第135話 七夕祭4 ~一段落~

パンフレット配りも結構慣れてきた。人が一気に来るのは電車が湯の山温泉駅に到着してからしばらくすると……と、いうことがわかったので、今は机に湯の山温泉駅に電車が着く時間をメモして置いてある。法則?とまでは言わないが。サイクルがわかると、ちょっと席を外す。まあトイレとかも行きたくなりますから。はい。そういうのがしやすくなる。

って、女の子2人が居てくれるからできる事ですね。はい。って、交代要員の柊はいつ来るのだろうか――。


ちなみに、12時台が一番多く人が来たと思う。先ほどの人の波はかなり少なくなったのでパンフレット配りもかなり楽になった。現在は13時20分。もうすぐ次の電車が駅に着くので、少しすると人が来るかもしれない。


とりあえず、一番のピーク時に、海織と斎宮さんが居てくれたため。かなり俺は助かった。そしてその時に活躍してくれた浴衣美人。浴衣美少女?っていうのか。何というのかはわからないが。その2人は今会場の方に歩いて行った。理由。交代の柊と連絡が取れない為。


少し前に「柊いつ来るんだろう」と、俺がつぶやくと。斎宮さんが一度連絡をしてくれたが。電話に出ないということで斎宮さんが「柊探しがてら、1回会場まわってこようかな」と言ったので、なら「海織もせっかく来たんだから一緒に見てきたら?」と俺が提案すると。海織も「じゃ、ちょっと見てこようかな。行ってきます」と、いい。斎宮さんに付いて行った。


受付はまた男一人となりました。


それから電車が駅に着く時間になったが、どっと人が来るということはなくなり。逆にそろそろ朝から居る人が少し帰りだしていた。なので、俺の仕事が1つ増えていた。少し前に難波先輩から連絡があり「出口にもごみ箱を頼む」と言われたため。パンフレットが入っていた段ボールの底に、そのあたりに転がっていた石を入れ。その上にゴミ袋をかけた。まあ、簡単なゴミ箱完成。結構食べ歩きをしている人が多いらしく。すでに入り口のところに置いたゴミ箱も半分ほどゴミが溜まっている。


確かにここにゴミ箱が無いと、駅などでゴミを捨てられる可能性があるので、必要か。と俺は思いつつ。わかりやすいようにごみ箱と書いた紙も貼っておいた。


ちなみに、パンフレットの入っていた箱は残り1箱となっていた。つまり、それだけ多くの人が来たという事。もしかしたら……大学内はすごい人なのかもしれない。俺はそんなことを思いつつパンフレットを机の上に出して、風で飛ばないように上に重りを置いた。


一応、難波先輩からは「15時くらいになったら受付は無人で大丈夫だろう」と言われている。今日は幸いにも風もほとんどないので、軽く重りを置ておけば、飛ばされることはないはず。そして、少し前に海織に「パンフレットです。ご自由にお持ちください」と、いうかかわいいイラスト付きの紙も書いてもらったので、それを机に貼る。


って、海織は本当に何でもそつなくこなす。すごい。ちなみに斎宮さんもイラストには参加していた。2人ともイラストは得意な様子。楽しそうに書いてくれた。なお俺には……無理。そんなセンスがない。頼んで正解だった。


ちなみに、もう少ししたら受付は大丈夫。という事を言われたが。ゴミ箱をほったらかしはダメなので、定期的にゴミ箱を確認しに来てゴミが溜まっていたら。ゴミを集めているところまで運ぶようにと言われた。うん。この後もいろいろ大変そうです。


とりあえず、今は受付に座っている俺。たまに人が来るとパンフレットと案内をする。朝から昼にかけての行列とかがないので、ゆっくり説明できるのは嬉しい。っか声出しすぎて明日以降声出ないかも。とか思っている。


「楓くん!」


すると斎宮さんの声が聞こえた。声の方を見ると、斎宮さんと海織がこちらに……うん。お祭りを満喫しているようです。斎宮さんの手にはりんご飴。海織の手には、クレープがあった。

で――柊はどこでしょうか?探しに行ってもらったのだが……これは見つからなかった?


「どうだった?」


俺が聞いてみると。まあ、予想通りの答えが返って来た。


「会場の方すごい人!」

「うんうん。これ買うだけでも大変だったもん」

「マジか――ってそうだよな。パンフレットこんなに配ったんだから」

「だから欲しいもの買って避難してきた。ここが一番静かだからね」

「まあ、確かに。静かではあるか」


そう言いながら斎宮さんはパイプ椅子に座る。すると海織が隣に来て。


「はい。楓君。あーん。して」

「え?」


海織の方を見ると俺の口の前にクレープがあったので……反射的に一口食べたが――うん?まあ、チョコと……バナナか。美味しいのですが――。


「もうー。2人とも。目の前でイチャイチャしてー」


斎宮さんを喜ばせてしまったようです。


「海織。ってまあ食べた俺もか」

「うん?楓君働きっぱなしだから、甘いもの欲しいかなー。って、どれどれ」


海織は今から試食だったらしく。海織も一口。


「うん、いい感じ。やっぱりチョコバナナは外れないね」

「楓くん幸せですねー」

「ははは……」


はい、一気に恥ずかしくなりました。うちの海織は……本当にもう。


それからなんやかんやと女の子2人は楽しそうにパンフレットを見ながら短冊を書いていた。


「後で飾りに行かないとね」

「だね。さっきちらっと見たけど、もう結構飾ってあったよね」


その途中に俺は1度2人に受付を頼んで、溜まったゴミを運んだのだが……うん。会場を初めて見た、というか。準備の時はもちろん知っているのだが。始まってからは初めて見た。うん。2人が言っていた通り。すっごい人。そしてちょうど踊りをしていたからか。めっちゃ盛り上がっていた。そんな光景を見つつ。俺はゴミ捨て場にゴミを運び……そこに居た担当の人に新たなゴミ袋をもらい。受付に戻った。あまり会場を見ていると、女の子2人からクレームが来るといけないのでね。


そう言えば……柊はどこに行ったのでしょうか? 

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