第237話 空港デート7 ~スカイデッキ~

「前進前進」


そんなことをお隣さんは言いながら歩いています。


お土産を見た俺と海織はやっと当初の目的のスカイデッキへと向かっていた。そして早く行きたいのか。ちょっと海織に引っ張られている俺です。


「あのドアの向こうだね」

「寒そうだけど……そこそこ人が歩いてる感じだね」

「みんな見たいんだよ。あれだよ。飛行機好きの人はどんな時間でも天候でも見たい飛行機があったら見てると思うよ?」

「まあ、それはなんかわかる気がするが。飛行機はわからないけど。レアな飛行機もあるんだよね?」

「前にテレビでもなんか言ってたなー。貨物機?かな。うーん。とりあえずレアな飛行機はあるみたいだよ」

「なるほど」


とか言いながら俺と海織はスカイデッキへ出て行くと――。


……まあ予想通りと言えば予想通り。


「「寒いっ」」


うん。海織と声か重なった。いやホント冷たい風が外に出た瞬間に攻撃をしてきた。


「海織。これなかなかだよ?」

「海風は最強だねー。寒い」

「いや、ホント海織大丈夫?スカイデッキ歩いている人結構みんな対策してるみたいだし……まあ子供くらいかな?元気なのは」


うん。小学生くらいの子かな?父親と一緒に見に来ているみたいだが……薄着で……強い。お隣の父親?は凍えているようにも見えるが――ってホント寒い。


「楓君。風を防いで」


とか言いながら俺の後ろに避難する海織。


「いやいや、中に戻るという選択肢も」

「えー、せっかく来たんだからそれはなしー。端っこまで行こうよ」

「絶対海織が風邪ひく未来だね」

「そんなことありません」


とか言いながら。後ろに隠れた海織が再度横に、先ほどよりしっかりくっついてきた海織。うん。海織がくっついているところはちょっと暖かいが……反対側は。寒い。冷たい。うん。って、海織は足……寒くないのかな?とか思っていると――。


「楓君が珍しくエッチな目線」

「……今この状況で何故その言葉が出てきたか――」

「下半身見ていたから?」

「言い方。ただ寒そうだな。って思っていたんです」

「確かに寒い。特に足」

「でしょうね」

「ってか楓君歩こうよ。止まっている方が寒い」

「了解です」


ということでスカイデッキの端っこに向かった進んで行くと――。


「おお。すごい。滑走路の光綺麗だね。飛行機が止まっているところも明るくていい感じ」


うん。すぐに海織さんのテンションが上がりました。何やらテレビで見たのと違い。やはり生で見るのは違うみたいです。はい。確かに綺麗です。

そして飛行機の離着陸も先ほどから何回か見れていて……海織の言う通り滑走路の方もかなり綺麗という。


あっあとこの時間からどこかの地域、国へと行かれるパイロットの方々。お気をつけてです。


結局そんなこんなで気が付いたら俺と海織は寒い寒い言いつつも……ずっと見ていたというね。うん。来た時に俺が言っていたが。子供は自分たちだったみたいです。


海織もはじめこそぴったり俺にくっついていたが。途中からスマホ片手にトコトコ歩いて行き写真を撮りに行っています。そして先ほど買ったお土産の荷物とカバンは俺が持つ。という形になっています。うん。いつも通りですね。


結局端まで行ってしばらく見ていて……ちなみに海が見えるかと思ったのだが……さすがに夜。真っ暗でした。なんとなくはね見えるんだけど。暗かったです。あっ対岸は見えてましたね。あれは……どこだろう。多分三重県な気がするんだが――まあ海が見たい場合はお昼に来ないとですね。でも夜は夜で夜景がとっても綺麗です。


その後ぐるりと回る形でスカイデッキを周り……終わり。

とか俺が勝手に思ったいたら――。


「楓君楓君。もう一回端っこまで行こうよ。あの飛行機もうすぐ飛びそうじゃん」

「—―マジっすか」

「うん!」


とか海織さんが言いましてね。結局2周。なかなかな歩数を歩いた気がします。寒かったけどまあ楽しかったです。


そしてセントレアの建物に戻ってきた頃にはほぼ閉館時間前という。スカイデッキに出れる時間ギリギリになっていました。

結局1時間弱かな?。寒い寒いと言いながら2人は外に居た様子です。はい。これは……風邪引くかもしれませんね。まあ今のところ2人とも元気ですが。


「ちょっと温かい飲み物飲もうか?」


室内に入って来たところで海織に声をかけると――。


「だね。あっ、そうそうご飯食べたところの近くに自販機あったよね?」

「あー、そういえばあったかも。じゃ、とりあえずそっちに行こうか」

「うん」


ということで。ちょっと暖かい飲み物。お茶を目指しまして……自動販売機の前で休憩。

いやー、温かい飲み物美味しかったです。ってか生き返りました。温まりました。


「で、海織。この後はどうしましょうか?」

「あれれー。楓君帰りたくなくなっちゃったかな?もっとお出かけしたいのかな?」


なんでこの子はまるでこれからですよ?みたいな顔をしているんでしょうか……もう十分回ったと思うんですが――。


「いやいや帰りますよ?ただ海織が見たいところは全部見れたのかな?って」

「もう。そこはもっと見て行こう。じゃないの?」

「って。もうすぐここ閉まるんじゃないの?」

「あー、そうか。このあたりのお店はもう終わりか。すでに閉めてるお店も、もうあるもんね」

「なので……お帰りでよろしいですか?」

「だね。良いもの見れたし。美味しいもの食べれたし。お土産も買えたからね」

「じゃ――駅に向かおうか?」

「はーい。あっ帰りは特急。ミュースカイ乗ってこうよ」

「あっ、いいね。それは賛成」

「決まりっ」


ということで俺たちはなんやかんやで、ちょっとバタバタという感じもあったがセントレアを楽しみ名鉄の駅へと向かった。いや、向かおうとした。が正しいか。


飲み物を飲み歩き自動販売機のところから駅に向かおうとした時に……。


♪♪


海織のスマホが鳴って俺たちは足を止めた。

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