絡してないか。


♪♪


「……」


来ました。絶妙なタイミングでメッセージが1件来ました。誰だろうかこの時間に……。


メッセージを開いてみると。


「楓くん。無事に帰れた?海織ちゃんにさっきからメッセージ送ってるんだけど返事がないから楓くんに連絡しちゃったー」


と、いう斎宮さんからのメッセージだった。


そういえば海織も電車の車内ではマナーモードにしていたはずだから……まだそのままでホテルを予約してくれてからは……スマホを見ていないのかもしれない。


なのでとりあえず俺から返事をしておいた。斎宮さんも気にしていると寝れないと思うのでね。


「何とか電車動いたよ。だからこっちは大丈夫です」


う、うーん。

嘘ではない。まあ海織が……事実をこの後スマホを見たら斎宮さんに言ってしまうかもしれないが……とりあえずこれで今のところは斎宮さんは納得してくれるだろう。ややこしくなるのは……後日で。運がよければ……何もなく終わるだろうし。


「送信」


とかなんか思いつつ。最後はつぶやきつつメッセージを送ると――。


――。


どうだろう。1分くらいしてからかな?俺がネットのニュースでもとか思いつつ見ていたら。


♪♪


「……うん?」


あれ?俺のスマホは鳴ってないし。って、何故か風呂場の方でスマホの音が聞こえたような……とか思っていると俺のスマホが今度はちゃんと鳴った。


♪♪


「楓くん。ちゃんと伝えてくれないとねー。嘘ついてきたよー。って報告しちゃったよ?あとはファイト。おやすみー」

「はい?」


――――。


斎宮さんからの謎なメッセージが来た。と思ったら連続で俺のスマホが鳴った。


♪♪


「楓君が沙夜ちゃんに嘘の報告したー」

「ちょい待て!」


俺は風呂場の方に声をかけた。


すると洗面所からひょっこり顔を出した海織。

まだ顔でも洗っていたのかな?ちょっと髪が濡れているだけでまだ風呂には入ってない様子。


「楓君。そこはちゃんと今私とホテルに泊まってる。って連絡しないと」

「……なんでそこにスマホがあるのでしょうか……」

「にひひ。沙夜ちゃんからのメッセージには気が付いていたからね」

「なんと――」


と、俺はとりあえずこれ以上変な情報を海織から斎宮さんに流されない為にも……と、海織のところに行き「スマホ濡れると困るでしょ」とかいう理由で回収してくることにした。すると――。


「あっ。楓君」

「うん?」

「今こっちに来てもいいけど……来たらそれなりの責任取ってね?」

「—―はい?」


海織までの距離は後5歩ほど、海織はまだ顔だけを出してこちらを見ている――めっちゃ、うん、とってもとっても悪い顔。ニヤニヤしながらそんなことを言っている。


うん?これは……経験上やばいのか?何かヤバイ気がする。


すると壁で隠れていたところから海織が足を見せてきた……うん。綺麗な足ですね……うん?海織の今日の服装って……足は出ていた気がするが……そんな太ももあたりまで出てたっけ?にしても――良いバランスしてますね。多分片足立ち……まあ手で壁は持っていると思うが。


とか思っていると。今度は片方の腕、手を出してきて……肩まだ見えている――はい?


「海織」

「うん?」

「ちょっとストップしようか」

「どうしたのかなー。ニヤニヤ」

「なんか俺そっちに行くと事故が起こる気がするか……うん」


くるりとUターン、向きを変えて窓の方を見る。うん。そとは真っ暗。ちょっと安心。ってガラスに俺が写るという事は……後ろの方の行動も少しだが見えてしまった。が、俺が気が付いたときには真後ろまで来ていたらしく――。


「えぃっ」


――ギュッ。


「ちょ」


なんか後ろから人が……と思ったら。声がして急に背中に衝撃が。そして……何かに捕まった。というか。くっつかれた。


「ふふふ。これ恥ずかしいね」

「……」

「あれー?楓君がフリーズした」


俺のお腹あたりには後ろから海織の手が伸びてきているのだが……いろいろ先ほどの光景を考えると――。


「あの……海織様」

「様!?」

「いや、その……まさかだけど。何も着てないとかないよね?」

「にひひひー」

「……」


どうしよう動けなくなった。

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