第197話 日曜日8 ~堤防の上~

「美味しかったー」

「お刺身ってあんなに美味しかった?楓くんいつも食べてたの?ずるくない?」

「……」


現在は晩御飯の後。父親が頑張ったらしく……何かうん。ホント普段は見ないような豪華さでした。うんうん。いろいろ言いたいことはあったが。美味しかったし。言わないでおこう。はい。言っても無駄ですね。うちの親女の子に激甘見たいです。自分とこの子そっちのけで……うん。今度は柊を連れてこようかな?どんな反応するか……ってしばらくは面倒だからやめておこう。


そして食後に俺の部屋にやって来た2人。というかですね。女の子2人がめっちゃくつろいでいますね。俺の部屋で。なんで他人の実家でこの2人はこんなにくつろげるのでしょうか……謎。


「私ここに住みたいかも。海近し。ご飯美味しいし。だらだらしても何も言われないし」


斎宮さんがそんなことを言っています。すると海織が――。


「楓君楓君。後で散歩行こうよ。もう夜だからそこまで暑くないと思うし」

「あっ、いいね。行こうよ楓くん」

「えっと――はい。お供します」


うん、夜でも予定は決まっていきます。どんどん予定決める人たちです。あれかな?たくさん食べたからちょっと運動ってやつですかね?とか俺が勝手に思っていると……。


うん。後でと言っていた気がするが。もう行くみたいです。2人とも立ち上がりました。元気だな……この2人。


はい。外に来ました。真っ暗です。


俺は両サイドに女の子を連れています。どちらも美少女さんです。決してハーレムとかではありません。2人のお散歩の付き添いです。なぜかこうなったのです。はい。一応説明を誰かにしている俺でした。誰にしているんだろうか――。


「夜の海も何かいいよね」

「うんうん。ちょっと真っ暗だけど。また違う感じでいいね」

「あの……2人とも。ホント海に落ちないでね?」

「楓君に捕まってたら大丈夫だよね?」

「巻き込まないでね!?」

「じゃ私もちょっと楓くん借りまーす」

「どうぞー」

「なぜに海織が勝手に許可を出すのか……ってお願いだからホントふざけて落ちた。とかやめてね?ホント」


そんなやりとりをしつつ。午前中にも来ていたあたりをちょっとぶらぶら。真っ暗です。海織がスマホのライトで足元などを照らしてくれているが……ライトがなかったら……ちょっと足を踏み外したら海の中という可能性も――。


何故かこのお2人さん際どい道を歩きたがるというか。堤防の上先ほどから歩いている。一緒に居るこっちはひやひやものです。いや一応歩いてもいいのかはわからないが……はしご?階段がところどころにあって県道から堤防の上に行けるようになっているんだが。夜は歩くものじゃないと思うのだが……このお2人さんには通じませんでした。


ちなみに何故こんな暗闇のところを歩いているのにライトが1つ。海織の持っているスマホしかないかというと――。


家を出てすぐに海織がスマホのライトを起動してくれたのだが。


「あっ、スマホ充電消えたままだ」


まず俺はスマホが充電切れになっている事をすっかり忘れていた。


「そういえば楓君のスマホ机に置きっぱなしだったね」

「……柊から連絡着てるんじゃないの?海織のところに」

「来てないよ?」

「……うーん」

「ねえねえなんの話?って私のスマホカバンの中だー」


はい。斎宮さんは手ぶらでやってきました。


ちなみに……斎宮さんは昨日のあのやりとりを知らない為。家から海近くに着くまでの間に簡単に説明しておいた。


仲間外れというか。知らなかったー。とかで後で何かあるとなのでね。


すると――。


「ほっといても問題ないよ。私のところに楓くんと海織ちゃんと連絡できない!とか来たとしても無視するからね。せっかく今こんなに楽しいんだから」


らしいです。柊よ残念。というか。悪い。俺も今頃スマホの充電していないことに気が付きました。はい。帰ったらしておかないと……忘れそうだが――。


そんな話がをしながら夜の海にやって来た。


散歩ということで少し歩いているのだが。ホント暗いな。遠くにある灯台の明かりが見えているが……それ以外はほとんど真っ暗の海。


が、女の子2人はそれがいいらしく。楽しそうに話しながら歩いています。


少し歩くと明るい場所が――建物とかではなく。路線バスのバス停横にある自動販売機の明かり。これだけあたりが暗いと自動販売機の明かりがとても明るく感じる。


「あっ、ねえねえ飲み物飲もうよ」

「うん。ちょっと喉乾いてきたからね」

「じゃ楓くん。お金よろしくお願いします!」

「えっ?って……俺手ぶら……財布は――あっ」


と言いながら偶然ポケットに手を突っ込んだら……奇跡的に100円玉が2枚。ってこれじゃ足りないか。100円の飲み物が売っている自販機ではないのでこれでは1本しか買えない。


俺がそんなことを思っていると……海織は何を思ったのか――。


「なるほど。楓君そう言って私と沙夜ちゃんの3人で回し飲みがしたいと」

「言ってないからね?」

「わー、楓くんそういう計算?」

「違いますから」

「まあ私はいいよ?」

「うん。私もー」

「なんなんだか……」


すると海織が俺の手から100円玉を持って行き――取られましたー。泥棒です。お巡りさん。お金取られました。めっちゃ笑顔の女の子に……。


「沙夜ちゃんどれがいい?」

「えー。1本だけだよね。悩むなー。悩むよー。海織ちゃんは何がいい?」

「……」


俺の心の中で呼んだお巡りさんは来ることもなく――うん。俺のポケットに入っていた100円玉たちは自販機の中へと消えていきました。


っかなんで100円玉が入っていたのかは……不明。どっかでおつりを入れた?うーん。


とりあえず女の子2人が何か自動販売機で買っています。

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