第217話 ナローゲージ4 ~西日野駅12時00分発~

「そういえばさ楓君楓君」

「どうしたんの?」

「この路線って八王子線って言うんだよね?」

「そうだね。日永駅と西日野駅の間だったかな?確かこの区間だけが八王子線。あすなろう四日市駅から内部駅までが内部線だね」

「おー、さすが楓君。じゃ楓君先生」

「う、うん。なんか先生は変な気がするけど」

「まあまあ、はい。で、なんで西日野線じゃないんですか?八王子って名前全くないよね?あれかなこのあたり走っている地名が八王子とか言うのかな?」

「あー、えっと確か……」


はい。現在俺と海織は四日市あすなろう鉄道ぶらぶら乗車旅?みたいなことをしています。


そして先ほど西日野駅までやってきました。ホント乗るだけが目的だったので西日野駅に着いてからそこからどこかへ行く。移動する。という計画が全くなかったので……はい。全くありませんでした。改札からは一度出たのですが。その後すぐにUターン。現在先ほど乗って来た電車に再度乗って発車待ちという状況です。


ちなみに行きの電車に乗っている時もでしたが。海織が1人用の座席に座り――その横に俺が立っています。はい。俺が後ろとか前の席に座るということを海織が許してくれません。何故ですかね。ちゃっかり服の袖を海織さんはちゃんと掴んでおり。俺が動けないようにしているという……もう謎です。ホント謎です。


あっ、そうそう。海織の疑問に答えないとか。

前にね。これはざっとだが調べてみたことがあるので、多分合っている情報かと――いや……うーん。どうだろう。うん。多分だ。うん。


「楓君?」

「あっ、ごめんごめん。えっとね。確かこの西日野駅より先にまだ駅があったんだよ」

「そうなんだ?今はないってことは……もう廃線ってことかな?」

「結構前にだと思うけどね。俺が知っている近鉄時代の時も……西日野までだったと思うから昭和の頃に無くなったんだと思うけど――昭和何年だったかな。何かで見た気がするんだけど……覚えてないや」

「先生がポンコツだー」

「はははー。なんかすみません。まあ、とりあえず。昔はこの西日野駅の先にも線路があって。伊勢八王子駅だったかな?うん伊勢八王子まで路線があったとかだったかと」

「あっ、だから八王子線?」

「だと思うんだけど……確か近くの川の氾濫?なんかよく決壊するというか。水害が多かったのか。それで廃線になったとかじゃなかったかな?」

「復旧が難しかったのかな?」

「多分そうじゃないかな?」

「昔の事もわかるとちょっと面白いね。ちゃんと名前の意味もあるみたいだし」


海織とちょっとこの路線の過去の事を話していると時間は12時になった。


「あっ、そろそろ発車だね」


海織が言うと同時くらいに発車ベルが鳴り。ドアが閉まる。再度電車は四日市方面。日永駅に向けてゆっくりと走りだした。


12時00分に西日野駅を出発したあすなろう四日市駅行きの電車は――約3分で日永駅に到着。うん。ホントすぐだった。動き出したな。とか思って外を見ていたらもう到着そんな感じだった。


「海織。足元気を付けてね?」

「大丈夫大丈夫。ちゃんとアナウンスもあったからね。ホントカーブしてるところがホームなんだね。運転手さん最後尾の車両見るの大変そう」

「うん。確かに。ワンマンだからね。って結構隙間あいているところはあいているね」

「あれそういえばなんでこの駅に……って、ちょうど目の前じゃん」

「あっ、そうだ車輪の展示?を見るために降りたんだよね」


俺と海織は行きに見た車輪?台車が展示されているところへ。ちょうど内部方面からの電車と八王子線の電車が使っているホームの間にそれはあった。


「やっぱり3種類の線路幅の紹介か。台車とかは――本物?かな」

「凄いね。広いのが近鉄とかだよね」

「そうそう。で、小さいのがこの今乗っているところ」

「真ん中は……」

「このあたりだとJRとかだね。三岐鉄道もかな?」

「なるほどなるほど。こうやってあるとわかりやすいね。あと線路幅ってこんなに違うんだね。そういえばこれって新しい……感じだよね。最近できた感じかな?」

「看板とか説明のところ見ると新しいからあすなろう鉄道になってからみたいだね」

「新しいことに挑戦って感じかな?」


海織と車輪、台車の展示があるところで話している間に四日市方面からは内部行きの普通電車がホームに入ってきていた。そして内部駅行きと西日野駅から乗って来たあすなろう四日市駅行きの電車がそれぞれ出発していった。


お昼の時間だからか電車がそれぞれ出発した後は他の乗客もいなかったのでとっても静かとなった。うん。ふと気が付いたが猫が線路の向こうを歩いているというとっても平和な時間が流れています。なんかいい感じです。


「楓君楓君普通に跨げるね」

「踏切で遊ばないように」

「ちょっとだけちょっとだけ」


はい、良い子は海織の真似をしないように。

俺が猫を発見している時に、海織は内部方面乗り場と今居たホーム四日市方面、西日野方面のホームの間にある線路上というのか。踏切上か。うん。そこに立っている。


「なんかこの駅の中に居ると昭和って感じがするね」


うん。楽しんでいるみたいですが。そろそろ連れ戻しましょうか。踏切内で遊んでいる子。子が居るとか言われるとですからね。どこで誰が見ているかわかりませんからね。


「はいはい。海織。踏切内で止まらない。遊ばない渡るなら渡る」

「楓君に捕まったー」


はい。海織を四日市方面のホームへと連れ戻しました。


「で、海織この後のご予定は?普通に電車降りて普通に乗って来た電車見送ったけど……」

「大丈夫だよ。もうすぐ内部?方面から電車来るみたいだから」

「とりあえず四日市に向かうという事?」

「うん。たい焼き食べたいからね。内部方面はまたの楽しみに取っておこうかなーって」

「了解です」

「うんうん。あっ猫!」


うん。この子。いろいろなところに興味がいっているようです。先ほど俺が見た猫が再度線路の向こうを歩いていたので海織に見つかりました。俺の役目は――。


この子。子です。が猫に近寄るために線路に降りるとかそんなことが無いように見張ります。いやあすなろう四日市駅の時も思ったのだがここのホームも低いというか。うん。低い。近鉄の各駅とかからみるとホームから線路までが低いのでね。簡単に降りれて登れるという感じなんだが。はい、それはダメですからね。


先に一言言っておこうかな。と。猫の方にスマホを向けている海織に……。


「海織。線路に降りないように」

「えー」

「……もしかして降りるつもりだった?」

「そ、そんなことないからね」

「怪しい」


うん。この子。の行動は怖いですね。注意注意です。目を離してはいけませんね。

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