第219話 ナローゲージ6 ~たい焼きどこから食べる?~
四日市あすなろう鉄道の八王子線をぶらぶらしてきた俺と海織はお昼に軽めにと言って入ったカフェで結局1時間以上のんびりしていた。まあうん。話しているとね。時間というのはあっという間です。
「よーし。たい焼き食べにレッツゴー」
はい。やっとカフェを出て歩き出しました。
再度の説明となるが。たい焼き屋さんとは……以前藤井寺先生に教えてもらったお店のこと。なので――駅の建物からは出て現在はJR四日市駅方面に向かって歩いています。お昼の時間が終わったからか。少し人通りは減った気がする。あれかな会社とかの昼休みも終わる時間だからかな?
「あんまりこっちって歩いてこないよね?」
「うん。用事が無いとね。ってその用事もほとんど俺はないかな。ほとんど駅周辺で完結しちゃうから」
「だね。映画館とかは反対側だしね。で、どこまで歩くの?」
「あと信号2つ3つ渡ったらかな?まだもう少し歩くよ?」
「歩くのは問題なーし。ダメなのはお店が閉まっていることかなー」
「……」
「まさか定休日とか無いよね?」
「—―さ、さあ?」
うん。その可能性を全く考えていませんでした。多分定休日とかあるよね?うん。毎日開いているの――かな?うーん。もしかしたら不定休とかだったら――うん。現状わかりません。
「えー、楓君チェックが甘くないかな?」
「いやいや、急に決めたよね?」
「そうだっけ?」
「……」
うん。海織に勝とうと思うのはダメですね。そうだそうだ。こういう時のスマホさんですね。と思いながらスマホを手に持つと――。
「あっ、楓君がズルをしようとしているー」
「いやいや、ズルって。行ってもし閉まっていたらただ行ってまた戻って来るの散歩になっちゃうから」
「まあ散歩でもいいんだけどねー。でもここは賭けよう」
「賭ける?」
「うん。お店がもし開いてなかったら楓君は今日この後私の言いなりー。で、もしお店が開いていたら私は楓君にたい焼きを奢ってもらう。うんうん完璧」
「待って待って。なんかいろいろおかしかった気がするんだけど……賭ける。とかの前に俺何も言ってないし。なんかもう決まっているし――って海織はどっちになってもあたりでは?」
「だねー」
「……」
この子なんでこんなにニコニコなんですかね。皆さん笑顔の時は注意ですよ。はい。何考えているかわかりませんからね。
「さてさてー。答えはどうかなー」
「いやいやいや。何というか。おかしくない?」
「もー。仕方ないなー」
はい、海織さんの口がちょっととんがりました。
「じゃ、もし開いていたらー。今日も私は楓君の家に帰って一緒に居てあげるから。それで楓君も喜ぶでしょ?」」
「……あまり変わってない気がします」
「えー、楓君そこはやったー!じゃないの?」
「もしお店が開いていたらたい焼き奢るから今日は自分の家に帰るとかのパターンは?」
「あるわけないじゃん!」
「……ですよねー」
「うんうん」
――らしいです。
そんなことを海織と話しながら歩いていると。お店のところまでやってきました。ちなみに……俺はここに到着する少し前に気が付いていた。多分お店は開いていると。
理由。だってちょっと前に前から歩いてきた人がたい焼きを持っていたから。うん。両手で持っていたから……多分近くの人が買いに来たのかと。もしかしたらその人も誰かと賭けをして負けたのだろうか……って俺と海織のは賭けにもなってないか。
「あっ、開いてるー、じゃ私の勝ち!」
「なんかもうわからないのですが――とりあえず奢ります。はい」
「やったー」
ということでたい焼きを2つ注文。
「おー、1つ1つ焼くんだね」
「うん。他のところだといくつか一緒に焼いてるよね」
「うん。片面ずつ?やって合わせてー。だよね。ってあんこいっぱい。美味しそう」
少し待っていると出来立てのたい焼きが2つ。俺と海織の手元にやってきました。まだアツアツです。
「ありがとうございまーす」
お店の人から受け取りお店の外へ移動。出来上がりを待っている間に次の人がお店に入って来たのでね。あまり店内は広くない為。外に移動して食べることにしました。ってもう海織さんはかじっていました。早い。
「あつつ」
「お気をつけて」
「ほーい」
「結構熱いんだね」
「—―うん。はつっい」
らしいです。うん。だって持ってるだけでも出来立てがわかるというか。熱いもん。とりあえず俺も一口。
「……あっつ」
「あんこ熱いねー。でも皮が薄くてあんこがたくさん。みてみて尻尾までいっぱい入ってる。これはお得だね」
「……ふー、熱かった」
はい。ホントあんこが熱かったです。でもうん。出来立ては最高ですね。美味しい。けど――やっぱり熱い。でも美味しい。うん。
俺と海織はしばらく熱さと格闘しつつ……まあ後半は冷めてきて普通にパクパクと食べれましたが。はい。美味しくたい焼きをいただきました。
そして――。
「飲み物がいるね」
「だね。そういえば水分持ってないからね。どこかで買おうか?」
「あっ、楓君。前方左側に自動販売機発見!」
俺と海織2人ともが飲み物が欲しくなったため。近くの自販機でお茶を購入。はい。再度休憩タイムです。
「ふー、満足満足。美味しかったね」
「うん。あそこのやっぱり美味しいなー。藤井寺先生に感謝感謝」
「今度は沙夜ちゃんも連れてこないとねー」
「ははは……また忘れてた」
「大丈夫大丈夫、私が覚えているから。ちゃんと2人分奢ってね?」
「……また海織にも奢るのね」
「もちろん」
今日の海織さん絶好調ですね。元気。テンション高いです。
飲み物休憩の後は。真っすぐ近鉄四日市駅へと向かってまた歩き出した俺と海織だった。
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