第228話 朴葉味噌後 ~まだ続く~

今日は学校帰りに柊のところへ行き……ってこれは違うか。

1回は自分の家の前まで帰ってきていのだが……斎宮さんからのご連絡により柊のところに向かうことに。まあUターンだな。で、なんやかんやあったが普段食べない朴葉味噌やらにありつき。ちょっと豪華な?夕食を食べて帰って来た。


うん。普通ならそこで終わるはずなのだが。まだこの日はあった。海織さんがですね。まだまだ元気だったのでね。


菰野駅23時01分発の近鉄四日市行きの普通電車に乗った俺と海織。運がいいのかはわからないが。菰野駅でも誰もいなかったし。やって来た電車の車内も前2両は数人人が乗っていたが。最後尾の車両は誰も乗っていなかったので最後尾の車両へと乗車した。


「よかったー。誰も乗ってなくて」

「まあ、今ニオイ嗅いでもわかるもんね」

「わー、楓君が電車の中で私のニオイ嗅いできたー。ふふっ」

「今俺自分の服でニオイ嗅いだのですが?海織はどこを見ていたのでしょうか?」

「えー。ほらほらー」


そう言いながら海織は何故か俺の方に寄って来た。うん。テンション高いですね。眠たいのかな?この子。


「海織。他にお客さん居ないけど。車内では大人しく」

「ぶーぶー」

「子どもだ」

「子ども扱いされたー」


まあ、そんなことを車内でしていたら電車はあっという間に伊勢川島駅へ。

23時11分着。まあ10分くらいですからね。あっという間です。ってこの子のホントテンション高いな。


そして本日2回目になる。伊勢川島駅から自分の家へと向かって歩く俺と海織。先ほどから片腕がぶんぶん振り回されているが……これは触れなくてもいいか。


「なんかやっと帰って来たー。って感じだね」

「2回目だからね。大学から帰ってきて、ほぼ家が見えてたのに帰らなかったから」

「だねー。ちょっとも寄らなかったもんねー」


そんなことを話しながら今回はちゃんと家に到着。はい、室内入場です。


「ただいまー」


海織が誰もいない部屋へとそんなことを言いながら入っていった。って――普通に俺に家に帰ってきてますね。この子。って家を勘違いしている可能性。うん。あるかも……。


「楓君楓君お風呂先にいい?いろいろニオイが染みついちゃったからね」

「どうぞ」

「ありがとー。パパっと入って来るね。楓君も早く入りたいだろうし」

「ゆっくりでもだ以上ですよ?」


海織は帰ってきてそのまま風呂場へと消えていきました。まあ確かに俺も早く入りたいかな。うん。今も服のにおいを嗅いでみると結構わかるからな。なんでこんなに燻されたか。って柊が朴葉を燃やしたから……うん。多分あれが大きな原因かと思う。


そんなことを思いつつ。室内へ入りテレビをつける。もうすぐ日付がわかるが明日は休み。うん。遅くなっても問題ない。朝ゆっくりできるからな。って喉が乾いた。


ということでテレビを見つつ飲み物を飲む俺。そろそろ冷蔵庫に入っている飲み物を飲むと身体が冷える……とか言う季節になって来たのでそろそろ暖かい飲み物の準備も必要かな?とか思いつつテレビを見る。


って特になにもしていない時間だったんだがね。まあテレビはつけっぱなしにしておいて、大学の帰りにそのまま柊のところに行ったようなものなので荷物を片付けて……とかしていると――。


「楓君ー。楓君ー」

「うん?何?どうしたの?海織」


風呂場の方から海織の声が聞こえた。


「バスタオルと着替え取ってー」

「……」


うん。そういえば海織は玄関からほぼ直通で風呂場に行ったよな。うん。着替えとか準備してから入ろうよ。ホント。まあ、そのまま放置とかはできないので……。


「……いつも着てるのでいいの?」

「うん。下着はねー。楓君のお気に入りで」

「—―なんでいつも見ているみたいに言うかな?見てないからね?って適当に持ってくから。文句ないしで」


うん。いや、今までにも何回かこういうことはあるんだよ。うん。普段は触らない海織ゾーンをね。触らないといけないという。まあ……何も身に着けず。出てこられてもなのでね。

とりあえず、いつも海織が夜着ているものと……まあ必要なものをささっと。取りまして――うん。って海織普通にちゃんと畳んで置いてあったから。とくに悩むことなく。普通に畳まれていた物をそのまま持った。


「入るよ」

「うん。お風呂場居るから大丈夫」


ということでここでもささっと着替えを置いて退室。


それから少しして風呂上がりの海織さん登場。


「さっぱりー、で、楓君の選んだ……」

「はいはい。余計なことはいいですからねー」

「楓君が照れてる照れてる。かわいいー」

「違いますから」

「まあまあ。はい。楓君もお風呂どうぞー。さっぱりするよ?あっ、はい。バスタオル持ってどうぞー」


海織はそう言いながらベッド近くに置いてあった俺のバスタオルを取りこちらに渡してきた。


「う、うん」

「ふふっー」


ということでなんかニコニコの海織にバスタオルを渡されたので俺も風呂場へと。あれか。さっぱりしたから気持ちいいのだろう。か、まだテンションが高いままなのか……。


まあとりあえず海織の事はいいとして移動。当たり前だが洗面所、風呂場は湿っているというか。モワッとしている。って、この状況は1週間のうちに結構な頻度である。うん。もう慣れた。慣れちゃダメな気もしたが。慣れた。


ちなみに洗濯カゴに海織の物があるのも慣れた。


一時期海織がニヤニヤしながら「楓君はわざと置いておいても変な事しないねー」とか連続で言ってきたこともあったっけ?うん。あった気がする。懐かしい懐かしい。はい。まあ。そんなことは置いておいて服を脱ぐ。


うん。確かにニオイが染みついているのが服を脱ぐ時にさらにわかった。身体には染みついてないと思うが……まあとっとと流しましょう。誰かさんが居ますからね。クレームになるとなので。


ということでシャワーをザザーっと。


夏は暑いからささっと浴びて出たくなるが最近はちょうどいいというか。シャワーが気持ちいい感じになって来た。まあ多分そんなことを言っているがあとしばらくすると……寒い。冷たい。水!お湯早く!とかになるんだろうな。うんうん。


そんな時期がもうすぐ来る。うん。冬場のね。先のお風呂は大変なんですよ。今は海織が先に入ることが多いが……今までの傾向上—―冬場になると俺の方が先に入る日が増える。うん。


そんなことを思いつつシャワー浴びて。出る。バスタオル取る。


「……うん?」


そしてそこで気が付いた。


あれ……俺自分の着替え持たなかったっけ?


目の前にはバスタオルのみ。の状態だった。

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