第196話 日曜日7 ~Tシャツ強い~

斎宮さんに言われてTシャツを持って脱衣所の方へと俺はやってきた。


……先ほど斎宮さんの時に事故っているので今回は慎重に――慎重に……海織相手だと……うん。なんかやらかすとしばらくニヤニヤされる可能性があるのでね。


――コンコン。


うん。実家の脱衣所で初めてノックした。なんで自分の実家でこんなことになっているのだろうか……。


「あっ、はーい。中いまーす。って沙夜ちゃん?」

「いや違う。斎宮さんから海織が着替えを欲しがっているって」

「あっありがとー。開けて大丈夫だよ」


という許可の後開けると……うん。


「……」

「どうしたの楓君?フリーズしてるよ?」

「あの……着替えが無いって言っていたからそこで気が付くべきだったと思うんだけど……バスタオルだけの状態の時に入って良いは――言わないように」

「楓君が照れてるー」


はい、バスタオルだけ巻いて髪を乾かしている海織が居ました。俺はさっとTシャツを置いて身体の向きを変えました。すると……あれ?居たの?って戻って来るなら俺に頼まなくてもよかったのでは?ねえ斎宮さん。


めっちゃ斎宮さんが俺の後ろでニヤニヤしていました。


何でしょうね、この2人。俺で遊んでいるのかな?まあいい。とにかくここから離れましょう。はい。離れます。任務完了しました。


俺は斎宮さんの横を抜けて部屋へと戻る。


それからしばらくして次はちゃんと髪を乾かした斎宮さんが戻ってきて……あれ?海織は?とか思っていると。


「楓くん楓くん」

「うん?」

「ナイスチョイス」

「へ?」


そんなことを斎宮さんがグーサインをしつつ言った直後に――。


「……楓君」


海織の声が聞こえてきたのだが……なんかいつもより小さいな。とか思いつつ声の方を見ると――。


「あっ、海……織?」

「…………ちょっとこれは恥ずかしいよ?」

「ちょっと待って――なんでこうなった?」


部屋に戻って来た海織は……うん、俺が貸したTシャツを着ているのだが……主に下半身?うん。ちょっと露出がですね……際ど過ぎますと言いますか。際どいですね。ギリギリですね。はい、見てません。視線そらしました。はい。問題なし。って問題あるよね?なんでこんなことになった!?


「楓君。着替えは普通—―上下じゃないかな?」


そんな声が海織からして……。


「—―斎宮さん?」

「にひひっ」

「……うー。沙夜ちゃんかー。楓君ちょっとだけ向こう向いててくれないかな?さすがにこれはだからね」

「はい。大人しくします」

「にひひー」


ということで俺は壁を見る。はい。目の前は壁。ついでに目も閉じておこうかな。


にしても……ちょっとかわいい。じゃなくてですね。いや、ガチで恥ずかしがっている海織を見たと言いますか。想像だが。前は手でシャツを伸ばして隠していたが。あれだと……って色々想像しているともし想像していたのがバレた場合……後で大変怖いので。とか思っていたら。


「楓くん完璧だね」


と言いながら斎宮さんが俺の横にやってきた。ちなみに後ろでゴソゴソしているので海織は下に履くものを探している様子。


「斎宮さん。Tシャツだけ言わなかった?」

「あれれー?そんなこと言ったかな?」

「言ったよね?」

「でも、いいもの見れたでしょ?私もナイス」

「……」


うん。斎宮さんいい顔しているな。とか思っていたら後ろから手が伸びてきて……斎宮さんの顔がゆがんだというのか。うん。ゆがんだ。


「ふふ――ふぎゃ」

「—―沙夜ちゃん?私上下の着替えって頼んだよねー?どういうことかなー?」

「楓くん。背中に……何か取り憑かれたよー。私ダメな事した?ふぎゃああ。痛い……」

「……はぁ――」


――ホントここの女の子2人仲良しさんですね。


それからは――2人が俺に部屋でバタバタしていてお昼になり。

どう考えても普段のうちのお昼ご飯には出てこないようなメニューが揃っていました。もうわけわかりませんね。子の対しての待遇改善もホントお願いしたいです。


――無理か。


そしてお昼ご飯の後は帰宅……明日はもう月曜日ですからね。とか俺の頭の中では午後の予定が組まれていたのだが……。


それは見事に無駄になりました。


「この服で帰るのはちょっと恥ずかしいなー。楓君がどうしても。っていうなら帰るけど?」

「だね。私もこれ完全に予備で持ってた部屋着だからねー」


はい。2人ともなんで洗濯をもっと早くしなかったのかな?午前中に洗ったら乾いたよね?今日めっちゃいい天気だよ?なんで今服を洗ってるの!?


ホント、謎な行動ばかりする子たちです。はい。子供です子供。もうちょっと俺に勇気があったら声に出して言っていたかもしれない。


何故か先ほどになり。急に思い出したかのように洗濯を始めた女の子2人。訂正。ちゃっかりうちの親も混ざったいたから3人。


俺が何をしているんだろうと様子を見に行ったら。着て帰る予定だった服が乾いていないから……と。まあ現在洗われていますしね。無いよね。はい。さらには隣から母親が……。


「昨日聞いたけど明日は朝一から授業ないんでしょ?なら明日の朝一番で帰ったらいいじゃないの」


そんなことを言っていました。うん。どうやら俺以外は明日帰る予定だったみたいです。まあなんというか。振り回されているような――。


えっとですね。俺たちが帰らないということはですね。晩御飯も豪華になるということでして……父親また旅立っています。何か活きのいいやつをとりに行ったみたいです。

ははは……。


って、時間的には今から干したら最終くらいでは帰れそうなんだが――まあこの女の子2人が帰る気が0みたいですからね。はい。そんなにこっちでの生活いいのかな……あっ、俺の親がおかしいほど2人に甘いからか。めっちゃいろいろ出しているし。なるほど――。


――帰るのは明日になりました。はい。

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