第190話 日曜日 ~料理開始~
海織とコンビニに行って帰って来ると……そこはなかなか大変な状況となっていた。
「あー!やっと帰って来たー。海織ちゃん見てみて、楓くんミニ!ミニ楓くん!」
「あっ、かわいいっ!」
「……」
家に帰ってきて……俺の親と斎宮さんが楽しんでいるであろう部屋にコンビニで買ってきた物を持って行くと……うん。本当に楽しそうにしていました。すぐに海織は斎宮さんに連行され……うん。今はこちらを見ながら何かニヤニヤしていますね。
っか、なんで俺の小さい頃のアルバム?と思われるものががたくさん飛び出ているのかな?って、何か恥ずかしいから早くしまってくれませんかね?犯人は――うちの親2人ですね。わかっています。今もニヤニヤしている親がいました。
「楓くん楓くん」
「……何でしょうか」
「小学生の頃の楓くんめっちゃかわいいね」
「お願い。恥ずかしいからそれやめません?」
「えー、かわいいのに?ねえ海織ちゃん」
「だねー。あとかっこいいよ?うんうん」
「……そろそろ俺退出しようかな……」
ここに残ると大変恥ずかしい思いをする可能性があるため物を置いた俺は早々に撤収することにしたのだが……捕まった。
「あんた、ちょっと台所でちゃちゃっとして2人に出してあげなさいよ」
「はい?」
「せっかくのお客さんなんだから。いろいろ作ってあげなさい言ってるの」
「……」
――俺自分の部屋に戻れなかったです。
親に言われるがまま……買ってきたものを持って台所へ移動した俺。
うん。どうしろと?と思いつつ。とりあえず何か作れと言われたので……まずは買ってきたものをとりあえず皿に出してみた。うん。これでいい気もするが……結構バクバク食べながら話していたみたいなので……うん。すぐ無くなりそう。とか思っていたら。
「楓君楓君。卵焼き欲しいなー」
海織るがそんなことを言いながら台所に入ってきた。
「ここ……お店だった?」
「あとね。野菜も欲しいって言ってたよ」
「……もうお店になってきた気がする」
「あっ、これ持っていくよ」
「あ、ありがとう」
「はいはーい、じゃ持ってくね」
海織が今お皿に乗せただけというのか。うん。ホントコンビニで買ってきたものを乗せただけのお皿を部屋へと持って行ってくれたが――次は卵焼き?野菜?うん「注文入りましたー」じゃないけど……なんなのこれ。
日曜日の0時15分過ぎ。加茂楓のクッキング開始。とでも言っておこう。
少しして――。
「おっ、おいしそうなの作ろうとしてる。これずるいやつだー、夜中に食べさせて楓君が太らせてくるー」
「……これ、海織のご注文なんですが――」
「ふふっ」
卵焼きを作ろうとしていたら。ひっこり再登場した海織が大根おろし付きのだし巻き卵がいいとか言い出しましてですね。はい。今はまだ卵を混ぜているだけだったのでちょっとメニュー変更。ちなみに海織は母親にちゃんと材料があることを確認したうえでのご注文だったので俺に拒否権「材料が無いと思う……」という手が使えなかったため。俺は材料探してだし巻き卵を作り。大根おろしを乗せていたら海織がまた取りにやって来た。
「1つもらっちゃおっと」
そういいながら1つつまむ海織。
「うん。美味しい」
「うん。よかったです」
「じゃ持ってくね。あっ、次は長いものバター焼き?が欲しいっておじさんが言ってたよ?」
「ホント店じゃないんだけど」
「頑張ってね。私も手伝いに来るからさ」
「はぁ――大変」
「あっそれか。私が作ろうか?その間楓君は部屋で懐かしい写真を見ながら……」
「大丈夫です。こっちで料理します。はい」
「だよねー」
あっちではまだ俺の昔の写真暴露会が開かれているらしい。それならまだ1人で料理している方がダメージが少ない……多分。そんなことを思いつつ。冷蔵庫から長いもを出してきた俺だった。
俺がぬるぬると滑る長いもと格闘していると部屋に料理を持って行っていた海織が隣に戻って来た。
「バター出した?」
「あ――まだ」
「じゃフライパンに出しとくねー」
そういいながら冷蔵庫からバターを取り出している海織、うん。この子……実家の冷蔵庫内もすでに把握済みらしい。怖い怖い。
そんなことを思いつつ。長いも皮むき終了。そういえばうちは皮をむいているが長いもとかの皮って付いたまま輪切りとかでもいいのかな?とかちょっと余計なことを考えつつ……フライパンで長いもを焼いていく。
「あー、楓君楓君」
「うん?」
「これはここにしょうゆでしょ」
「あー、なるほど」
はい。長いものバター焼きが長いものバター醤油焼きにレベルアップしました。
それから海織が料理を運んでくれている間に俺は野菜をザクザク切った。野菜室の中にあったきゅうりにプチトマト、レタスをザクザク切って完成。
それをさらに乗せたところで海織がまた来てくれたので海織に運んでもらい、俺のお仕事多分終了。
……ということでちょっと休憩。飲み物を飲みつつ椅子に座っていると――。
「楓君。おじさんからね。鯖缶でなんかー。だって」
「……食いすぎだろ」
今日は長い夜になりそうです。ホント。というかこの家は人使いがすごいですね。うん。目の前では海織がなんか楽しそうにこちらを見ているが……って、さっきも同じようなことを思った気がするが……向こうの部屋は入ると俺が単に恥ずかしい思いをするだけの可能性があるので……。
大人しく注文を受けていようと再度思った俺でした。
――って鯖缶で何したらいいんだよ!
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